今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・北アルプス 黒部五郎岳、三俣蓮華岳 その2

2013年08月18日 | 山登りの記録 2013

 三俣蓮華岳2,841.2m、黒部五郎岳2,839.5m

 8月9日(金)
 夜中に何度も目が覚めたが、5時近くまで寝ていた。さすがにシュラフをはだけていたら、朝方は少し寒く感じた。4時頃から、人が動き出す音や声がしていた。でも、朝になっても足が棒のようだ。やっぱり寝ていようかとも思ったが、せめて三俣蓮華くらいなら空身で歩けるだろう。往復で4時間程度だ。そう思い、シュラフから出てテントの外に出てみると濃いガスで何も見えない。もともとキャンプ場の下の段には他に3張りしかテントが無かったが、1張り無くなっただけで後はそのまま。今日もここに泊まるのだろうか?

 人のことはどうでもいいので、サブザックにパンや行動食、カメラにカッパを詰めてパンを食べ、5時45分に出発する。小屋で朝食を食べてから登り始めた感じの年配の夫婦連れとか、その他中高年グループが幾つか登り始めていた。三俣蓮華には小屋からイキナリの急登で、一気に前衛峰の2661m峰に登っていく。ガスで景色はほとんど見えない。黒部五郎も中腹以上は隠れている。2,661m峰に登り上げるが、チングルマやハクサンイチゲが咲く足元以外はほぼガスで見えない。この付近には、これから三俣蓮華方面に登るのか?あるいは黒部五郎小屋に下るのか、良くわからない一団がたむろしている。

 何も見えないのでそのまま進むと、岩を縫うような登りになる。周囲が見えないから、どんなところを登っているのか分からないが、直ぐ下には雪渓が見える。ミヤマキンバイやヨツバシオガマがあちこちに咲いている。この辺りのチングルマは既に穂になっていた。そのまま何となく登って、7時34分に三俣蓮華岳山頂に着いた。手前のピークには、ケルンが積まれ、「ここは三俣蓮華岳」の標柱、少し先のピークに主三角点と全く文字が読めなくて何等か分からない三角点標石があった。どちらのピークにも人が次々にやってくるが、ガスに覆われて眺めはない。三角点の横でパンを食べ、せんべいをつまんで晴れてくるのを待つのだが、残念ながら30分程居ても晴れてこなかった。風が吹くと寒くなってきたので8時9分に三俣蓮華を下る。

 しばらく下ると少しガスが晴れて、鷲羽岳や祖父岳が見えたりする。でも、また直ぐに見えなくなった。ハイマツと岩を縫う下りで、ライチョウの親子がうろうろしていた。全部で6羽を数えたが、もう親とヒナは同じくらいの大きさになって、どれが親だか分からない。いつまでも逃げないので、しばらくはカメラで何枚も撮った。2,661m峰まで降りてきたら、突然一気にガスが吹き払われるように青空になり、周囲は大展望になった。

 今日は、昨日の疲れも残り、足もまだ痛い感じなので三俣蓮華の往復だけで十分だが、こんなに眺めが良いから、小屋に戻らないでしばらくは2661mピークで眺めを楽しみ、お昼寝までした。日差しがじりじりとして暑い。ここから眺める黒部五郎は大きなカールを正面にして裾野を広げ、特徴的な山容をしている。遠くに見える薬師岳も根張りして大きな山だ。直ぐ下には黒部の源流が、薬師方面に一直線の切れ込みを見せる。北には雲ノ平の台地と祖父岳がすぐ目の前で、東に鷲羽岳とワリモ岳、その奥に水晶岳が良く見える。背後は三俣蓮華岳と丸山、南にはこの方角からだと、つんと角を突き出した様に見える笠ヶ岳が近かった。全く遮るものもない大展望はいつまで見ていても飽きなかった。10時半まで2661m峰を独り占めしていた。ここにいた間に直ぐ下の縦走路を何人かの人が行ったり来たりしたが、人は本当に少ない。静かなものだった。ぼくが立ち去ろうと腰を上げた時、ここまで登って来た人がいたが、入れ替わりにこの場所を明け渡した。

 黒部五郎の素晴らしい眺めを楽しみながら、黒部五郎小屋まで降りた。11時10分に小屋まで降りてきた。小屋もキャンプ場も人は疎ら、抜けるような青空と別天地の様なこのロケーション。小屋の周囲は湿原が広がり池塘も点在している。やや花期を過ぎたとはいえ、この辺もコバイケイソウの大群落になっている。絵に書いたような素晴らしい所だ。テントに戻ってラーメンを作って食べる。後は、暑いテントの中で昼寝をしてだらだらと時間を過ごす。夕方には周囲に沢山のテントが張られ、昨日より大分人が増えてきた。大学のWVのパーティーもいる。夕飯はアルファ米の麻婆豆腐丼ぶりにしたが、カレーより数倍美味かった。周囲が賑やかになり、夜8時頃まで酒盛りをして、くだらない事を大声でしゃべっている関西の2人組には閉口した。夜になってもよく晴れていたが、あまり涼しくなくて何時までも寝付けなかった。

 8月10日(土)
 今日はもう帰るだけだが、帰りの道のりも長い。5時過ぎにテントから出ると、もう既に周囲のテントは半分以上片付けられていた。ラーメンを作って食べ、テントをたたんで6時5分に黒部五郎小屋を後にする。今朝も周囲は霧が濃く、黒部五郎のカールも半分から上は良く見えない。カールの中はコバイケイソウを中心に、チングルマやミヤマキンバイ等の花々がそこここに群落を作っている。雪渓から流れ出す水流が川のようになった辺りまで登ってくると、コバイケイソウの群落の斜面を小屋に泊まったらしい人達が沢山登っているのが見える。肩まで登り上げたが、晴れて来るどころか雨がぽつぽつ落ちてきた。まあ、本降りにはならないだろう。頂上では晴れて素晴らしい展望を期待したのだが、残念ながら8時16分に辿りついた山頂は濃いガスの中で全く眺めはなかった。
8時半くらいまで粘ってみたが結局晴れなかった。次々に人がやってくる。でも、皆少し落胆して直ぐに降りていった。肩まで降りるとそこには沢山の人が休んでいた。そのまま黒部五郎を下る。霧が巻き気味で、何時までたってもこの日は晴れてこなかったキャンプ場で一緒だった人たちと後になり先になりながら、中俣乗越を過ぎ、赤木岳を越え、みんな途中時々重い荷物なので、休んではちょっとおしゃべりをした。太郎平方面から来る人たちともすれ違うが、大学のクラブなどの団体も多くなってきた。

 11時57分に北ノ俣岳に戻ってくる。薄らと薬師岳や雲ノ平が見えていた。ここで後先になっていた人たちと別れ、12時27分に3日に渡って歩いた北アルプスの山々に別れを告げ、神岡新道を降る。避難小屋まで降りてくるまでに数人すれ違うが、このコースはやはりそれ程人は多くないようだった。ちょっと覗いてみた避難小屋に今晩は8人(この時点で)もの人が泊まるらしいので驚いた。すし詰めじゃん…。

 寺地山から飛越トンネルの登山口までは、降りるに連れて暑さが増して、相変わらずのアップダウンの多さにはほとほと疲れた。もうへろへろになって5時17分にどうにか登山口まで戻った。久々にテントを担いでのアルプス登山。まだまだ行ける、と思う気持ちもあったが、体力の無さを実感した様にも感じた。

 飛越新道登山口の駐車場には、思ったほど多くの車はまだ停まっていなかった。明日あたりからお盆の登山者が急増するのだろうか?支度を済ませ、神岡の街まで下り割石温泉という老人保健施設でもある日帰り温泉に入る。スーパーカミオカンデで有名な神岡の町はこんな山の中なのに、信じられないくらい暑い。下界がこんな風だからアルプスの山の上でも涼しく無いわけだ。割石温泉は源泉かけ流しで露天風呂こそないが、湯船も広く人も少ない。入っていたのは、みんな地元のお年寄り(若い人も少し)ばかり、顔なじみの人ばかりの様だった。良い温泉で満足だった。入浴後は神岡の街のコンビニでお弁当を買って食べた。神岡の道の駅で休もうかとも思ったが、この辺では車中泊も暑そうだ。上宝村の道の駅奥飛騨温泉郷まで上がってここで車中泊とした、ここは道の駅のところにオートキャンプ場まである。駐車場には沢山の県外ナンバーの車が停まっていた。疲れていたので、直ぐにシュラフの上に横になって寝てしまった。翌朝、上高地を越え、午前中一杯かけて高速で家路に着いた。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れ様です。 (しぼれ)
2013-08-20 20:05:26
あさぎまだらさん こんばんは
富山方面はここのところスルーしていますが、初めて見る新鮮な景色をたっぷり堪能させていただきました。
しばらくぶりに開いた2001年の新版「とやま山歩き」、まだ3分の1しか歩いていない。北ノ俣岳からの景色はストック直行です。
ところでアブ被害はなかったようですが、何か対策でもあったのですか。
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不思議に刺されませんでした (あさぎまだら)
2013-08-21 01:59:41
しぼれさんこんばんは。
北ノ俣岳あたりは静かです。あまり特徴がないところですが、北アの他の地域に比べるとゆったりとした地形と景色ですね。水晶岳、雲ノ平や薬師岳が良く見えます。奥まった所で本当に静かですね。高山植物が沢山咲いていました。
黒部五郎のテン場はアブや蚊が凄かったのですが、不思議に全然刺されませんでした?特に対策はしていません。というより、あんなにアブや蚊が多いのは想定外でした。刺された時のために軟膏を持っていったくらいですが、使いませんでした。
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景色を堪能しました (ノラ)
2013-08-21 21:44:58
あさぎまだらさん こんばんは。山小屋は明らかにスイスを意識してるんでしょうね。さすが北アルプスの奥ですね。またまた,しぼれさん同様,景色を堪能しました。行けるかな?小屋泊まりですね。
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シャレーでしょうか? (あさぎまだら)
2013-08-22 02:15:21
ノラさんこんばんは。
スイスを意識したかは分かりませんが、見間違う景色ですね。シャレーって感じで洒落ているんですかね?
新穂高から入る方が楽そうですね。どっちにしても黒部五郎小屋は奥まっています。
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このエリアいいですね (みー猫)
2013-08-23 23:01:07
こんばんわ、はじめまして。
みー猫といいます。よく拝見させていただいております。一昨年このあたりを歩かせてもらいまして、とても気に入っている場所です。広大な景色のなかを、気兼ねなくマイペースで歩くのはたまりません。飛越TNから五郎小屋を、初日ではかなりきついと想像します。自分はテントが好きなのですが、今夏は暑くて足の動きが悪くなっちゃいました。アブや蚊が居たのですね。やはり暑かったからなんでしょうかね。また寄らせてくださいね。お疲れ様でした。
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はじめまして (あさぎまだら)
2013-08-24 02:23:21
みー猫さんはじめまして。ノラさんのところに書き込みされていますので、お名前は存じております。
黒部の源流山域は北アルプスの他の地域とは感じが違って広大で静かですね。南アルプスにも通じるところがあって気にいっています。
黒部五郎小屋周辺は虫が多い様でした。刺されなかったのが不思議なくらいです。日差しが強くて日焼けで一辺に真っ黒になりました。やはり、猛烈な暑さのせいでしょうか?山の上とも思えない感じで涼しくなかったです。テントは自由なのが良いですが、荷が重くなるので行動に制約があります。痛し痒しの面もありますね。かつてはいつもテントでしたが、重荷はやはり堪えますね。
またぜひご訪問ください。
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