雨過天晴

ジャズとホークスとファッションなどなど
興味のあることには片っ端から手を出して
そして時々飽きます

リカーシブル

2015-11-05 | 

今夜は久しぶりに本の読後感想を。

しばら感想をアップしていませんでしたが、本はずっと読んでいました。

伊坂幸太郎・米澤穂信・道尾秀介関連がメインでしたが。

あとは歴史本を読んではいたのですが今ひとつ。

 

その中で米澤穂信の『リカーシブル

 

リカーシブル (新潮文庫)
米澤 穂信
新潮社

 

父親が会社の金を使い込んでしまい、継母と継母の連れ子とともに継母の生まれ育った土地へと引っ越しを余儀なくされた主人公の中学生越野ハルカ。

この頃の子供にしては世の中の処世術にも少し長けている彼女は、血のつながった父親が失踪してしまい、優しく接してくれている継母に対しても少し覚めた目で見ている。

そして現時点では戸籍上の弟(継母の連れ子)に対してはついついきつくあたってしまう。

父親の犯罪によって学校の中でも孤立していく彼女が処世術を学んだのは致し方ないことだろう。

 

ある時この弟が妙なことを言い出す。

商店街での置き引き犯が逃げた先を当ててしまう。

しかも以前観たことがあるという。

通学路の橋を通ることが怖いという。

理由は「この橋から人が落ちたんだよ」とも。

このように弟が予知能力を持っているのかどうかわからなくなった彼女は社会科の教師からこの土地に関わるある伝説を教えてもらう。

「タマナヒメ」

 

この土地にはこれといった産業もなく、寂れていく一方の状況。

その状況を打破するべく高速道路誘致の熱心な誘致活動がこの街の希望となっている。

 

未来予知の謎とともに、街が抱えている鬱屈とした雰囲気。

それらはなぜか引っ越してそうそうハルカの心を掴んで離れない。

 

その事実を彼女は希望とともに追いかけていく・・・・。

 

米澤穂信の作品に登場する女子学生は一癖も二癖もある人物が登場するのだが、ハルカもこころに少し闇を抱えた少女。

彼女が進むべき道を切り開く様はミステリーという観点では爽快ではあるものの、その心情を推し量るとなんとも言えない気分になる。

 

この辺りのさじ加減が米澤穂信の真骨頂であり、安易にすべてを幸せに持っていかず、かと言って安易に悲劇にももっていかない。

この辺りの絶妙な具合が米澤穂信の強みなのだと思う。

小説とはいえ、罪作りな作家だよ、と思いつつも、生きていく辛さ・大変さをさらっと描写するそのセンスは抜群だと思う。

 

この本もしばらくしたらまた読みたくなりそうな本です。

 

 

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