tyokutaka

タイトルは、私の名前の音読みで、小さい頃、ある方が見事に間違って発音したところからいただきました。

南円堂の曙光、不空羂索観音菩薩の慈悲 ー5ー

2009年01月03日 21時51分33秒 | Weblog


「なぜ呼び込みたくもないものを呼び込んでしまうのだろう。」と問いかけをする。それは結局、天職だから?

「いや、そうでもない。」でも、これから選ぶ仕事の中で、大きく逸脱は出来ないのだろう。そう考えていた。だとすると、編集や校正で外国語を扱う仕事は、人の見方によっては、かなりの「花形」的な仕事になるのだろう。でも、本当に私には向かない。いろいろ整理してみると、編集や校正は本当に向かないわけではない。一番問題なのは、家電業界を相手にして仕事を行うのが無理だという事。かつて、前職で私が客相手の「コーディネータ」という場所に行けなかったのは、あまりにも上手な「客」の相手が出来ないという上司の判断であった。しかし、「コーディネータ」にならねば、正社員にはなれなかった。正社員になりたいが故に、飛び出しのが本音だったが、結局のところ、派遣やアルバイトを繰り返す日々。

繰り返し整理しよう。すべての元凶は「家電業界」である。と私は断じた。この断定は今現在、徐々に当たっていたのではないかと考える。今度のグローバルレベルの不況で一番先に店を閉じたのは、外資系資本の傘下に入った(乗っ取られた)老舗旅館だった。これはニュースで見た。その後、凄まじい勢いで不況が進み、家電メーカの工場が次々と閉鎖に追い込まれた。その結果、多くの派遣や期間工が契約を解除された。私が行った松下の子会社の制作会社も今ではどうなっているのか分からないし、
話を一昨年に戻せば、奈良にある精密機械メーカの子会社で外国マニュアルの制作部門も面接を受けたが、その高見から見るような鼻持ちならない面接官に嫌気を覚えて、延々のばされた二次面接の前日に断ったことがある。社長が出て来た1次面接で、「どうも親会社と切れていないので」と二次面接を指示された。私は「あんたの会社の従業員を選ぶんだろが、これから客になる親会社の重役とやらに、『うちの会社、こんどこんな人採るのですが、大丈夫ですかね』と聞いて、そもそもそんな子会社を信頼できるのかね」と考えた。その親会社も今では倒産の一歩手前まで行っているそうだ。工場の前では、派遣社員が連日デモを行っているとか。

ともかく、10月7日で契約が解除された私は、次の日、A社の大学職員の派遣にエントリーした。しかし、わざわざ電話をかけて来た担当者は家が遠い事を理由に難色を示す。なんか問題があったら、わざわざ電話を返す事もないじゃないかとも考えるが、それを言わずに「ええ、大丈夫ですよ」と言ってのける。

その日、10月8日。奈良豆彦古神社の翁舞が行われる日である。何故だが、学生時代に見に行ったこの伝統行事に、私は行く事にした。

神社の駐車場に自転車を止めていると、電話がかかって来た。A社である。担当者は次のように言った。

「先方の事情が変わりまして、学内の職員の異動で調達するそうです」と。聞くからに嘘くさい。だが、いよいよ派遣会社に嘘をつかれてかわされるほど、ひどい状態になってきたことに私は焦りだした。神事が終わると、そのまま自転車で飛び出し、気づけば私は興福寺の南円堂の前にいた。すでに人通りは無く、真っ暗だ。

いつものようにお参りはしたが、何を頼んだのか覚えていない。ただ、いつもよりも静かで人通りのないその場所に、私は少し長くその場にいてたと思う。そして、「もう九日後か」とも思った。それだけ落ちついたということであろう。

さて、9日後。

10月17日、この日、南円堂は一年で一日だけ開扉される。初めてこの中に入ったのが一年前。一年間生きて来たのが不思議なくらいだった。不空羂索観音菩薩に真向かい、腰をかけて、じっとその尊顔を眺める。内部は少し暗くて、はっきりと見える訳ではないが、それがかえっていい。後ろではお遍路の人々が、お経を唱えている。南円堂の観音信仰の厚さをもって、興福寺の境内ではもっとも人の集まる空間である。

数日後、私は新たにW社に登録した。というのも、R社からは仕事をもらう気になれないし、通常、派遣労働者と派遣就業先の双方の合意を聞いて、労働者を送り込むのが通常の派遣会社の方法であるが、最大手のS社はこちら側の意向など聞かず、ただ、派遣先に良い顔すべく、人を押し込むことがわかったから、よけいに任す気になれなかった。派遣会社は星の数だけある。とにかく登録しておけば、紹介も受けやすくなるからだ。

W社を選んだのは、編集と校正の仕事を持っていたからだ。

私の前職で、一時期たくさんの派遣社員を入れたことがあった。その中のヤノシゲ氏は、ヤクとシノギとチャカ以外が専門の人だった。すなわちオンナである。風俗関係の雑誌編集に長くいた彼は、こんな外国語の編集と校正よりも、日本語でやれ。といった。家電業界を退け、外国語を退けても、手元には(日本語の)編集と校正の業務が残るということに気づいた。

W社の登録時の面接は今ひとつ分からないものであった。やりたくないものを挙げろと言われたが、私の場合、家電や外国語校正以外にも、テレマーケティングも入ってくる。挙げる度に理由をいちいち聞いてくる。やりたくないものはやりたくないもので、理由を聞いて、覆すのですか?とも聞きたかった。覆しても、それで続く事はないのだが。

派遣会社の登録時の担当者の名刺に、時々「ジョブカウンセラー」とかの、いかにもそれ相当の資格を得たような肩書きが入っていることがある。それはそれで結構ですが、本質も見抜けないのに、カウンセリングを行うのも本末転倒である。

で、その時はすべて別の人間で埋まったらしく、仕事が発生したら、紹介くださいと伝えた。おそらく3,4年は電話もかかってこないはずだ。

さて、日本語の編集や校正の業務を多く持っている派遣会社はどこか? 前々から浮かんではいたが、あの会社は禁断の派遣会社であった。しかし・・・・。

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