Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

原材料という食品添加物

2009-09-28 18:36:49 | つぶやき
 食品の製造年月日表示から消費期限と賞味期限表示に変更されてもう長い。その理由が業界や輸出国への配慮であったというのはその当時耳にしていたものだ。消費者の食品の選択という面では、確かに製造年月日が表示されていると、その食品の保管度合いというものが意識的に記憶に残ってくるものだ。しかし、期限だけが表示されていると、その食品の保管期限という意識はなくなり、学習能力がかなり低下するといえる。たかが食品一つにしても、このように情報が多ければそれなりの「選択」と「学習」というものが備わってくる。あまり意識しない人にとって見れば期限だけ表示されている方が解り易いという意見もあるだろうが、いっぽうでそうした期限の改ざんによる偽装があると、ではいったいいつ製造されたものなのかという不安が増大する。赤福騒動もすっかり忘れられて、赤福を土産にいただくと笑みが浮かんでしまうのはわたしだけではないだろう。ようは意識していても消費者団体が指摘するような注意深さは持てないのが現実である。

 伊藤康江さんが『生活と自治』9月号(生活クラブ事業連合生活協同組合連合会)に「疑問だらけの食品表示」という記事に応答されているものを見て「そういえば」と気がついたことがある。近ごろは「食品添加物」という表示はされず、「原材料名」と表示されている。あまり既成のおにぎりとか購入しないので最近の動向に疎かったが、先ごろも道の駅で並んでいる食品のラベルを見ながら「原材料名」という表示は違和感はあったものの当たり前のことなのだ思い込んでいた。しかし、確かにかつては「食品添加物」という表示がされていたものだ。あらためていわゆる大手の食品メーカーのものを見ても「原材料名」という表示になっている。「原材料」と言われてしまうと「添加物」というイメージではなくなる。しかし亜硝酸ナトリウムや赤色101号が原材料に名を連ねているとなんともいえない違和感を感じるのも事実。意識しない消費者にはこの並び順が原材料に占める割合であるという知識も無いほどで、そういう意味では食品添加物も原材料名であっても関係ないかもしれないが、「今日のお昼はソルビンサンK」なんて言うほど無知でありたくはない。

 同誌ではこんなことも書いている。「単品の刺身は生鮮品に分類されますが、異なる魚種の2点盛り以上は突然、加工食品に“変身”してしまう。ややこしいのは、たとえば2点モリでも本マグロとキハダマグロのように種類が同じなら生鮮になる」と言う。こんなことは少しは意識していたわたしにも知らなかったこと。こうした食品表示の不思議さに隠れて表示上の法をかいくぐるという行為が横行するのだろう。加工食品にいたっては原産国など無用の情報で、よくわが家で交わされる会話がこうだ。

 弁当にふりかけをかけているわたしに妻は「そんなふりかけに入っている梅や菜っ葉はみんな中国産の消毒まみれだよ」。わたし「こんな程度どうってことないよ」

 飯田市にある食品加工メーカー。当然のように中国に工場を持っていてそこでの生産がきっと社運にも影響するほどなのだろう。前述したように加工品である以上原産国表示は義務ではない。とくに一次加工品ならともかく二次加工しているようなものになれば原産がどこなのかまったく解らなくなる。そして原産国表示が義務化されていない以上安い材料と労働力を求めて国外に生産の場が移ったのはごく自然なこと。いくつもの原材料(この場合の原材料は添加物ではないとして)を手に入れ毎日生産していくともなれば、その原産地を特定しながら加工品を生産するのは困難なのかもしれない。そういう理由があっていわゆる原材料が多い加工品は生産者側から見れば偽装しているわけではなくとも怪しい食材が混入しても解らないということになる。それを合法的に利用することもある。政権交代が決定的になった以降に開設された消費者庁。実は意味ある行政の取り組みの始まりであり、こうした問題を解決していくことか望まれている。
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