循環型社会って何!

国の廃棄物政策やごみ処理新技術の危うさを考えるブログ-津川敬

長崎諫早で助燃コスト等が約束の3倍

2008年03月13日 | ガス化溶融炉
ゴミ処理施設コスト、応札条件の3倍 組合が溶融炉受注会社に負担要求=長崎
2008.02.26 西部朝刊 31頁 (全495字) 

◎諫早ゴミ処理施設
 諫早市にあるゴミ処理施設「県央県南クリーンセンター」を運営する広域環境組合(管理者・吉次邦夫諫早市長)が、ゴミ焼却時に必要な助燃剤のガス代金などが応札条件の3倍以上に膨らんでいるとして、焼却炉の建設を受注した「JFE環境ソリューションズ」(本社・横浜市)へ、こうした代金の一部負担を求めていることがわかった。
 施設は諫早、島原、南島原、雲仙の4市でつくる同組合が147億円かけて設置し、2005年4月に稼働。高温でゴミを溶かす「ガス化溶融炉」を3炉採用、年間8万トン余を焼却すると同時に発電もする。
 組合によると、ガス、電力、水道などの用役費は、年間約1億7700万円を基準としていたが、05年度はガス代だけで約3億2800万円、06年度は約3億6200万円かかった。
 また、3炉運転で1キロ・グラム当たり2100キロ・カロリーの発熱量のゴミを燃やせば稼働に必要な電力をまかなえる計算だったが、両年度とも十分な発電量が得られず、各2億円を超える電力を購入した。
 同センターは初期トラブルが相次ぎ、現在も1炉は改修工事中。組合は「いくらJFEへ負担を求めるか詰めている状態」という。 読売新聞社


 筆者が諫早に入ったのは2005年9月のことです。プラントの周囲に反対運動の立看板が林立し、ピットには通常の5倍ほどごみが堆積していました。当時から液体酸素と天然ガスのタンクローリーが頻繁に出入りし、運転に苦労している様子が伝わってきました。以下は当時「止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク」の機関誌に寄稿したルポです。

◆長崎県諫早市でサーモセレクトがトラブル
長崎県諫早市は今年(2005年)4月に合併。周辺10町を含めた広域(県央県南広域環境組合)によってこれも今年4月から300トン(100トン3基)のサーモセレクトが動いています。この機種はガス改質型といってかなり特殊なガス化溶融炉です。すでにドイツでは99年から2000年にかけ大きな事故を起こし、採算が合わずに業者が撤退した欠陥炉です。日本でも青森県むつ市で放散塔(事故が起きたときガスを逃がす装置)の爆発事故を起こしたことは有名です。諫早でこれを導入するときにかなり黒い噂があり、住民の反対運動も激しかったのですが、それを振り切っての稼動でした。
 案の定ごみの処理が追いつかず、ピットに一時20日分(4900トン)も滞留してしまいました(現在は約3000トン・15日分)。本来ピット限界は7日分だそうです。
現地諫早市民は「欠陥商品ではないか」「このままでは永久に金喰い虫」との不安と怒りを持っています。施設(県央県南クリーンセンター)周辺は反対地権者が土地を売らないため、ところどころで虫食い状態になっており、そこにはいまも施設反対の看板が建っています。
施設に入ったのは9月16日午後ですが、組合側は予想以上にピリピリしていました。この日、市議会でセンター問題が論議されるということで管理職が不在。残った職員には緘口令が敷かれていました。排水、エネルギー収支、放散塔などの質問にも、「見学だけというので承諾した。質問は後日文書でお願いします」を繰り返すばかり。市民との仲は相当に険悪になっています。
ピットはもう限界でした。それでも一時、20日分滞留していたものがようやく15日分(約3000トン)に減ったと、職員はそのことだけ嬉しそうに話していました(写真)。
 最終処分場にはスラグが山積みになっています 。ただしこれは現施設からのものではなく、旧炉(まだ十分使える上に当時としては珍しくクボタの表面溶融炉を入れていました)のスラグです。現施設からのスラグは全量メーカー(JFE)引取りになっています。この面でもスラグのJIS化が急がれているということです。
 当日午前と午後3台ずつ、液体酸素と天然ガスのタンクローリーがセンターに入っていました。助燃をバンバン使わないと3炉フルに運転できないためです。
 市民たちが問題にしているのは今後急増するであろう用役費、補修費などで、運動の方向を財政問題(税金の垂れ流し)に絞ることを確認しました。つまり税金の垂れ流しを許さないという運動ですその趣旨は九州全域、中国・近畿地方(出雲、高砂など)の賛同を得ましたので、近々連絡会を立ち上げ、今年か来年早々に福岡もしくは諫早で交流集会を持とうと、現地での話し合いがつづけられています。                                           (津川 敬)


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