Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

駅猫と会話する

2009-09-19 19:10:35 | つぶやき
 伊那市駅には「駅猫」がいる。以前にもこの駅猫のことについては触れたことがあるが、その際にうつし出されている駅猫と今回の駅猫は同一ではない。ということでこの駅には複数の猫が姿を現す。そのつど意識しているわけではないので何匹いるのか定かではないが、最近は白地に茶と黒のまだらの入った猫がいつもわたしの前に姿を現す。彼は改札からホームに入ると、一番線ホームのベンチに座っていることが多い。そしてそこでわたしと目が合うと、必ずベンチから降りて、弧線橋の階段下にわたしより先に移動し、振り返ってわたしをうかがうのである。この行動が一度ではなく頻繁にあることから、習性になっていることに気がつく。彼はわたしが餌をくれるものだと思い込んでいるのである。以前にも別の日記で触れたが、この駅猫に餌付けをしている乗客がいる。彼はわたしと風貌が似ていて、猫から見ればほとんど同一人物に見えるのかもしれない。彼は猫専用の餌を常にカバンにしまいこんでいるようで、すでに乗車する電車が二番線に入ってくるというのに、焦ることもなくカバンからすばやく餌を取り出して「いつもの場所」に餌を置くのである。慣れたもので、わたしの時と同じようにベンチに座っていた猫は、即座に「いつもの場所」に移動してその餌に夢中になるのである。ということでわたしを同一人物と判断して、彼はわたしに餌を請うのである。

 先日はいつもと違って待合室のベンチに丸くなっていた。ところがわたしが待合室に入ると、やはりという感じに意識し始め、ベンチを降りてわたしの座ったベンチの横にやってくる。「何もあげないよ」加えて「お前のお目当ての人じゃないんだ」とつぶやくが彼にわかるはずもない。なかなか餌をくれないせいか。座っているわたしの足の下を、わたしの足に尻尾をすりすりしながら2度3度と右に左にくぐりぬける。どうやら餌にはありつけないと解ると、開いている裏口のドアのところに座って、また誰かを待っているのである。

 女子高生だけではなく、大人たちにも微笑を浮かべさせる駅猫は、この駅の特別な存在である。しかしどんなに女子高生が身体をさすろうが、わたしに気がついた際のような反応は餌付け親以外には誰にも見せない。ここをねぐらにして餌にありつける時を待っている。いまだわたしが餌付けをしている男ではないことに気がつきもせず、目が合うと必ず人違いをしていつもの動きをする。何度も「俺じゃないよ」と思うのだが、くれないことに気がつくと「ニャー」と泣き声をあげる。家路への電車を待つ人々で賑わうホームで、彼と遭遇するとわたしと彼だけのやり取りがまた始まるのである。「このおじさん、何か猫と会話している」と言う具合に。
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