タワー

じょんじーくんは、ＤＶＤを棚から引きずり落とすのが、なぜか大好き。

何度叱っても、何度叩かれて泣いても、やりたいらしい。


随分長い事してなかったので、もう飽きたのかな…と、ホッとしていた今日この頃、突如、思い出したかのようにまたやってくれたので、バチンと腕を叩いた。

いつもの軽めな「パチン」じゃなくて、今までしたことがない強めの「バチン」

叩いた瞬間、「しまった…全力で叩いちゃった…」

力加減が強すぎたと後悔したりおちん。

一瞬の間があって、信じられないといった表情でりおちんを振り返るじょんじーくん。

次の瞬間、痛みを自覚したのだろう、火がついたように泣き出した。

体をこわばらせて激しく泣くじょんじーくんを優しく抱き締め、まず謝った。
それから、どうして叩いたか、ゆっくり説明しながら、じょんじーくんの背中を撫でてあげていると、次第に落ち着き始めたじょんじーくん。

今度は膝に座らせて、もう一度、目を見つめながらゆっくり説明する。

泣きやんだじょんじーくんが立ち上がった。
何をするかと思ったら、部屋中に散乱したＤＶＤを拾い集めて、一ヶ所に積み上げていく。
途中途中でりおちんを見ながら。
りおちんは、一切手を出さず、応援だけしてみる。

最後まで積み上げると、自分で拍手。
りおちんもニッコリしながら拍手。

「すごいね!お片付けしてくれたんだね!偉いねえ!じゃあ、今度はここにないないしようか!」
と言うと、じょんじーくんはにっこり笑って、棚に戻し始めた。


こんなに小さくても、ちゃんと分かってるんだね。



でも。
ごめんね、じょんじーくん。
カアちゃん、強く叩きすぎたね。
気をつけるから許してね。

赤くなってしまったじょんじーくんの細い腕を見ながら、りおちんの心は、今もまだズキズキと痛んでいます。