Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

歴史的と言われる選挙を終えて①

2009-09-01 12:23:22 | ひとから学ぶ
 歴史的な選挙の結果を聞いた翌日である。農業用用水路の改修のために小さな水路の脇で調べごとをしていると立て続けに農家の方に声を掛けられた。今までもその地域周辺には何度も足を運んでいるが、よほどでないと声を掛けられることもないのだが、立て続けに掛けられたというあたりが世の中の変化を表わしているのかもしれない。掛けてきたお二人ともども改修に関わっての要望のようなことを口にされる。とくに自分の水田側の側壁を高くして欲しいという方に「よそとの釣り合いがあるので」と要望に答えられるかどうか解らないと返答すると、「政権も変わるんだから」と要望を通して欲しいという雰囲気。そもそも依頼されて調べているわたしの一存では要望に答える権利もないし、ましてや政権が変わったこととはあまり関係の無いこと(農業分野では所得の戸別補償制度を取り入れるにあたって農林水産省分野の公共事業1兆円を削減するというから国の補助を受けていなくて単独で改修しようとしていても少なからず改修が先延ばしになるという影響はあるだろうが)。

 選挙日翌日のこと声を掛けてきたお二人とも「政権が変わったんだから」という言葉を織り交ぜていた。けして民主党政権になったとしても個々の要望が通用するようになるというわけではない。危惧されるのは努力した人が報われる世の中にしようと言う掛け声が、誰でも言うとおりになるという世の中になると捉えられるのではないかというものである。努力しても報われないのはごく当たり前のことで、さらに言うと努力とは個々によって捉え方、尺度が異なる。ようは曖昧な尺度であって何をもって努力したと言えるかなどということは判断不可能ということなのである。そうした矛盾を抱えながらも秩序ある社会を形成するには、不公平や不満はあっても仕方ないわけであって、そのあたりは個々の人、国民は理解していないと行政はもちろんのこと国政など成り立たないはずである。「自分だけが苦労しているのではないか」などという思いは誰しも持っているものであって、だからといってそれを尺度として自らの幸福度を測ってはならないのである。

 自民党の郵政選挙での選挙区の得票総数は32,518千票、当時の獲得議席数291議席、今回は27,302千票で64議席である。いっほう民主党は郵政選挙時には24,805千票だったものが33,475千票、獲得議席数は52議席が221議席である。実は大敗したといっても得票数だけでは自民:民主比45:55なのである。自ら作り上げた選挙制度で墓穴を掘ってまさに消滅の危機にさらされそうな自民党にとっては、この自民党票をけして見捨てることのないようにしなくてはならない。世の中民主一色のように捉えられがちで、ちまたのテレビなども自民党の大敗を笑いもののように取り上げているが、そうはいっても自民党票がたくさんあることを忘れてはならないし、民主党も多難であることを認識しなくてはならない。冒頭のやり取りの背景に、「変わったんだから言うことを聞け」みたいな雰囲気があるとしたら、今後の政治は大変なことになる。ゼロベースにして優先度をつける予算配分にするという選択をしたと、国民が捉えているのかどうか不安な面を残す。要求の噴出という状況は、しばらく続きそうである。
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