上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

産業文化解体や広場整備は違法!・・・裁判所での意見陳述

2014-10-30 01:06:09 | 熊本市政
10月29日、熊本地方裁判所で開かれた「産業文化会館解体と花畑広場整備」の違法性を争う裁判の第4回公判が行われました。
これまで、数回にわたり準備書面が原告・被告双方から提出されてきましたが、これからは市長の裁量権の逸脱を巡り、本格的な審議が始まっていきます。
今回の公判では、私にとって初めての裁判所での意見陳述を行いました。

市議会で、繰り返し問題にしてきた、まだ十分に使える産業文化会館を解体したことのムダ、矛盾だらけの花畑広場整備を強行する熊本市の異常さについて、意見を述べました。

壊す必要の全くなかった産業文化会館を解体してしまった、その理由は「花畑町再開発」でしたが、熊本市がこれまで行ってきた再開発は、いずれも大きな無駄を生んできました。
「駅前東A地区再開発事業」へ211億円の投資、その後、1億円以上使って破たんした「花畑町再開発」
これらに反省なく、今後すすめようとしている400億円以上の投資となる「桜町再開発事業」へのMICE整備。

あまりにもいい加減な市のやり方に憤りを感じます。
400億円以上の投資となる、市政史上最大の大型ハコモノ建設「MICE整備」は、何としても中止しなければなりません。
市長選挙でも、MICE整備が大きな争点になってきました。中止を実行する市政の誕生を強く望みます。

以下、私の意見陳述です。

「意見陳述書」

2014年10月29日
                         原告 上野 美恵子
はじめに
 私は、4期16年熊本市議会議員として、市政の様々な場面で、市政のムダづかいをただすとともに、「中心市街地活性化特別委員会」委員として、中心市街地の再開発やまちづくりを論じてきました。そういう立場から、産業文化会館廃止の不当性と、その理由とされた「花畑地区再開発」や「花畑広場整備」の問題点を述べます。

産業文化会館廃止の理由となり得ない、杜撰な「花畑地区再開発」
花畑再開発は、2007年5月決定の熊本市中心市街地活性化基本計画に位置づけられ、2008年3月に博多座を参考にした大劇場構想からなる基本設計が行われました。ところが、直後の4月には大劇場構想が計画から消えるという熟度の低いものでした。再開発の実施母体「花畑開発協議会」の議事録では、産業文化会館は再開発事業の権利変換計画の従前資産となっており、再開発が実施段階にならなければ壊さない建物でした。再開発の事業計画ができていない段階で、廃止の必要が全くなかった建物です。年間30万人の利用があった産業文化会館を早々に廃止したことで、周辺の通行量は減少、賑わいの喪失を招き、地域経済へも大きく影響しました。しかも、産業文化会館廃止から3年7ヵ月後、再開発は失敗・破たんし、産業文化会館廃止の理由はなくなってしまいました。

議会の指摘に耳を貸さず、再開発に税金を次々につぎ込んだ市長の責任は重大
当時すでに全国の再開発事業が各地で行き詰まっており、私は議会で繰り返し、花畑地区再開発に税金をどんどんつぎ込んでも、実施は難しく、破たんの危険性があることを指摘し、事業の中止を求めてきました。しかし幸山市長は、再三の指摘に耳を貸さず、当初の大劇場構想の実施設計に6,000万円もの補助金を出しました。しかし事業は頓挫、設計案はごみ箱行きになりました。その後も、一向に進まない事業に次々と予算を計上、総額1億1,000万円もの税金を花畑地区再開発事業につぎ込みました。加えて、再開発を理由にした産業文化会館閉鎖に2億6,000万円もの移転補償費を出しました。“再開発ありき”ですすみ、破綻した事業に4億円もの税金を使い無駄にした幸山市長の責任は厳しく問われるべきです。

解体予算の執行を凍結してとりまとめた特別委員会の2条件
 2012年10月、幸山市長は、花畑地区再開発の破たんを議会に報告しました。本来ならば、産業文化会館廃止の理由であった「花畑地区再開発」がなくなった訳ですから、その時点で産業文化会館解体を見直すべきでした。ところが市長は、突然「広場整備」を持ち出し、産業文化会館の解体方針を変えませんでした。これに議会は納得せず、3月議会で広場用地買収の予算は可決されましたが、予算執行を凍結、「桜町・花畑地区再開発事業の附帯決議に関する特別委員会」を持つことになりました。2カ月間開かれた特別委員会では、花畑地区について、①産文会館のホール機能補完のための総合的検討を求める、②産文会館隣接の民間2棟の用地ならびにその隣の民間駐車場の一体的整備に努力する、の2点が取りまとめられました。
 ところが、未だに中心部における産業文化会館ホールに代わる中規模ホールの整備計画は示されていません。広場についても、市議会が民間駐車場まで含めた一体的整備を求めているにもかかわらず、民間2棟の用地買収すらできていません。

突然の広場整備計画は、ルールを逸脱した用地取得
民間2棟の用地は、総額15億円を2013年度当初予算に計上しましたが、熊本市の用地取得にかかるルールを逸脱したやり方でした。
第1に、市長がつくった「平成25年度予算編成方針」では、「用地購入については、経営戦略会議に付し、予算要求を認められたものに限る。」また、「事前に用地担当課と協議し、単価や権利関係について十分に精査すること」と決められています。私は、予算編成がされた年度の経営戦略会議の議事録、それからメモと資料のすべてに目を通しましたが、サンビル、フラワービル用地のことを審議した形跡は全くありませんでした。平成25年度の予算に計上される「平成25年度公共事業等に要する用地取得計画」について審議された経営戦略会議では、サンビル、フラワービル用地はそもそも取得計画に入っておらず、審議の対象から外れていたのです。それが、予算を審議する3月議会の直前、当初予算編成の仕上げとなる市長査定で、予算に加えられていたのです。なぜ、市長は、予算編成方針を踏まえないルール違反の用地費を予算化したのでしょうか。
 第2に、予算編成方針にも明記されている用地課との協議や単価、権利も含めた事前の精査がきちんと行われていれば、予算執行にゴーサインが出された昨年の「桜町・花畑地区再開発事業の附帯決議に関する特別委員会」での審議終了後、速やかに用地買収は進んでいたはずです。ところが、2013年度当初予算にルールを曲げてまでねじ込んだ用地費は、年度内に執行されず、今年度に繰り越されました。しかも、今年度すでに半年以上経過しているのに、フラワービル用地は一向に買収のメドが立っていないようです。市長は、6月議会での私の質問に、「手続を踏まえた上で交渉に入らせていただいた」と答えました。しかし、先ほどの経営戦略会議の会議録はもちろん市長査定にあたり用意されていた資料の中に、当該用地にかかわる詳細な資料はありませんでした。それとも、私の資料要求に対し、隠されていたのでしょうか。いずれにしても、用地取得の事前準備がまともにできていないのに、なぜ予算化だけを急がれたのか、全く分かりません。
第3に、なぜこの用地が先行用地取得会計で予算化されなければならなかったのか、この点も疑問です。先行用地取得会計は、バブルの頃、先々土地代が上がるので、10年以内に事業化する土地について、特別会計を設け、先に取得をしておくというものです。現在は、むしろ土地の価格が下がってきているので、この手法による用地取得を熊本市はほとんどしておらず、過去10年以上、取得実績はありません。しかも、先行用地で予算化した用地費を、年度途中の9月議会で、国の補助内示に伴い一般会計に組み替える補正がなされました。当該年度に予算執行できないような土地を、なぜ先行用地で予算化する必要があったのか、途中で一般会計に組み替えるくらいならば、補助内示が出た時に補正予算で提案するというのが一般的なやり方です。このような予算化の仕方は他に例がなく、非常に異例なやり方です。予算は単年度主義が原則です。きちんとした手順を踏まずに急ぎ予算化したことが、未執行という結果を生んでいます。フラワービル用地の取得は極めて困難になっており、広場整備の頓挫も考えられます。そうなれば、産業文化会館閉鎖や解体に使った6億円ものお金は全く無駄になってしまうのではないでしょうか。事業見通しもないまま、ルールを逸脱して無理やり用地買収をすすめた市長の行為は、1億円以上つぎ込んで破綻し、全てを無駄にした花畑地区再開発の反省が全くありません。

裁判所におかれましては、税金の無駄遣いは許さないという、厳正なご判断をいただきますようお願いして、陳述を終わります。
以上











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