今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・南木曽岳

2015年05月21日 | 山登りの記録 2015
平成27年5月3日(日)
南木曽岳1,676.9m

 去年の年末に埼玉秩父の四阿屋山と破風山に登ってから4か月、年初に寒波で出ばなをくじかれたことも一因だが、そのまま山をお休みしていた。桜が咲いても、今度は仕事の都合で始動できないでいたら、とうとうGwになってしまった。しばらくのブランクで脚も萎えてしまったが、27年の初めての山は、前から気になっていた木曽方面、中央アルプス前衛の南木曽岳と糸瀬山に登ることにした。幸い2日から6日までは休みだが、そうは言ってもイベントなどの都合で途中一回くらいは仕事で顔を出す必要がある。この時点では後半お天気が良くなさそうな予報を信じて、3、4日の2日日程と決めて2日の夕方に家を出た。行きは高速を利用して時短する。飯田山本ICで一般道に降りて、R256で南木曽岳登山口の蘭(あららぎ)という集落に向かう。

 蘭集落からキャンプ場を示す標識を確認して林道を奥に進むと、煌々と明るく照らされたキャンプ場を過ぎる。昔は夏休みのときくらいしかキャンプ場は盛況ではなかったと思うが、今は一年中キャンプを楽しむ人が多いようだ。GWなので子供連れが多いのかと思ったら、大人同士のグループや結構年齢の行った人たちのグループ等も見かけた。キャンプ場から南木曽岳の標識を見て更に林道を奥に進むと、南木曽岳登山口駐車場の看板を見る。林道を左に入ると10台以上停められそうな広い駐車場があった。今のところは車は無い。入り口の近くに停めて仮眠をした。

 朝5時30分にアラームで目覚める。寒いような暑いような感じで、夜中に何度も目が覚めた。支度をしている間に2,3台車がやってくる。この駐車場の先に進んでいく車もあるので、先に駐車場があるのだろうか?6時3分に駐車場を出て先に進むと、林道は左に折れ、そこに南木曽岳登山口避難小屋というのがあって、そこにも5、6台車が停められる駐車場があった。支度をしている人やもう出発していく人等、既に結構人がいる。GWでもあるし、元々人気の山であるようだ。トイレを済まし、登山者カードに記入して6時30分に林道を更に進むと直ぐにゲートがあり、ゲートの手前右に登山道入り口(登山口までの近道の入り口だそうだ)があった。この道は遊歩道といった感じで、林道のカーブを直進する形で付けられ、途中に四阿などがあった。再び林道に出て、少し先に進むとそこに本当の登山口があった。登山口の標識のほかに、金太郎伝説の看板や、付近一帯の地図がある案内看板などもあった。6時45分に登山口から登りだす。

 沢沿いの道を進んでいくと、15分程で二股の分岐に出る。ここが上り登山道と下り登山道の分岐地点だ。必ずそれに従うというものでもないのだろうが、下り専用?の方が傾斜がきつくハシゴヤクサリが多いということらしい。実際にこの山を登った感じでは、登山道は良く整備され、以前のクサリ場はほぼ木のハシゴに置き換えられていて、険しい修験道の山という割には特に危険な場所も無かった。一度沢を反対側に渡ってから、後は急な上りをどんどん登っていく。先に登っていたらしい数人を抜いて、また後方からやってきた早い人に先を譲って後先になりながら登っていく。この辺りの樹種は木曽特有なのか広葉樹林は直ぐに尽きて、コウヤマキの薄暗い巨木林になった。森の中からはアオバトののんびりした声が聞こえてくる。高度を上げると木々が切れ御嶽山が見えてくる。噴煙は大分少なくなっているようだ。見晴らしが良くなって、しかし尾根はますます急登になった。岩場になるが、クサリが垂れた道は右手に木のハシゴや桟道に置き換えられて、難なく登っていける。見晴らしの良いベンチがある休み場を過ぎる。この辺りはあちこちにピンクの花が見られる。それはアカヤシオで、この登りの尾根も結構沢山咲いていたが、下りの尾根はそれ以上に花の盛りで美しかった。丁度花期だったようだ。

 かぶと岩という看板を過ぎ、ますます急な登りが続く。向かい側の下りにとる尾根が望まれるが、そこはもっと急のようだ。傾斜が緩んで樹林の中をしばらく蛇行する様に進むと、笹藪がぽっかりと抜けたそこには南木曽岳頂上と刻まれた立派な標石が立って、二等三角点標石やベンチがある小広場になっていた。ここはまったく展望も無く、休んでいる人も居ない。山頂の写真を撮っていたら、後から来た人が2人とも山頂標石には一瞥もくれず、ためらうことなくそのまま通過していった。後で分かったのだが…この山は何度も登っているリピーターが多く、初めてでない人は何も無い山頂はこうしてみな素通りしていくらしかった。8時31分に南木曽岳山頂着。他の人に習って、ここでは休まずに平坦な山頂を進んでいくと、大きな「南木曽岳山大神」と刻まれた石の西側が開けている。先に進んでいった人は丁度その時そこから引き返してきた。そこは南木曽町の集落を真下に俯瞰する花崗岩の展望台だった。木曽川に沿った町並みの周りは雲が多くて見づらいが重畳たる木曽の山並みの襞で、それらの上には未だ雪を頂いた御嶽山と乗鞍岳が浮かんでいた。

 展望台も長く休むところでは無いようだ?先行した人たちがさっさとここでも去っていったところを見ると、先の方が休むのにもっと良い場所であることは間違いない。足元には笹の下にショウジョウバカマの群落が広がっている。上りの尾根でも幾らか見たが、ここから頂上の避難小屋周辺は大きな群落になっていた。展望台から先に小山を越えて下っていくと、木々が切れて笹原が広がる。中央アルプスの連嶺が薄っすらと並んで見え、下に赤い屋根の避難小屋と真新しいトイレがあった。建物が立つ窪地の向こうに小山があって、眺めのよさそうなそこには人が集まっているようだった。

 避難小屋を覗くと、新しくは無いがきれいに整頓されている。記録ノートが山になって積んであるが、中を見ると10年も前に書かれたものまである。小屋の脇には作られたばかりのバイオトイレがあったので、利用させてもらった。非常にキレイで快適だ。トイレから出て展望台になっている小山の上に行くと(ガイドには女岩展望台とも書かれている)、ベンチ等があってここがこの山の一番のお休み場所だった。そこには4人程先行していた人が休んでいた。一段高くなっている所に上って周囲を見回す。ここからだと中央アルプスの峰々は主峰群がやや北に固まって見えている。まだ残雪に輝く中央アルプスの連嶺と木曽川を挟んで反対側には御嶽山と乗鞍岳が浮かび、明日登る予定の糸瀬山がその間に見えていた。こうして岩場もあり、展望もあり、そして笹原も広がっているという変化のあるロケーションの良い山である故に南木曽岳は人気もあるのだろう。

 清見オレンジやパンを食べ、展望も一通り楽しんだ後、やがて先に居た人達も去った。静かになったところで、一枚岩の上に横になってしばらく居眠りをした。15分くらい眠ったのだろうか?若い女性の元気の良い声で目が覚めると、男女5人くらいの若者グループと年配の3人組が丁度ここに着いた所だった。それをきっかけに下ることにする。10時10分に展望台を下ってコブを上り下りした先が魔利支天と名づけられたピークだが、そこに登っていく斜面から後ろを振り返ると、笹原も美しい南木曽岳山頂部の景色が良く見えていた。この辺りも足元にはショウジョウバカマが群落になっていた。魔利支天は南に突き出したピークで、岩の上が展望台になっている。全体として景色が少し霞んでいてその上に登ってもあまり良い眺めではなかった。

 下り専用の道は確かに急だが、ほとんどは木のハシゴが付けられていて危ないところもなくどんどん下っていく。この尾根も登り専用尾根以上にアカヤシオが盛んに咲いていた。汗ばむ様な陽気で、この時期に下っているのに汗でびっしょりになった。登山口に下りていくと、上り下りの分岐辺りで軽装の若い男女がこんな時間から登っていくようだった。頂上部を立ち去る時に登ってきてこちらに向かってきた家族連れのグループには子供も混じっていたし、この山はこんな風に安易に登っているハイカーも多い様で、それだけこの地域ではポピュラーなハイキング山だということなのだろう。林道をショートカットする遊歩道の中間にあった四阿で、荷を置いて湯を沸かしカップラーメンを食べて少し休んだ。

 登山口に下りる林道手前から、遊歩道が伸びていて『男滝・女滝300m→』の標識があるので、ついでにそこを見てくることにした。木道状の道を進んでいくと、直ぐ下は登山口避難小屋と駐車場が見える。尾根を回り込むようにしてからやや登って沢に下ると、落差10m程の男滝がある。水量はそれほど多くは無いが、大きく2段になって水しぶきを上げ大きな音を立てている。何と無く蒸し暑いような陽気で、この滝の景観は涼しくて気持ちが良い。更にもうひとつ先に進んで次の沢に出ると、男滝よりやや優美な雰囲気の女滝があった。落差は同じようなものだが、水が落ちる感じが違う。大きく白いしぶきを上げている方が、やはり男滝という雰囲気なのだろう。滝を見て引き返し直ぐに登山口に下りた。午後の暑い日差しで景色が白っぽく見える。広い駐車場に12時40分に戻ると、車はほぼ一杯、途中の林道にも車があちこち停められていた。支度をして、林道を戻って蘭集落まで出て、R256を南木曽町中心部方面に向かう。途中のキャンプ場は人が大勢で賑わっていた。

 『あららぎおんせん湯元館』という日帰り温泉施設に寄って汗を流す。ここは平屋建てで、木曽らしく蕎麦等を食べさせる食堂が建物の半分で、到って質素な簡易施設という感じだ(その割には蕎麦の値段は高かった…)。駐車場は結構沢山停められているので、さぞかし温泉は混んでいるのでは?と思ったが、食堂の方が混んでいて温泉はそれ程でもなかった。檜を使った湯船だが、余り広くない上に露天風呂も無い。お湯は無色透明で特に特色は無い単純温泉の様だ。木曽方面はあまり立ち寄れる温泉が多くなく、選択の範囲が狭いから仕方がない。

 とりあえず、身体だけはさっぱりと汗を流して気持ちが良かった。GW中なので道は車で一杯だし、明日登る糸瀬山方面に向かう木曽街道も観光客らしい他県ナンバーの車が多い。妻籠宿の横を通り過ぎたが、外人も目に付き人が多く賑わっていた。午後2時を過ぎたが、時間的に中途半端なのと疲れたこともあって、コンビニの駐車場に車を停めてしばらく昼寝をする。夕方になり、そのコンビニで弁当を買って夕飯とし、そのまま糸瀬山登山口の林道に向かった。

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