9月4日、また一人ジャズの巨星が一人亡くなりました。
ベーシスト ゲイリー・ピーコック 享年85歳。
キース・ジャレット、ジャック・デジョネットとのスタンダード・トリオとしての活躍が有名でした。
逝去の情報はデジョネットのツイッターで広まったものの、当該ツイートが削除され、元妻であるアネット・ピーコックがその死を否定するようなコメントをツイートした事もあって、誤報かどうか情報が錯綜していましたが、残念ながら事実であったようです。
Now it appears the reports on Gary's death may be a hoax, which indeed would be good news!
— Annette Peacock (@_AnnettePeacock) September 5, 2020
ゲイリー・ピーコックはキース・ジャレットとのトリオのイメージがかなり強く、比較的キレイ目でオトナし目、ってイメージが強いかと思います。
ワタシが初めてキース・ジャレット・トリオを聴いたのは『Up For It』で、その時の印象はジャレットの個性が強くて、あまりピーコックの音を意識していませんでした。
ただ歴史を紐解いていくと、アルバート・アイラーの名盤『Ghost』に参加しフリージャズにも傾倒しているほど、即興性に強いベーシストです。
この作品のメンバーは皆鬼籍に入られてしまったわけです。
ピーコック作品で最も好きと言っても過言ではないのは、彼のリーダー作としてジャレット・デジョネットを率いたECMの『Tales Of Another』('77)です。
1. Vignette
2. Tone Field
3. Major Major
4. Trilogy I
5. Trilogy II
6. Trilogy III
2. Tone Field
3. Major Major
4. Trilogy I
5. Trilogy II
6. Trilogy III
Gary Peacock (b)
Keith Jarrett (p)
Jack Dejohnette (ds)
Jack Dejohnette (ds)
全曲ピーコックのオリジナル。
ゆえにスタンダード・トリオよりも少しスパイス強めの硬派な作品に仕上がっています。
ピーコックも割と全面に出てきてて、スタンダード・トリオよりも太めで切れ味鋭い音を奏でます。
これが彼の本骨頂なのかな、とも思います。
最近はピアニストのマーク・コープランドと組むことも多かったんですが、そこはやはり30年続いたジャレットとは異なるピアニストとの共演で新しい境地を見出したのでしょう。
この『Tangents』も彼のソロから始まる緊張感高めの作品です。
とても素敵なベーシストです。
お悔やみ申し上げます。