月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

彼岸御縁

2012年03月18日 20時30分42秒 | 仏々相念(住職日記)

温かいよな~・・・

 

お参りさせていただくところ、どこも優しく迎えて下さいます。

「住職さん、ようお参り下さいました!」

人生の先輩方々が痛い足を折り曲げ丁寧に挨拶をして下さるのです。

「もう、いいですよ!足を着かなくても・・・立ったままで構いませんから・・・」と言っても膝をつかれれるのです。

私も思わず手を着き挨拶させていただくことです。

 

「住職さん、私もメガネをかけなければいけなくなってしまいました。」って施主様の奥様がおっしゃいます。

80も過ぎたお方ですが、笑顔の優しいお方です。

「よく見えるようになられましたか?」

「えぇ~えぇ、手術するまでは見え難く痛かったのですが、今はよく見えます。」

「それは良かったですね!男前の私も良く見えるでしょうか!」

そう言うと、最高の笑顔で微笑んで下さいます。

 

こんな優しい空気に包まれるとこの家から出たくなくなります。

「仏法はゆったり聞かせて頂いたらいいんですよ!」って恩師がおっしゃいました。

まさしくこの空気だよな~って思いながらお勤めさせていただいたことです。

 

先日、本山から送られてきた新聞「安穏」

ま~、どれだけの予算があるのか知りませんが、大層な新聞を日本全国の寺院、門徒にお配りになられます。

正直、配る手間を思えば不平不満が出るのですが、これも御門徒の血と汗の御懇志で作られていると思えば粗末にも出来ず何とか配ることです。

しかし、タイミング悪いよな~・・・

もうちょっと早ければ「月のひびき」と一緒に配っていただき手間を取らせずに済んだのですが、再び総代さんや世話役さんに御苦労をおかけすることになりました。

とりあえず今日お参りさせていただく近所の村には配ろう!

その村その村を数え束にします。

それから考えるのです・・・

あそこのお家にはあの村からお参りになっているよな~

そしたらあの方にお力いただいて持って行っていただこう!

ずる賢い考えを抱き、御門徒宅にお参りするとやっぱり来られています。

「オジサン、すいません・・・〇村の総代さんHさんにお渡し願いませんでしょうか?」

「はいはい、分かりました。持っていきましょう!」

「ありがとうございます!助かります!」

こんな若輩者の勝手なお願いを聞いてくださるのです。

優しい空気の中で過ごされておられるからでしょうか・・・

 

「御院さん、時が癒してくれるんでしょうか。涙も次第に出る量が減ってきました。」

「そうですね、徐々に・・・ですね!」

この方も愛する人の死に向き合います。

ガンバりやさんのオバサン・・・

御主人が亡くなるまでは低血圧でしんどい思いをされていたのですが、先日は高血圧で病院に駆け込んだとか。

医師曰く「御主人を亡くし沢山沢山泣いたから血の循環が良くなり上がったのでしょう!」

「元気になって帰ってきました!」ってとても良いお顔で微笑まれます。

愛しい娘さんやお孫さん、愛犬たちが支えてくれるから辛くとも微笑むことができるのでしょう・・・

次第に元気になられます。

「御院さん、牡丹餅がお飾りに上がったら立ち直ったと思って下さい!」

「はい、その日を待っています。でも、無理せずに泣きたい時はいっぱい泣いていいんですよ!」

って、別れて帰ってきました。

 

彼岸というひと時の中に、どれだけの方々の支えや優しさをいただくことか・・・

力、いただくことでやっと、この私もやっとお浄土への道を歩ませていただくことです。

気付きながら・・・

気付きながら・・・

 

優しい一日でよかったな~!