今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・高田山、不納山

2013年11月05日 | 山登りの記録 2013
平成25年11月2日(土)
 石尊山1,049m、高田山1,212.0m、不納山1291.1m、水晶山892m
 
 この10月は毎週台風がやってきたことで、残念ながら山に行けなかった。10月に一回も山に登れないのは初めてだ。暑くも寒くも無い丁度良い陽気、空気が澄んで景色が良く見えること、紅葉で彩られること、キノコが採れる事、など多くの理由でこの時期はいつもより山に登る回数が増えるのが常だ。キノコはこのところ放射能の影響もあってお楽しみに入れてはいないが…。そんな訳で、一ヶ月ぶりの山になってしまった。この秋に登ろうと思っていた山は、ほとんど来年へ持ち越しになりそう。

 早くも11月になった。3連休だが、日曜は仕事だし土曜が一番天気が良い予報だった。一ヶ月のブランクもあり、連休に1日だけでは遠出も厳しい。県内でもあまり登っていない北毛方面、昨年登れなかった木戸山途中から見た四万温泉周辺の高田山と不納山を選んだ。これらの山は連休でも沢山の人に会うことも無いだろう(高田山は沢山登っていた)。

 高田山は一等三角点(補点)の山だ。この辺りでは比較的その山容から目に付くし、名前もそこそこ知られた方だが、地味な山であることには違いない。不納山は分県ガイドや幾つものガイドブックに紹介されてはいるが、今回登ってみてテープ類はあるものの、道も判然としない薮山で、一般登山ルートとしてはどうかなあ?という感じもした。ここでは全く人の姿を見なかった。金曜の夜に家を出て高田山登山口へ向かう。中之条から四万方面に向かい、バイパスから左に入った駒岩集落の集会所に車を停める。バイパスの分岐には大きな『高田山・石尊山登山口』の看板があり、集会所が登山者駐車場ということになっている。地元の方の好意でこんな形になっているのだろう。しかし、駐車場は狭く4,5台ですし詰めだった。隅の方に停めて冬用のシュラフに潜る、外気温は6℃しかなく寒い夜だった。

 5時半に目が覚めるが、まだ薄暗い。6時に起きて6時30分に出発する。集会所の一段上の旧道沿いに登山口があるようだ。道路に上がると集会所上の家の犬がワンワンと吼えたてる。この犬はこの辺一体の外来者センサーの様だ。道をだれかが通過すると構わず吠え立てる。犬が吠えると向かいの石材店の窓からおばさんが顔を出し、この建物の横に登山者ノートが置いてあるので記入してくれと言う。裏手に回り、記帳してそのまま舗装された小径を上に向かう。農家らしい2,3軒の家の脇を通り抜け、水路を渡る所にシカ避けネットが張られて、そこにまた石尊山・高田山の標識があった。ここから山道になる。駒岩集落の向かい側の山にも、同じ様に山の傾斜地に点在する集落が見えている。山々は紅葉し始めて、黄や赤に染まりつつある。下でまたあの犬が吼えていた。

 杉林を抜けると、カエデの林になる。まだこの辺りの木々は青々としている。ヒルに注意を促す看板が立っていて、忌避剤をズボンの裾に吹きかけろ…とか書かれている。鳥居を潜り、尾根状の登りを少しで、今度は山腹を絡んで登る。すぐ上をノロノロと動くモノが居る。カモシカがのそのそ歩きながら、ちょっと迷惑そうに振り返って尾根の向こうに消えた。尾根に上りあげると、消えかけた『獅子岩の井戸の水場』の標識があるが、その水は滲んでいる程しか湧き出していない。明るい落葉樹林から、一旦薄暗い尾根の北側を絡んで急な登りで稜線に出た。カエデ主体からナラの樹林になる。黄色く色づいているものもあるが、まだ半分くらいは緑のまま。登り上げると南に眺めが開け、低木に囲まれた石尊山山頂に8時13分に出た。石祠と三角点がある脇には消えかけた石尊山の標識が立っていた。奥の木の枝にはすかいさんのプレートも見える。このピークは南方面の眺めがあるが、今日はこの時間ではまだ低い太陽のせいばかりでなく、全体にもやもやと薄雲が覆っているのか、すぐそこの山でさえ、はっきりとは見えない。薄紙を透かしたような景色だった。

 石尊山からは滑りやすい急斜面を下って、登り返すと岩混じりの尾根になった。薬師岳と吾嬬山が薄っすらと見える。本来であれば、ごく近いこれらの山々はもう少しはっきり見えるのだろう。直ぐそこにある高田山は黄や赤の彩りをまとって見えているが、この先3回ほど稜線に切れ込んだギャップがあって、足場の悪い岩混じりの急な上り下りで小さなピークを越えていくので、見た目よりは時間が掛かる。不納山は見えるが、木々越しの木戸山方面は雲を乗せて霞んでいて山頂部は見えない。この辺りでは、ドウダンツツジ特有のクリムソンレッドの紅葉が、ようやく薄く色づいてきた周囲の木々の中で一際目に付く。8時45分にカヤトの原の枯れ残りみたいな雰囲気の高田山の山頂に着く。ガイドブックではもう少し眺めが良いように書いてあるが、南西と南東に少し眺めがあるくらいで、ほぼ木々に囲まれ大した眺めは無い。一等三角点(補点なので少し標石が小さいのだろうか?)の後ろには高田山の標識が立っていた。誰も居ない山頂で、みかんを食べてオカキを少し摘む。展望もロクに無いので写真に撮るものも無いし、今日はそうでなくとも、全体にもやっていて景色は良く見えない。

 9時に高田山を下る。石尊山までは滑りやすい急な上下をして、石尊山手前の痩せた岩稜で高田山を振り返る。紅葉はようやく7分といったところだろうか、ドウダンの他はカエデがやや赤くなりつつあるが、ナラの黄は茶色くなる手前で、ナラが美しく黄色く色づくのはやはりこの辺りでは大変珍しい。9時28分に石尊山に戻ってきた。登りの、朝日が逆光の時よりもやや良いとは言うものの、遠くは霞んで矢張り見えない。中之条町の町並みが一番遠くで、薬師と吾嬬までしか見えないのだから、その向こうの山々はみな白いもやに隠れている。11月の晴れとしては珍しい天気だ。

 石尊山からカエデの尾根を下っていく所で一人、獅子井戸の辺りで一人、後続の人が登ってくる。ああ、今日はやはり3連休だから登る人も居るんだな、と思って登山口まで降りてきたら、なんと20人以上の団体さんが金魚のうんこになって登ってきた。上でこんな人たちと一緒じゃなくて良かった。公民館の駐車場にはぼくの他に2台の車が停まっていたが、練馬、とちぎ、と他県のものだった。団体さんのものと思われるバスは、この後向かった四万温泉分岐の道路脇に停めてあったのがそうだったのだろう。10時20分に車に乗って、次の不納山へ向かう。

 四万温泉に向かう道を走ると、しばらく正面に紅葉したコシキの頭の岩峰が見えていた。バイパスで四万温泉分岐から先に進んで、旧道の四万川ダム手前、譲葉(ゆづりは)の旅館街先の道路脇にある稲包神社の鳥居が不納山の登山口だ。『水晶山・不納山登山口』の標識もあった。10時48分に鳥居の手前公園側の空き地に車を停めて出発する。四万川沿いを散策する観光客が何人も歩道を歩いていた。周辺の紅葉は高田山辺りより進んでいる感じだ。道路脇の階段を上って鳥居をくぐり、すぐ上に稲包神社里宮がある。ここには稲裏地神之碑(いなつつみじがみのひ)という重文もあるが、この神社は稲包山山頂にある奥宮の里宮で、県境の稲包山は古来から信仰を集めていたらしい。他にも詩碑などもあって独特の雰囲気があった。ここから登山道は水晶山歩道として整備されていたらしいが、急な登りを進んでいくと、倒木があちこちで道を塞いで道は落ち葉に埋もれている。最近はほったらかしといった感じの道だった。

 雑木の紅葉を楽しみながら、かなりの急登をゆっくり登っていく。一登りすると、ベンチとクマ避けの鐘がぶら下がっている。昨年木戸山に登っていく新行山付近の林道でも見たが、鉄製の細長い小さな鐘をハンマーで叩いてクマに人が居ることを知らせるモノのようだ。ここの登山口にもあったヒル避けの忌避剤(もうスプレーには何も入って居なかった)といい、設置した中之条町は随分親切?だなあと思う。木々を透かして北にとんがった稲包山が見えていた。さらにしばらく登ると水晶山分岐に11時半に着く。水晶山へは真っ直ぐ、不納山には尾根を直上する。不納山へは標識もないばかりか、登山口以外には不納山の名前すら無かった。赤テープはあるものの、落ち葉に埋もれたルートは道という程のものではない。尾根を登り上げたところが986m標高点で樹林越しに青い四万川ダム湖を見下ろす。木々がないところは全く無く、ダム湖を良く見ることはできなかった。

 986m標高点からは一直線の急な登りになった。行く手に高く不納山の高まりが見えているが、まだかなり上に見える。ミズナラの明るい尾根は気持ちが良い。ミズナラはなかなか黄色に色づかなく枯れ色になってしまうことが多いが、ここも茶色になっていた。ようやくきつい登りを終え、11時44分に1,221ピークに着いた。ここまで登れば、馬蹄形に続く不納山の山頂稜線の一角だが、2山目でもあり大分疲れてきた。不納山の山頂稜線は膝丈の笹に覆われている。道は無く踏み跡も薄い。テープや赤ペンを拾いながらのルートで、多くのガイドブックに紹介されている山という感じではない。幾つもの小ピークを越えて、三角点の周囲も笹に覆われた不納山山頂に1時丁度に着いた。

 三等三角点標石と小さな標識、Gさんのプラプレートがあった。先の1,300m最高点まで行ってみたが、ここも笹に埋もれてブナの幹に赤ペン文字で△1300mと書かれているだけで何もない笹原だった。人の気配もしない好ましい所だ。秋の陽は早くも傾いて赤みを増してきている。ここで荷を下ろして休憩する。リンゴやハンバーガーを食べて静かな山を満喫。ナラは茶色だが、カエデは赤く美しく色づいていた。ちょっと横になって一眠りする。不納山山頂に戻り、1時49分に山頂を後に引き返す。幾つもの小ピークを忠実に辿って2時半に水晶山分岐に降りて、水晶山に向かう。尾根を南に回り込むほぼ水平な道を歩いていく。途中ちょっと休んで15時11分に水晶山到着。水晶山とは言うものの、ここは大きな岩の上にハシゴが掛けてあり、祠が祀ってある展望台だった。相変わらず景色は霞んで朝登った高田山が薄らと、真下には四万温泉の建物が見えていた。

 水晶山の展望台を降り、そのまま温泉街への道を下る。3時45分に登山口に降りた。登山口から林道に出るところに秋葉神社があり、そこに妙に生活臭のする双体道祖神がある。何だか特定の誰々さんをそのまま道祖神にしたような感じがするのだった。譲葉に向かう旧道に下って温泉街を見下ろしながら、譲葉まで歩いて戻る。すっかり夕暮れ色に染まった四万川を見て、4時9分に車に戻った。

 帰りは四万川ダムの畔にある日帰り温泉『こしきの湯』に寄っていく。5時で閉館とのことで、40分間で入浴しなくてはならない。こしきとは「コシキの頭」からの命名なのだろう。そういえばコシキの頭も未登のままだ。四万温泉周辺には無料の共同浴場を始め幾つもの入浴施設があるが、こしきの湯もその一つで、四万川ダム建設後に出来た一番新しい入浴施設なので一度入ろうと思っていた。小さな内湯だけでカランも3つしかないこぢんまりした温泉だった。時間が時間なので他に入浴している人もなく、完全貸切状態だ。窓の外はダム湖を俯瞰する展望が広がっている。雲が覆い始めている不納山がダム湖の上に見えていた。時間が気になって慌ただしく、独り占めでもイマイチな印象だった。やはりこの辺では清流の湯が、施設・ロケーションともベストだろう。源泉かけ流し?なのかは不明だが、透明で全く匂いもしない温泉だった。入浴してさっぱりと帰路についた。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
紅葉狩り (しぼれ)
2013-11-07 15:13:45
あさぎまだらさん こんにちは
連休紅葉7分の情報で高田山へ行ってきました。快晴だったのですが、遠くの山は×、でも登り残しは35項目になりました。ありがとうございました。
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35項目? (あさぎまだら)
2013-11-08 02:01:15
しぼれさんこんばんは。
登り残しってあのガイドブックの山ですか?
群馬100のことかな?
紅葉は最盛期みたいですね。
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不納山ってぶのうやまって読むんですね (ノラ)
2013-11-11 22:03:33
あさぎまだらさん こんばんは。1周遅れのコメントです。不納山ってぶのうやまって読むんですね。知りませんでした。
高田山の山頂は木がだいぶ育ってますね。その内私が行った時の山頂写真を公開して見ます。水晶山は登ってみたかったんですがまだ果たせずですね。紅葉は結構きれいに見えますね。でも山ビルがいるとなると時期を選ばないと行けませんね。
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水晶山は地点名です (あさぎまだら)
2013-11-12 02:09:46
ノラさんこんばんは。
「ぶのうさん」らしいです。ブナが生えている山、「山毛欅生山」なのでしょうが、当て字なのでしょう。地味な藪山ですが、この山は記録にも書いてありますが山容が独特です。きれいな馬蹄形をしていて、遠くから眺めると個性的な山です。
高田山の山頂はカヤトの原の周りを木々が囲んでいて眺めは良くなくなってしまったみたいでした。かつての写真を古いガイドブックなんかで見ると木々が切られていたようですね。県央の子持山もそんな感じです。昔は眺めが良かった山でしたが、今は木々に囲まれてしまって眺めは良くありません。
水晶山は山では無く、展望台の地名です。水晶山というピークはありません。かつてこの付近で水晶が取れた「水晶山・すいしょうやま」という地点名なのでしょうね。
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