今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

高反山・笠丸山

2007年02月14日 | 山登りの記録 2007
平成19年2月11日(日)
高反山1,131m 笠丸山1,189m

 1月の半ばに御場山などに登ってから、ほぼ一ヶ月経った。仕事やPTAの行事や
らでなかなか山に行ける日もない。ということで少しストレスが溜まっている。暖冬で冬がどっかに行ってしまった感じ、毎日春の陽が注いでいるという有様だが、とはいえ山はしっかり冬のままだろう。確かに例年に比べれば雪は少ないだろうけど。

 3連休で、今度こそ山に行けそう。といってもなかなか雪山に出かけていく気分にはならず…。今回も西上州の日だまりハイキングに行くことにした。雪が無い南面から登る山でなければ、その要求には合わない。ということで、温めていた上野村の里山、まさしくこれは里山です。高反山と笠丸山の2つに登ることにした。どちらも2時間以内で登れてしまう山だ。高反山はハッキリした道は無いようだが、「…300山」を参考にさせていただくので特に問題ないだろう。笠丸山は今やアカヤシオの名所で、シーズン中はもの凄いにぎわいらしい(そーいうときは登りません)。前夜発で上野村の道の駅で仮眠した。

 6時半に目覚める。晴れている上空をちぎれ雲が飛んでいる。少し風が吹いているようだ。さすがに車の中で冬用シュラフとはいえ、朝方は少し寒かった。

 パンをかじって6時50分に出発。車は遠慮して道の駅反対側のトイレの脇に停め直した。国道を少し神流町方向に歩き、「診療所前」とあるバス停の向かいを左折して東電の寮を過ぎると林道になった。行く手の高反山はのしかかるように大きいが、木々の大きさからして、本当に直ぐ上の山、里からそのまま盛り上がった山という感じ。上野村では最も里山という名前がふさわしいのはこの高反山だろう。学校や役場から見上げた山がこの高反山なのだから。それにしてはちゃんとした登山道が無いというのも?だな。上野村の人はわざわざ山になんか登らないのでしょうか?山は生活の一部で、レクリェーションの場では無いのかも。

 杉林を抜けると庚申塚のある小さな峠で、浄水場があった。そこから果樹の畑を抜けて、東電の送電線巡視道の掘り割りみたいな道を辿る。所々に送電線幹線名の書かれた黄色いポールが立っている。そのうちに巡視道から離れて、あとは余り明瞭では無い踏み跡を赤テープを拾いながら登っていく。急な登りが続いてあえいでいたら、岩場が行く手を塞いだ。

「…300山」によれば左手に迂回して西峰に登るようにあったが、そこに行くルートは行きも帰りも不明だった。これを参考にこの山を登る方は「…300山」に紹介してある迂回ルートというものは、筆者がその時に辿ったルートに過ぎないという事を了解しておく必要があるだろう。自然に踏み跡や赤テープに導かれれば、そのルートに出ることなくこの岩場に突き当たってしまう。最も登り易くて下り易いルートは、特に目印は無いが、岩場の中間当たりの溝を辿るものだ。木々に掴まって辿れるルートで、分かれば特に困難はない。でも、このルートは初見で探すのは難しいだろうけど…。ぼくは分からなくて、難儀な南面のトラヴァースをしてしまった。

 岩場をよけるように東にトラヴァースしていくが、この辺りは岩屑のザレに乾いた土が載っているだけで、まるでアリ地獄の様な有様。上に登ろうと思うと置いた足はずるずるざらざらと滑って、ちっとも先に進めないのだった。ここから目指す岩峰(東の高みに岩峰が見えた)に向かって斜上するトラヴァースを試みたが、ここまでは七転八倒の大変な登りだった。

 下の方で犬の吠える声がするので木々を透かしてみたら、200㍍くらい下の斜面に犬とハンターの姿があった。こんな山ではうっかりすると撃たれかねないな…。登ってずり落ちてをしばらく繰り返し、難儀な山だなと思う頃、目当てにしていた岩峰の下に着いた。そこは頂上に続く稜線の端とばかり思っていたのだが、登り着くとその岩の直ぐ上が頂上だった。

 樹林に囲まれ展望も余りない高反山の頂上に8時55分に着いた。まだ、もう少しと思っていたから少し拍子抜けしたが、登り始めてから2時間も経っていたのには少し閉口した。達筆名板が一枚木にくくりつけられていただけ、下にぽつんと三等三角点があった。頂上はどうと言うこともないので、直ぐに10㍍程下の岩峰に下ってそこで休んだ。ここは真下の上野村の集落や神流川が蛇行する有様が箱庭の様に見下ろせ、正面に高く上武国境の山々、両神山から赤岩尾根・天丸山から帳付・諏訪山に続き、奥秩父の高峰まで逆光にシルエットになってずらりと見渡せる素晴らしい展望台だった。そういえば、麓からこの山を見上げた時、頂上の手前に見えた岩がここだったのだ。
 
 風もなく春のように穏やかな快晴で、バルコニーの様なここは「お山の大将」になれる文句なく気持ちの良い場所だ。あんこがどっさり詰まったパンを食べながら、爽快なひとときを過ごした。9時23分に高反山を下る。

 西峰まで稜線を辿り、ここから赤テープに従って下ると、行きに突き当たった岩場の間隙を縫って難なく下った。しかし、岩場の登り口には何の目印もないので、行きにすんなりこのルートを取るのはかなり難しいと思う。後は尾根伝いに送電線巡視路や林道を拾いながら降ったが、下り着いた所は行きに取った庚申塚のある峠ではなく、直接勝山集落に降りる道に出た。「道の駅上野」に10時半に戻ってきた。見上げる高反山はのどかな里山といった雰囲気だ。

 車で上野村役場がある乙母(おとも)集落に向かい、ここから住居附林道に入り最奥の住居附(すもうずく)外れの笠丸山地蔵峠口に車を停めた。住居附は桃源郷の趣のある静かな集落だった。

 10時49分、集落の中程に石灯籠が2基ある笠丸山登山口には「笠丸山へ2㌔」の標識があり、いきなり杉林の急な登りを上に向かう。急な登りがずっと続き、右手に赤い岩壁を望む頃から木の根が出た雑木の樹林になり、尚も登り続けると住居附のを見下ろすくらい高みに出た。向かいの山並みの一つ向こうに先程登った高反山が尖って見えてきた。北には赤久縄山に続く南牧と上野を分ける群界稜線の山々が見えてくると、岩場を巻いて間もなく祠がある笠丸山の南峰に出た。ここに笠丸山山頂の標識があるが、三角点があるピークはここから痩せた岩稜を慎重に辿った先だった。途中の鞍部には地蔵峠に下る下降点があり、トラロープが一筋垂れていた。

 11時45分に笠丸山山頂着。1時間掛からないで登った。ここは360度ぐるりと展望がある。両神山から上武国境の山・群界稜線の山まですっきりと見渡せた。しかし、高反山の時と違って奥秩父や長野方面から雪雲のベールが押し寄せてきて、時折風花が飛んでくる。笠丸山の直ぐ近くまでこのベールが迫ってくると、急に冷たい風が強く吹いて凍えそうな程寒くなったが、しばらくするとまたこの雪雲は千切れて霧散し、春の陽射しが戻ってきた。

 誰も居ない静かな山頂で湯を沸かし、恒例のカップ蕎麦を食べて、山にいる楽しさを独り占めするのだった。家にケータイで連絡を取った。

 笠丸山はどうということもなく登れてしまうが、西側は岩壁になって切れている。遠くから眺めるこの山は近寄りがたい岩峰に見えるが、特に危険な箇所もなく登れてしまうのは不思議なくらい。岩の頂稜も見事で、花期にはこの岩場をアカヤシオが埋め尽くして素晴らしい様だ。しかし、人の多さも半端では無いようだが…。

 12時51分に地蔵峠に向かって下る。下り始めは北面なので雪が凍ってシビアだったが、一くだりして岩峰を見返す所まで降りると、後はまたのんびりとしたお散歩道になった。地蔵峠付近から見上げた笠丸山は天を突く岩峰で見事なものだ。大木の根元にこぢんまりとしたお地蔵さんがあった。どこからどこに向かうのか、廃道になった林道が延びていた。

 住居附と標識が指す沢に下り、深い谷底を辿って地蔵峠口に13時52分に降りた。
 相変わらず住居附のはひとけもなくしんとしていた。乙母に下る林道から振り返る笠丸山は、やはり容易に登れない雰囲気の岩峰に見えた。

 帰りは上野村の日帰り温泉施設「しおじの湯」でのんびりと湯に浸かり、山登りの楽しさを反芻するのだった。高反山も笠丸山も、簡単に登れてしまう山だけれど、しみじみとした里山の良さを感じさせてくれた。日曜なのに、誰も居ないというのがますます好ましい。先鋭でも過激でも重厚でもないこんなハイキングも楽しいものだ。

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2 コメント

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上野村の山 (重鎮)
2007-02-15 23:33:38
高反山はほんとうに里山と言った雰囲気ですね。おそらくあの山自体が私有地なんでしょう。私が登ったときは、地元の人が迷惑そうにしていました。
それにしても、この時期は静かで良いですね。アカヤシオの季節の騒々しさは私も好きではありません。笠丸山で焼き肉をやっていたのには閉口しました。なかには七輪でサンマを焼いている人もいます。
あれって、ゴミや火の始末はどうしているんでしょうね。
まあ、里山だから人の気配がするのはイイカモ。
私も今のうちにこの辺を歩いておきたいと思っています。

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お久しぶりです (あさぎまだら)
2007-02-16 00:12:50
最近はお気楽山ばかりです。
なかなかスノーギア万全で雪山に行く気持になりません…軟弱路線で忙しい仕事の「癒し」(余り好きな言葉じゃないですけど)に山を利用?してるみたい。

山の楽しみ方は人それぞれなので、他人のお楽しみにケチを付ける気はないですが、確かに少し遠慮して欲しいという場面もありますね。
以前、上越国境の三国山に登った時、眺めの良い稜線に何組もの大グループが右に左に宴会場さながらで、焼き肉やら煮込みうどんやら、焼きそばまで作って飲めや歌えやの信じられない光景に出くわした事がありました。
お花見の宴会場みたいで、これはこれで多分とっても日本的なレクリエーションなのでしょうね。
他でやって欲しいと言う気もしますが。

上野村や南牧村の里山に毛が生えた程度の山は、日本昔話の世界みたいで何時行っても楽しいですね。あまり他の地域には無い?ぼく的には「群馬の宝」ではないかと思っています。かわいらしい岩峰が多いのもいいですね。
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