芥川・直木賞の7年ぶりの4人受賞で華々しく幕を開けた平成23年の出版界だった。3月の東日本大震災では、紙やインクの不足、物流機能のマヒといった試練にさらされる一方、東北の被災地で書籍の売り上げが伸びて本の力を改めて印象づけた。そんな「特別な年」。オリコン年間売上部数ランキングから見て取れるのは、ミリオンセラーの多さだ。期間内推定売上部数が100万部を超えたのは、文芸書としては『1Q84 BOOK1』(21年)以来の1位となった『謎解きはディナーのあとで』以下7作。昨年の2作を大幅に上回り、集計を始めた19年以降で最多となった。『謎解き-』は今年の本屋大賞受賞作。大企業の令嬢刑事と、毒舌執事の掛け合いが魅力のユーモアミステリーで、今秋のテレビドラマ化も貢献した。期間内推定売上部数は163・6万部で、『ハリー・ポッターと死の秘宝』が記録した最多売り上げ162・5万部を3年ぶりに更新。人気は旧作にも及び、著者は作家別ランキングでも234万部で圧倒的1位だった。ただトップ10のうち23年に刊行されたのは3作だけで、上位の顔ぶれは昨年と一部重なっている。3位『体脂肪計タニタの社員食堂 500kcalのまんぷく定食』と4位『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』は、それぞれ昨年の4位と1位。それでは、読んでみようかな~
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