富田高至 編者
恩頼堂文
庫旧蔵本 『仁勢物語』 3 二丁表 二丁裏
和泉書院影印業刊 65(第四期)
1998年 初版
1997年 第三版
左
右
3 二丁表 二丁裏
◯をかし男有けり、秘蔵しける女のもゝに備前瘡と
いふものをやみて
おしやるならハむしろのうへにねもしなん
備前瘡にハ蓋をしつゝも
二てうの薄緑のまたいてこで、たゝみやにをきける
時の事也
3 二丁表 二丁裏
◯おかし男有けり、秘蔵しける女の股(もも)に備前瘡(びぜんがさ)と
云う物を病みて
おじゃるならば 筵(むしろ)の上に寝もしなん
備前瘡(びぜんがさ)には 蓋をしつつも
二畳の薄緑(うすべり)のまだ 出で来で、畳屋にを聞ける
時の事也
秘蔵しける 岩波古典文学大系
大切にしている
備前瘡(びぜんがさ) 岩波古典文学大系
疥癬虫の規制によって起こる伝染性皮膚炎。下腹、股部に生じ、かゆい。
おじゃるなら 岩波古典文学大系
おいでになるなら
二畳 岩波古典文学大系
畳二枚分の広さ
『伊勢物語』では、二畳の妃
薄緑(うすべり) 岩波古典文学大系
茣蓙(ござ)に縁をつけた薄い引き物
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
おしやるならハむしろのうへにねもしなん
備前瘡にハ蓋をしつゝも
『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す
思ひあらば 葎(むぐら)の宿に寝のしなん
ひじきものには 袖をしつゝも
葎(むぐら) 大辞林
広い範囲にわたって生い茂る雑草。また、その茂み。カナムグラ、ヤエムグラなど。もぐら。
季 夏「山賤(やまがつ)のおとがひ閉る―かな/芭蕉」
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