tyokutaka

タイトルは、私の名前の音読みで、小さい頃、ある方が見事に間違って発音したところからいただきました。

『ちびくろ・さんぼ』が復刊される。

2005年04月20日 23時59分58秒 | ニュース
昨日の朝日新聞の内容からである。

私が小さい頃読んだ絵本の中に『ちびくろ・さんぼ』があった。当時、「おはなし+絵本+きれいな装丁+3~4歳向け」という、今日検索エンジンでかけるととんでもない結果になってしまうような検索式で本を探すと、岩波書店か福音館書店の本になった。だから、そうした本の中の一冊を私も他の子どもと同じように持っていたことになる。

3~4歳くらいから本が好きだった。しかし字が読めない。幼稚園のときに文字の積み木を買ってきて、両親が必死になって教えたときがあったが、あまり覚えない。1から100までの数を数えさせられたが、すべてを言うことが出来ない。しまいに両親が怒りだす。悪く言うのもなんだが、いま思ってみればアホな行為だったと思う。文字を覚えさせることはともかく、100まで数えさせてかりに64まで言えたとする、またやり直しで40まで言えたとすれば、100をこえるから、当初の目的は達成されているようなものである。

今の幼児のスタンダードな知識として、文字がわかる、数がわかる、英語がわかるなんて普通のことかも知れないが、私が文字や数がわかったのは、小学校に入ってからだった。ちなみに幼稚園の頃、私はひらがなカタカナよりもはるかに漢字が読めて、他人を驚かせたことがある。私の場合、形を覚えて学習するという脳だったのだと思う。

黒人のこどもを主人公とした『ちびくろ・さんぼ』が黒人批判をあおるという批判をうけて、1988年に日本の各出版社があいついで絶版とした。この時期、やたらと黒人の表象(姿形をあらわしたもの)が批判をうけ、カルピスのトレードマーク(黒人がグラスからストローで飲んでいる図)も廃止となったことをご存知の方もいると思う。また、この時『ちびくろ・さんぼ絶版問題を考える』とか『さよならさんぼ』などの、意見を集約した本が相次いで出された。

あらためて考えてみると、さまざまな黒人の表象は「黒く塗っている人物」、「くちびるが厚い」などの要素で判断されていたと思うが、そうして批判を受け、一掃されたあとで思ったのは、なぜ白人の表象がなくならないのかという疑問だった。確かに、彼らの表象を形作っていたのは、黒人ではない白人であることが大部分だったし、そこに向けられたまなざしが、敵意に満ちたものであったことも否定できない。

また考えてみると、白人の表象が残された訳だから、黒人が表舞台に出るには、「顔を白く塗って白人になれ」と言っているようなものだ。これは、差別を一掃するという大義のもとに、黒人から自己を表彰する権利を剥奪し、あたかもリベラルであるという白人文化の中へ「同化」される行為ではなかったのかとも思う。それは、黒人の文化を破壊するものではなかったのだろうか。

今回の復刊は岩波書店からではなく瑞雲舎という出版社からの復刊である。装丁は岩波書店版のままだそうだ。原作は英国人の主婦ヘレン・バンナーマンが1899年に書いたものであり、岩波書店は、その米国版の一つを1953年に翻訳し出版。100万部のロングセラーになった。岩波書店はすでに出版権をもっていないので、翻訳者の遺族の了承を得て出版するそうだ。初版4万部だが1万部の増刷が決定した。

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1 コメント

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ちびくろ・さんぼ (モクレン)
2005-04-21 16:31:14
こんにちは。

TB,どうもありがとうございました。



「ちびくろ・さんぼ」、深い問題を抱えていますよね。当事者と第三者の考え方の違い・・・。

けれど子どもとしては単純に好きな物語ですよね。



カルピスのトレードマーク、個人的には好きでした。

またとても浸透していたので廃止は残念でしたが、

この問題の深さを考えるとしかたのないことなのでしょうね。
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