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大学院であまり役に立ちそうもない勉強をしたり、陶芸、歌舞伎・能、カメラ、ときどき八ヶ岳で畑仕事、60代最後半です。

東京藝術大学大学美術館「吉村順三建築展」

2005-12-11 23:33:33 | 文学・文芸・芸術
<東京藝術大学建築科創設100周年>
1997年に逝去された吉村順三は、東京藝術大学名誉教授、日本芸術
院会員、文化功労者として名高いが、奥深い生活への洞察力を通して、
豊かな住宅建築を数多く残した。

今回、東京藝術大学建築科創設100年の節目の記念行事の一つとして
「吉村順三建築展」が、東京藝術大学大学美術館で開催されている。


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<吉村順三作品の特徴>
私が感ずるところ、吉村順三の作品の最大の特徴は、人が住むための
暖かい空間と生活の喜び、安心感とくつろぎの空間を自然とともに配置
した建築、であるということである。

このポスターの光景が吉村順三の建築の心を最大表現している。この
山の中に立つ別荘、近代建築と木材の持つ温かみ、木々の自然との
調和、風が通り抜ける広々とした居間空間が吉村順三の住宅建築の
真髄とみた。これは、高層建築においても一貫した思想である。





         <ポスター山荘の設計図>







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<青山タワービル>
下の写真の右側のビルは1969年完成の青山タワービルは、見る
からに余分な飾りを入れない、スッキリした空間を持つ建築である。


<南台の家>
左側の、上段は都心の住宅。ワンフロアーのような、空間を広く取
った、くつろげる居間。


<脇田山荘>
下段は別荘であるが、これも見事な広い空間と、自然の風が自由
に行き来する、住む人との調和と一体感が表現されている。


<八ヶ岳高原音楽堂>
下の三角の屋根は、1988年完成の「八ヶ岳高原音楽堂」である。
内部は音楽堂としてさまざまな工夫がされているが、高原に調和し
た外見の見事さに感銘を受ける。






     ー音楽堂の構図も出ていますー

      <八ヶ岳高原音楽堂ホームページ>

     http://www.yatsugatake.co.jp/concert/outline/index.html



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<吉村順三の主な作品>

 ・数多くの優れた、個人住宅、個人山荘
 ・俵屋(京都)
 ・NCRビル 
 ・青山タワービル
 ・ホテル・フジタ京都
 ・国際文化会館(前川國男、坂倉準三共同設計)・・・日本建築学会賞
 ・皇居新宮殿の基本設計
 ・ポカンティコヒルの家(ロックフェラー邸)
 ・ニューヨーク近代美術館日本館(松風荘)
 ・ニューヨーク・ジャパンハウス・・・デザイン優秀賞
 ・奈良国立博物館・・・日本芸術院賞
 ・八ヶ岳高原音楽堂・・・毎日芸術賞
 ・愛知県立芸術大学キャンパス
 ・茨城県近代美術館



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<「吉村順三建築展実行委員会」のことば>から一部を抜粋

  
 
   1908年(明治41年)生れで、1997年に逝去した吉村は、
  少年の時から住宅に興味をいだき、日本の自然と風土に培われて
  きた独特の伝統的建築に魅力を覚え、人の生活と幸せ、ヒューマン
  なものを建築に具体化することを一貫して実践してきた。地域に
  貢献する、品のある美しい建築を求め、つくりつづけて20世紀を
  生きた建築家である。

   現在、建築を評価するとき、使いやすさやヒューマンなものといった
  観点より、新しい構造、造型、表現、象徴などに対して評価する傾向
  がある。しかし、現代の無秩序な都市、生活文化の荒廃と厳しい環境
  問題を前に、建築家は何をしなければならないだろうか。また、何が
  できるだろうか。

   生活文化の構築と都市の再建は多くの市民の自覚と努力によるも
  のであり、建築家は、その具体化の一端を担うものである。

   吉村は、生前、これからの建築家のあり方を問われたとき、「簡素
  でありながら美しいもの、自分達の住んでいる日本の、長年にわたる
  風土と文化によって培われてきたさまざまな建築から学び、日本の気
  持ちから出たものをつくるべきでしょう」と語った。


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   誰もがこのような考え方に立つならば、昨今問題になっている
   ような、無定見で、無秩序で、非道徳的な、法令無視の恐ろし
   い建築設計は起こらないと思うのだが、戦後60年たって、今
   日本人は「心」を失いかけている。何とかしなければと思うの
   だが・・・。
   


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          <東京藝術大学大学美術館入口前>





      <東京藝術大学大学美術館ホームページ>

        http://www.geidai.ac.jp/museum/


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