tyokutaka

タイトルは、私の名前の音読みで、小さい頃、ある方が見事に間違って発音したところからいただきました。

日本語組版について

2005年02月18日 15時30分07秒 | DTP/Web
DTPの勉強や仕事をし始めたきっかけは、本を作る技術を持ちたいという、どこにでもある動機からだった。DTPそのものが奥行きが広く、経験が非常に重要視されている。それゆえになかなか仕事が見つからないのだけども、それはさておき、最近、小森陽一『思考のフロンティア ポストコロニアル』(岩波書店 2001年)読んでいる。じきにまた書評を書きたいが、その前に気になったところがあり、それは本の内容とは関係ないので、こうして改めて書くことにする。

その気なるところとは、日本語組版の問題である。「組版(くみはん)」とは文字を並べて印刷用の言語を起こすことである。DTPと縁のない方ならば、普通にワードなどのワープロソフトで打ち込んだ文字の羅列に納得されたり、まあこんなものだろうと思われるが、実際は、ワープロソフトで打ち込んだままの文字の配列は、美しさに欠けるのである。そのため、文字の間隔をそのまま維持するのではなく、場所によっては、間隔を詰めたりするのである。ここにDTPとして印刷に適した文字を取り扱う意義がある。

もともと、DTPの文字組みは汚いといわれることが多かった。その理由は、DTPオペレーターの経験不足や、原稿用紙を用い方の知識不足、欧米の組版をベースにした結果、縦組みに弱いQuarkXPress(クオークエクスプレス)というソフトが原因となっていたりで、有名どころの出版社ではかなり嫌われていた。しかし、最近では作業効率の重視や、Adobe(アドビ)社が開発したInDesign(インデザイン)の使用により、急速に出版社のDTP導入が進んでいる。

最初、『ポストコロニアル』を読んだとき、なんとなく読みにくい印象を持った。もちろん内容ではなく、文字の組み方が影響してである。実際には一行に入れる文字の数も相場がある。DTPエキスパート認証試験の問題によると縦一段組みの場合は40~45字詰め、横一段組みは30から35字詰めまでが好ましいとされている。段組みとは1ページにおける文章のまとまりと考えると良い。週刊誌や新聞紙の体裁である。

そう考えて、文字の数を数えてみると、30字くらいだった。よくよく見てみると、ベタ組みの箇所が多く、碁盤の目のように文字がきっちりと並んでいるページもある。ベタ組みとは、文字の間隔を調整しない、そのままコピーしたような組み方である。しかもウィドウが発生している箇所もあ
る。
ウィドウとは、この上の「る。」のような一文字だけはみ出ている現象のことを指す。今回は故意におこなったが、これもまた直前の文章の文字間隔を詰めることで解消でき、それが不可能なときは、「ある。」で一行を作ることも考えられる。岩波書店もDTPの導入が遅れた出版社の一つと言われる。そのため、先のInDesignを導入していると聞くが、これはどうも、内部で仕事をされている方のミスか、経験不足が影響しているように思う。
今回は、少し専門的な話になった。