Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

飯田線の高速化という主張について

2009-09-12 22:28:35 | つぶやき
 新宿と伊那谷を結ぶ高速バスは、飯田線が17便、伊那線が16便ある。いっぽう名古屋行きは23便。これを往復分計算してみよう。平均40人など乗ることはないだろうが、多めに計算したとして合計56便の往復、そして40人を掛けて365日分を出してみると年間163万5千人となる。電車を利用して新宿なり名古屋方面を想定した場合、後者はかなり少ないだろう。前者であっても一便に5人としても1日17便往復として年間6万2千人。かなり底上げした人数だろうが、バスと電車を合わせて年間利用者数は169万7千人となる。約170万人を逆に1日当りとして上下で4658人である。現状のJR飯田線の便数で割れば1便当り137人。1両に座席50人分として現在の3両で乗り切れる。もちろん上下が同数として割った場合であって必ずしもそううまくいくわけではないが。以上は仮に高速バス利用者が電車へ移った場合の計算である。

 実は現在の新幹線は1便あたり1300人ほど乗れる席がある。方向が異なるとともに往路復路があるから、1日あたりの利用者は上下1回停まれば乗り降りできる程度の利用者である、この高速バスの利用総数は。

 JR飯田線は高速バスに長距離客を奪われるとともに、地域交通となった飯田線。その理由は駅が多くカーブが多いための低速運行にある。さて、リニアについては何度も触れてきたわけだが、ここで仮の計算をしてみた。近ごろ信南交通が路線バスのいくつかを廃止した。それに代わる地域交通が行政によって継続されることになったが、マイクロバスで運行される目的は、「地域住民の足として」という。これでは地域外の人に視点は当たっていない。ようは稀にある観光客などの利用者はまず相手にされていないということになる。そもそも地域住民のためといってもその利用者は少ない。この「地域住民のため」という言葉に誘われて、なぜかリニアにトレースしてみようと思っての試算である。

 試算から解ることは、多めに見ても現状の長距離利用者は大変少ないということと、その利用者にしても目的地が都心であったり名古屋中心であると限られたわけではないから、すべての客がリニアに移るというわけではない。前からも述べているように飯田線が高速化したとしても、これらの客がすべてリニアの駅までやってきてリニアに乗車するというわけではない。飯田に駅があったとすれば、伊那以北の人たちの利用度はかなり落ちる。もし利用度が上がるとしたら逆に中央線が不要になってしまう。ここに「地域住民のため」という視点をあてれば、簡単な答えは出せないことになる。

 仮に飯田だけに駅ができたとしよう。1日あたりのこれまでの利用者は微々たるもの。高速化をねらう都会の人々の立場に立てば、この駅に停まる回数は限りなくゼロに近くてよくなる。飯田線を高速化して利便性を高めれば利用者が格段と上がる、などという地域ではないことがすぐに解る。よほど駅周辺に通勤客がたくさん住むようになれば別であるが。いや、駅の周辺だから飯田線の高速化は必要なくなる。そして高速化したとしても利用者が増えないことは明白で、この主張が適正でないことは誰でも解るだろう。
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