今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・大猫山

2015年08月16日 | 山登りの記録 2015
平成27年7月25日(土)
 大猫山2,070m

 さて、また2ヶ月のブランクになってしまった。5月には随分沢山山に登ったが、梅雨に入った所為もあって、6月は一度も山に行っていない。とうとう7月になって、もう梅雨も明けてしまった。本来ならアルプスに行く準備をしている時期だろう。今年の場合は身体がなまってとてもいきなりアルプスなんか無理だ。ということだが、金曜に休みもとって3連休にできた。ところが、金曜は気圧の谷が通過するとかで、雨の予報。この日に出発することにして土曜に登る。そういう予定で遠出することにした。東北は未だ梅雨が明けていないようだ。なので、昨年登った富山の毛勝山周辺で、次に登ろうと思っていた大猫山と猫又山に行くことにした。ある意味ではここもアルプスに含まれるのだろうか?北アルプス前衛という位置付けだろうか。毛勝に比べれば若干良いとは言え、ここもしかしかなりのきつい山。ブランクになまった身体で、果たして登れるのだろうか…。

 金曜は雨も降ったが概ね曇りで、前日までの暑さは幾分和らいだ。午後早く2時ごろ家を出てスーパーで食料を買い込み、高速で富山に向かった。梅雨が明けたばかりの週末、金曜の午後なのだから、海水浴場も途中には沢山あって高速も車が多いのかなと思っていたが、案外ガラガラで順調に走った。余り急ぐこともないから、何度かPAで休んで夕飯も食べ夜の8時過ぎには滑川ICを出た。昨年の毛勝の時もそうだが、ICを降りると田んぼの中をしばらく走り、山間を遡る道になる。今回はコンビニが一軒だけあったが、その他には20km近く走る中で店らしいものも無かった。大猫山の登山口は馬場島の先にある。馬場島は剱岳の早月尾根登山口になっているが、日本一きつい登山道というふれ込みもあるくらいなので、梅雨明け最初の金曜日とあっても停めてある車の数はそれ程多くはなかった。

 馬場島の先で道は二股になりブナクラ・赤谷は左と指示されていたので未舗装路を少し進むとゲートが閉まっていてその先には進めなかった。ヤマケイの分県ガイドによれば登山口のブナクラ取水口まで車が入り、そこに駐車場があるという記述があるが、ここも昨年の毛勝山の時と同じで、手前にゲートがあってそこまでは行けないのであった。ここから登山口までどのくらいあるのだろうか?とにかく、ゲートには鍵が閉まり先には進めないのでゲート前にある駐車余地に車を停めた。夜の9時を回ってしまった。明日の予定はかなりの長丁場なので、4時に起きて4時半に出発とするとなるべく早く寝なくてはならない。ゴウゴウと雪解け水が流れる大きな沢音聞きながらシュラフの上に横になった。とても暑くてシュラフには潜れない。夜中に何度か目が覚めたが、アラームが鳴る前に起きた。少しずつ朝も遅くなってきているので、4時はまだ薄暗い。

 パンを食べて支度を済ませ、4時半に車を出発する。ゲートの先は舗装路と未舗装路が交互にあるが、林道の傾斜は結構きつい。ぼくだけでなく登る人も結構多いのでは?と予想していたが,暗に反して他には誰も居ない一人での登り始めになった。多雪で、雪解けの際に流されてしまうので沢を渡る橋は取り外しができる様になっている。橋の上からのしかかるような剱岳の下部が見えてきた。空は良く晴れているが剱岳の上部は雲に埋まっていた。正面に池の平山辺りのギザギザが良く見えている。橋を渡り、更に急な上りのコンクリート舗装林道になってブナクラ取水口堰堤に5時に着いた。工事現場のプレハブ仮設建物があり、重機が置いてあるが人は居なかった。堰堤の先には立入り禁止の大きな張り紙や看板類があった。ブナクラ峠へ向かう道は登山道の筈だが…。手前の山側の藪に『登山道』と書かれた標識が立っていた。ここが大猫山の登り口であることに間違いない。ブナクラ谷の向こうには鋭角の赤谷山が聳えている。

 登山口からはガイドブックにあるとおりの急峻な登りが続く。へたをすると転がり落ちそうなほどで、毛勝山の最初の登りと同じような感じだ。まだ朝のうちなのに樹林帯の登りは風も通らなくて蒸し暑い感じだ。標高が低いので最初から予想していたとおりの暑い登りになっている。しばらく急峻な登りを続けると、頭を雲に突っ込んだ剱岳とその右手には大日岳と奥大日岳が見えてきた。沢筋には残雪が白く光っている。もう梅雨も明けたのに、まだエゾハルゼミの声がしている。更に急な登りを続けて1400mの小ピークを過ぎる。この辺りは見事な立山杉の大木があちこちに見られた。樹林帯ながら、時々周囲の見晴らしの良い地点があり、真下には白萩川に架かる橋が小さく見える。南に見えるつんと突き立った赤谷山がだんだん同じくらいの高さに見えてきた(実際には数100mも高い)。相変わらず剱岳の山頂部には雲が蓋のように被さっている

 今日は久々の山登りで、急峻な登りをゆっくりペースの上に休み休み登っている。見晴らしの良い1550mピークから岩場をロープで降りて、小ギャップから再び登りがきつくなる。標高にして約1600m辺りまで登ったようだ。小休止してパンをかじっていたら、後から登ってきた人に追いつかれた。この人は地元富山の人だが、本人は富山と言っても端から端だからここまで2時間も掛かると言っている。合掌造りの里で知られる五箇山から来たそうだ。山は始めて2年くらいで県外の山には余り登っていないとのこと、年齢はぼくよりずっと上のようだが痩せて筋肉質の身体で山には強そうだ。この先しばらくこの人と一緒に登ることになった。

 ちょっとした岩場を過ぎて、次第に行く手が明るくなって稜線の近いことが伺われる。全体として朝は雲が多かったが、次第に晴れて剱岳の山頂に絡まっていた雲も無くなって来た。残雪の光る池ノ谷や仙人谷、下から真っ直ぐに頂上まで突き上げている早月尾根を正面にしてギザギザとした全容が現れてきた。低木になって、大猫平と呼ばれる大猫山下の平坦な肩に8時45分に出る。あちこちに凹地があって、そこにはまだ残雪がべったりと残っていた。平と言うほど平ではなく、意外に花も少ない。残雪のある凹地を縫って草付きの平坦地が少しあると言った程度。ニッコウキスゲやハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、アカモノ等がぽつんぽつんと見られた。全体に花は少なく一面のお花畑といった感じの場所ではない。大猫平では休まずにそのまま先に進む。富山の人はキスゲの花を見て、北ノ又岳下の寺地山でこの花が大群落になっているのを見たと言った。それはぼくも2年前に北ノ又岳を経由して黒部五郎を往復した時に丁度花の盛りだったので見ましたよと伝え、尾瀬や奥日光ではもっとスゴイ大群落ですねと言ったら、大げさに驚いていた。

 大猫山まで直ぐなのかな、と思っていたが、目の前には壁のように急な山が立ちはだかっている。その伸びた稜線の端に少し高いところがあるので、この山が大猫山なのだろうか?大猫山へは大猫平から結構な登りだ。急な登りに低い樹木で照りつける陽射しも強く、汗が流れる。見上げる山を登り上げれば大猫山だと思ったら間違いで、登りついた稜線の随分先にちょこんと突き出した黒木ピークの先に更に少し高いピークが見えるが、これが大猫山山頂の様だ(実際には大猫山山頂は黒木の小ピークらしいが、どこが本当の山頂なのか良く分からなかった)。この日は猫又山まで行ってブナクラ峠に下り、ブナクラ谷を下る予定であったが、久々の山、急峻で暑い山にすっかり参って、ぼくが予定していたコースを辿る予定という五箇山の方とここで別れた。

 登り上げた大猫山稜線の突端に小山があって、そこに比較的新しい石のお地蔵さんが立っている。時間はもう10時を回っている。ここが大猫山の山頂?でもずっと先にもっと高いピークがあるし、何の標識等も無かった。地蔵のピークから結構長く緩い登りをして黒木のピークに登り付く。ここに次三角点標石があったが、その他には何も無く、ここも山頂ではないのだろうか?先に進むと少し先にぽっこりした見晴らしのよさそうなピークが見える。あそこかな…もうすっかり疲れ果てている。少し歩いてはしばらく休んで、山頂部に達してからはちっとも先に進まない。時間だけがどんどん過ぎていく。

 見晴らしの良い高山の雰囲気があるピーク(2150m付近)までやってくると、もう猫又山と毛勝三山の最高峰釜谷山が大きく聳えている。11時半になった。猫又山はもう目の前だ。毛勝山は残念ながら釜谷山に隠れて下に延びる尾根の一部しか見えない。ここにも山頂を表示するような何ものも無く、大猫山の山頂は結局どこなんだか良く分からなかった(後で調べたら、次三角点のピークが山頂らしい)。しかし、もう今日は暑さと急な登りを久しぶりに登った疲れがどっと出て、正直なところ大猫山の山頂なんかどうでも良い気分だ。直ぐそこに見える猫又山も遥かに高く聳えて見えて、とてもこれからまたこれを登ろうと言う気力も無い。楽しみにしていたグレープフルーツとパンを食べ終わるとそこにひっくり返って眠ってしまった。

 照りつける陽射しを受ける顔をタオルで覆って仰向けにころがっていた。大猫平を通過する時、ぼくは気づかなかったが五箇山の人が木の影にテントが張ってあったと言っていたが、その五箇山の人以外の人影は今朝から見ていない。相変わらずここには誰もやってこなかった。目が覚めると30分くらい時間が経っていて、もういつの間にかお昼を回ってしまった。正面に見える剱岳はまた山頂部を雲に隠している。立山方面は雲も無くすっきりと良く見えている。赤谷山の左手には、後立山連峰の鹿島槍や五竜岳の山並が並んでいるが、この方面も良く晴れて雲が見えなかった。富山平野や霞んだ先には薄っすらと日本海も見えた。陽射しが強烈で、実際の気温はそれ程でもないのだろうが、こんな山の上とも思えない程暑い。猫又まで届かなくて、ここまででの往復でも、あの危険を感じるほどの急斜面をまた下ることを思うと、そろそろ引き返さなくてはならない。重い腰を上げて復路を戻る。

 大猫平まで降りると、そこの残雪のところで人に会った。この人が木の影にテントを張っていた人の様だが、何か調査でもしているのだろうか?あいさつしても顔を背けて単純に山に登っている人とは違う雰囲気の人だった。大猫平からは、それこそ転げ落ちるような急な下りを延々と続ける。岩場のギャップ箇所だけが多少の上り下りがあるが、後はホントに転げ落ちる下りだ。滑り落ちないように気遣いながらの下りは暑いことも加わって少し下っては休み、また少し下っては休みしながら降りた。なので、ブナクラ取水堰堤の登山口に降り立ったら何と4時半になっていた。暑いこともあるけれど、体力の劣化甚だしい状況で今回は散々だった。そんな疲れた気分で林道を下っていくと、日焼けした若者がこの暑いのに何とトレランのいでたちで後ろから走ってきた。どうでも良いけど、この人は一体どこから下って来たのだろうか…。下界はさぞ暑いのだろうと思っていたが、5時11分に車に戻ると陽ざしは強いが温度計は27℃を示している。富山は群馬よりずっと涼しい様だ。次の日も休みで、毛勝の時もそうだったが、山のハシゴをするつもりでいたのだが、今日一日で充分疲れ果てたので明日山に登るのはもう到底無理だ。支度を済ませると湯神子(ゆのみこ)温泉という一軒宿の温泉に向かう。上市町の田んぼの中にある宿で日帰り温泉施設でもある。外に停まっている車は多かったが、温泉の中は空いていた。お風呂は広いし、露天風呂もあるが、なんだか銭湯の様な雰囲気だった。湯は特に特徴も無く、無臭透明でさらさらしている。汗を流してさっぱりとして、上市の街に出て夕食を済ませ、そのまま北陸道でのとんぼ返りになった。高速は空き空きで快調に走り、午前様にはならない時間に帰宅できた。

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3 コメント

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あまりなじみが無い山域ですね (ノラ)
2015-08-27 21:41:15
あさぎまだらさん こんばんは。地理院の地図で見ても犬猫山も猫又山も道があるように表示されていませんが登山道はあるんですね。どうも剣に興味が無いのでこの辺り全く知らない山域でした。早月尾根がすぐ近くにあるんですね。なかなか厳しそうな登山道ですね,御苦労さまです。最近は少し涼ししくなってきたので今頃行くと暑くなくていいんじゃないかと思いましたが,何も見えないかもしれませんね。それにしても知らない山はいくらでもあるんですね。て言う感慨です。
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雨です (あさぎまだら)
2015-08-29 20:22:18
ノラさんこんばんは。
暑い夏から急に涼しくなってしまいました。雨模様になって山は難しいお天気が続いています。
大猫山とか猫又山あたりの登山道は開かれて間もないし、薄いところもあって、まだ普通の登山道レベルじゃないですね。このへんの山はとにかく急峻です。ハンパなきつさじゃないです…
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お元気ですか (照る照れ坊主)
2017-07-22 13:44:29
もう2年近く更新がありませんが、お元気でしょうか?
山登りのブログ、特にバリエーション系の方のブログが途切れると心配になります。
お元気ならばそれでいいのですが。
すいません。なんだか余計な事を、気になっていたものですから。
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