tyokutaka

タイトルは、私の名前の音読みで、小さい頃、ある方が見事に間違って発音したところからいただきました。

ブランドを修行に出す。

2005年02月20日 00時18分03秒 | ニュース
2月19日の朝日新聞に福助の社長をされている藤巻幸夫氏が4月から同社の副会長に退き、イトーヨーカドーが4月に設立する新会社「IYG生活デザイン研究所」の社長に就任するという。この会社はスーパーの売り場改革や新製品の開発を担う。

近年、総合スーパー(GMS)の経営は不振である。これは、比較的経営が好調であるとされるヨーカドーやイオンでさえ売り上げは低迷している。特に、専門店チェーンとの競合が激しい衣料部門になるとさらに低迷の度合いが深刻なものになる。ヨーカドーが今回、この会社を活用して行う経営改革は、衣料品の絞り込みとその中でヒット商品をつくリ出すこと。SPA(製造型小売り)を導入し、新ブランドを立ち上げることである。

こうした方法を行う会社は非常に多いが、本当に重要な点は、自社スーパーもしくはデパートで売り出すためだけのブランドが、果たして本当に他のブランドとの競争に勝つための力を持つことが可能なのかという点である。いや、それ自体「ブランド」という定義が活用できるのかという問題にもなってくると思う。
問題は、新しく作り上げた「ブランド」を一つの大規模小売業(ここでは総合スーパー)が独占的に内部だけで展開するには、その母体となる大規模小売業のネームバリューが非常に重要な問題となってくる。

今回ヨーカドーが注目(仮想敵?)したユニクロの現状を見てほしい。確かにSPAで品質が良く、安価な衣料品を手に入れることが出来ることは消費者の最大のメリットがあった。しかし、品質を維持すると同時に差別化は色だけを変えることであり、その他デザインが全く同じであることを前提とした大量生産に付随する価格の引き下げを計ったことは、最初は注目を浴びたが、後々消費意欲の低下を生み出すことになった。何よりも、品質以上に安価な商品の部分が常に注目され、それゆえ安っぽい「ブランド」のイメージも生み出し、今日ではこちらの方が強いように思う。批判を浴びることを承知で書くならば、すでにイトーヨーカドーそのもののブランドイメージが安いものという側面が強く、それゆえ、どれほどよい製品やブランドを開発しても、ヨーカドー1社の独占的な管理下で運用すれば、失敗する可能性が非常に高くなるという話になる。

もし新しく作り上げたブランドを長く、成長させていくには、ヨーカドー内で立ち上げたブランドを他のスーパーや百貨店の1テナントとして出店させ、そこで厳しい外部監視や競争を受けさせることが重要なのではないだろうか。つまり、無名に近いブランドを成長させるために、「修行」させるのである。

話を藤巻氏の福助社長辞任に戻そう。個人的な感想を言えば、内部活用のみのヨーカドー新ブランド立ち上げよりも、福助のブランド成長の方がやりやすく、面白かったのではないかと思う。外部から見る限りでは、藤巻社長のもとにおける福助の新成長は始まってそう時間がたった訳ではないし、市場の拡大もまだ途中だからだ。まあ、辞任の理由は他にもあるのかも知れないが・・・・