乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』24 「粟・稗(ヒエ)のとし見事にで来たれハ  もちをつくとて 手の暇もなし」十四丁表 十四丁裏 十五丁表

2020-06-20 | 在原業平、そして、伊勢物語 と、仮名草子 仁勢物語

 

 

 富田高至 編者

 

 

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』24「」十四丁表 十四丁裏 十五丁表

 

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年

 

 

 

  

 

 

十四丁表

◯をかし男、片田舎に住けり、男、都へとて、草鞋(ワランチ)

緒をしめていきけるまゝに、三月こさりけれは

まちかねけるに、いと仕事する人に餅くハせんと

左右

十四丁裏 十五丁表

ちきりたりけるに、此男もとりける、此戸あけゐへと

ゝきけれとあけで歌よみて、出したりける

  粟・稗(ヒエ)のとし見事にで来たれハ

  もちをつくとて 手の暇もなし

といひ出したりければ、

  角豆もち 粉もち粟もちとしつくと

  吾残るゝハ 粳(ウル)も えつかし

といひていなんとしけるは、女、

  あつきもち つけとつねと外よりも

  (クロ)ハあとへ あきにしものを

といひけれと、男腹立てけり、いとかなしくて

尻からけ して馳走すれと、お湯ものまて 白水

十五丁表

のある所に滑(スベり)ける、そこなりける飯椀に大指の

爪ひたしにもりて、さしつけける、

  相思ハて しかれる人を すゝめるも

  わがくふ餅ハ ひへハへぬるめ

とよみて、それは花びらになりけり

 

十四丁表

◯おかし男、片田舎に住みけり、男、都へとて、草鞋(ワランヂ)

緒を締めて行きけるままに、三月来ざりければ

待ちかねけるに、いと仕事する人に餅くはせんと

十四丁裏 十五丁表

契りたりけるに、此男、戻りける、此戸開けいえと

叩きけれど、開けで歌詠みて、出したりける

  粟・稗(ヒエ)の 年見事に 出来たれば

  餅をつくとて 手の暇も無し

と云い出したりければ

  角豆餅 粉餅 粟餅と しつくと

  吾残る流は 粳(ウル)も 得つかし

と云いていなんとしけるは、女、

  熱き餅 つけとつねと外よりも

  枢(クロゝ→くるる)は後(あと)へ 飽きにしものを

と云いけれど、男腹立てけり、いと悲しくて

尻からげ して馳走すれど、お湯も 飲まで、 白水

十五丁表

の有る所に滑りける、そこなりける飯椀に大指の

爪浸しに盛りて、指(さし)浸けける、

  相(あい)思わで 叱れる人を 進める

  我が食う餅は 稗(ひえ →冷え)は 得 ぬるめ

と詠みて、それは花びらになりけり

 

粟・稗(ヒエ)→手の暇もなし

 実り、餅をつくいたが、手の暇がない^^

(クロ

 枢(くるる)戸のくいの一部

尻からけ

 尻からげ

 

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  粟・稗(ヒエ)のとし見事にで来たれハ

  もちをつくとて 手の暇もなし

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  あらたまの 年の三年を待ちわびて

  たゞ今宵こそ にゐまくらすれ

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  角豆もち 粉もち粟もちとしつくと

  吾残るゝハ 粳(ウル)も えつかし

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  梓弓 真弓槻弓年をへて

  わがせしがごと うるはし見せよ

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  あつきもち つけとつねと外よりも

  枢(クロ)ハあとへ あきにしものを

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  梓弓 引けど引かねど昔より

  心は君に よりにし物を

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊     

  相思ハて しかれる人を すゝめるも

  わがくふ餅ハ ひへハへぬるめ

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  あひ思はで 離(か)れぬる人をとゞめかね

  わが身は今ぞ 消え果てぬめる

 

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舞台『caligula  カリギュラ』  アルベール・カミュ作 蜷川幸雄演出 小栗旬 若村麻由美 横田 栄司 他

2020-06-20 | 舞台・芝居

2011.12 御まつり 後宴能『殺生石』 (春日大社)

 

 

 蜷川幸雄演出 小栗旬主演の舞台『caligula  カリギュラ』を見る。

 今から10年前、うまい役者たちの中で、花沢類のイメージを全て捨て舞台に挑んでおられた小栗旬に、改めて好感を感じた。

 また、若村麻由美の舞台後半の感情移入は見事で、小栗旬主演の舞台『カリギュラ』の相手は若村麻由美を置いて他になかったのでは無いかとも思わせる渋い美しいなりきりであった。

 また、小栗旬に顔を近づけた勝地涼の表情は、もう一人の小栗の人格をも感じさせ、この場面も感心した。

 感心したといえば、横田 栄司。この方はうまい。声良し間良し表情良し。おまけに重厚で、舞台が上等に感じられる。横田 栄司の作品を注意して見てみたい。

 

 それにしても、小栗旬は頑張っておられた。

 好きな役者の作品を見ると、ついつい見ている側も力がこもり、見終わった後には程よい緊張の疲労感と満足感が残る。

 こんな舞台なら、見に行きたい。

 

 歌舞伎、能楽、芝居、祭り伝統芸能を見に行きたい。

 舞台が見たい。

  芝居が見たい。

    劇場に行きたい。

      見たいんだヨォ〜〜〜

 と、内心、叫ぶ。

 

 

 

 

 舞台『カリギュラ』 蜷川幸雄演出
 残虐非道なローマ帝国の若き皇帝・カリギュラと、それを取り巻く人物の悲しい模様を描いた本作。蜷川とは『ハムレット』(2003年上演)以来の付き合いという小栗は「蜷川さんは、普段携わることのない文化や、演劇の良さを届けてもらえる偉大な方です。劇中の見所? (4種類の)女装をします。悪役ですが、楽しみにしてください!」とアピール。蜷川も「この話は彼のために演出した。今、人気が出てブレイクしているのは当たり前。悪そうで利口、芝居も上手いんですよ」と褒めると、小栗も「本当は純粋でピュアです!」と、ジョークを飛ばす間柄で、仲の良さを表していた。

 

  • 演出 蜷川幸雄
  • アルベール・カミュ
  • その他
    岩切正一郎
  • 小栗旬
  • 勝地涼
  • 長谷川博己
  • 横田栄司
  • 月川悠貴
  • 廣田高志
  • 新川將人
  • 冨岡弘
  • 塾一久
  • 青山達三
  • 磯部勉
  • 若村麻由美

 


 舞台『カリギュラ』

 2010年11月7日から30日まで

 Bunkamuraシアターコクーンで上演される。

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