乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 2 「おきもせずねもせてよるも又ひるも めうなかほとてなかめくらしつ」 二丁表 和泉書院影印業刊

2020年06月04日 | 在原業平、そして、伊勢物語 と、仮名草子 仁勢物語

 

 富田高至 編者

 

恩頼堂文 

庫旧蔵本  『仁勢物語』 2 二丁表

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三版

 左

2 二丁表 

◯をかし男有けり、ならの京ハはなれ、此京はまた宿

もさたまらさりける時に、西の京にて女をもち

けり、其女 よ人 にハをとれりける、その人かたちよりは

心なん こはかりける人のやうにもあらさりけらし

それをかの男うち物語いかゞ思ひけん、時は弥生の

ついたち雨しよほふるによめる

  おきもせずねもせてよるも又ひるも

  めうなかほとてなかめくらしつ

 

2 二丁表

◯おかし男有けり、奈良の京(都)は離れ、此京(都)はまた宿

も定まらざりける時に、西の京(都)にて女を持ち

けり、其女 世人 にはを取れりける、その人 形よりは

心なん こ計りける人の様にもあ有らざりけらし、

それをかの男、うち物語 如何 思ひけん、時は弥生の

ついたち(朔日)雨 しょぼ降るに詠める

  起きもせず 寝もせで 夜も又昼も

  妙な顔とて 眺め暮らしつ

 

『仁勢物語』

 仮名草子。

 2巻。

 作者未詳。

 寛永17年(1640)ごろ成立。

 伊勢物語をもじって、当時の世相・風俗を滑稽に描いた。

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊  

  おきもせずねもせてよるも又ひるも

  めうなかほとてなかめくらしつ

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  起きもせず 寝もせで 夜をあかしては

  春の物とて 眺め暮らしつ

 

 

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恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』 「春日野の肴にぬきしかりけもの 酒のみたれハさむさしられす」 1  和泉書院影印業刊 65(第四期)

2020年06月04日 | 在原業平、そして、伊勢物語 と、仮名草子 仁勢物語

 

 富田高至 編者

 

恩頼堂文 

庫旧蔵本  『仁勢物語』 1 一丁裏〜二丁表

和泉書院影印業刊 65(第四期)

1998年 初版

1997年 第三版

 右

1 一丁裏〜二丁表 

◯をかし男ほうかふりして奈良の京かすかの里に知

人よりて酒のみにいきけり、その里にいとなまくさき

魚はらかといふきけり、此男かふてみにけり、おもほし(ママ)

すけるきんちやくにいとはした銭もありける物を

ぬきて魚のあたひにやるその男そめのきる

物をなんきたりける

  春日野の肴にぬきしかりけもの


  酒のみたれハさむさしられす

となん又つききそみけり、酔とおもしろき事ともや

おもひけん

  道すからしとろもちすりあしもとハ

  みたれそめにしわれなら酒に

と云歌の心ハヘ也、むかし人ハかくいらちたるのみやう

をなんしける

 

1 一丁裏〜二丁表 

◯おかし男頬被りして奈良の京(都)、春日の里に知

人よりて酒飲みに行ききけり、その里にいと生臭き

魚 腹かと言う(を)聞けり、此男買うてみにけり、思おえ

ず蹴る巾着にいと はした銭(端金)も有りける物を

抜きて、魚の値(あたい)にやる その男、染めの着る

物をなん 着たりける

  春日野の肴に抜きし かり着物(かり衣)

  酒の乱れは 寒さ知られす

となん 又つきて飲みけり、酔とおもしろき事ともや

思いけん

  道すがら しどろ もちすり 足元は

  乱れ染めにし 我なら酒に

と云歌の心ばえ也、昔人は かく いらちたる飲みよう

をなん しける

 

『仁勢物語』

 仮名草子。

 2巻。

 作者未詳。

 寛永17年(1640)ごろ成立。

 伊勢物語をもじって、当時の世相・風俗を滑稽に描いた。

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊 

  春日野の肴にぬきしかりけもの

  酒のみたれハさむさしられす

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  かすが野の若紫のすり衣

  しのぶのみだれ限り知られず

 

『仁勢物語』和泉書院影印業刊

  道すからしとろもちすりあしもとハ

  みたれそめにしわれなら酒に

『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す

  みちのくの忍(ぶ)もちずり誰(たれ)ゆへに

  みだれそめにし我ならなくに

 

 

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