日々のつれづれ

日々うららかでありますようにと願ったけれど、平穏な日々は続かない。
穏やかな老後は訪れるか。

いつかの人質

2021-06-10 | 趣味の時間
図書館が休館しているのでブックオフに行って、目についたのが最近好んで読んでいる芦沢央(あしざわ よう)さんの「いつかの人質」

宮下愛子は幼い頃、偶発的に起きた誘拐事件に巻きこまれ失明してしまう。そして12年後、彼女は再び何者かに連れ去られる。いったい誰が、何の目的で?
一方、人気漫画家の江間礼遠は突然失踪した妻、優奈の行方を必死に捜していた。優奈は誘拐事件の加害者の娘だった。長い歳月を経て再び起きた「被害者」と「加害者」の事件。偶然か、それとも・・・!? 急展開する圧巻のラスト。大注目作家のサスペンス・ミステリー。

本の紹介文にも興味を惹かれて購入した。

誘拐事件の被害者だった愛子は幼かったこともあり、その事件の記憶はあまり無い。その事件の中で失明したが、母がいつも近くで見守ってくれているので不自由はない。
けれど中学生になって、友人たちとライブに行ったことで不測の事態が起きる。

愛子の席は会場の良い位置にあった。
友人の一人が「愛子は目が見えないのだから」と席の交換を頼んでくる。
事前に母と会場内の位置関係を調べていたので、席が変わるとそれが分からなくなる。けれど断ると友人関係が悪くなりそうだ。
これまで人の善意に助けられてきた。今日だって困ったら近くの人に助けを求められるだろう。席に連れて行ってもらう事を条件に交換を受け入れた。
開演前にトイレに連れて行ってもらおうと思ったが、公演開始時間が迫り友人は愛子を席に着かせると走るように去った。
仕方なく感覚を頼りにトイレに向かった愛子は、そこで連れ去られることになる。

その頃礼遠の妻で、かつての誘拐事件の加害者の娘である優奈が失踪していた。二人で同じ夢を追って、あんなに幸せだったのに優奈はなぜ失踪したのか。
礼遠は手を尽くして妻を探し求めるが、手掛かりはつかめない。

この人の作品には、世間の感覚からズレていると感じさせる人物が主要な役目を持って登場する。この作品では加害者の娘である優奈にその思いを持ったのだが、ズレていたのは優奈だけではなかった。

ラストに待ち受ける意外な展開とは?!
コメント (2)
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