Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

賛成と反対

2009-05-07 20:22:30 | ひとから学ぶ
 先ごろ地元自治体の議会だよりなるものが広報とともに配布された。議員がいったい何をやっているか、何を議会でとりあげているかということは、日々の暮らしに追われている一般人にはまるで認識されないものだ。それを少しでも認識してもらうために、印刷物という残るもので知らしめる方法は、いつまでも有効なものなのだろう。時代はノンペーパー時代にはなっても、不特定多数の人たちに広範に認識をしてもらう、いわゆる広報の役割はペーパーを越えるものはないだろう。そういう意味で必要だと思うものだけをそろえる傾向に慣れているものには、不要な情報はわずらわしいかもしれないが、意味あるものだと認識しておかなくてはならないのである。

 その議会だよりには毎議会の提案された議案と全議員の賛否を一覧にして掲載している。かつて知事と議会の争いごとが絶えなかった長野県議会のようなことは異常としても提案された議案をすべての議員が「賛成」で議決している一覧は、また違った意味で違和感を覚えるものだ。今回一覧にされている定例会の議案数は31議案である。「賛成」を○、「反対」を▼で示した一覧に載る議員の数は13人。当然のように○が羅列されているが、▼が10個ついている。欄の合計は403個であるから2.5%の反対が投票されたことになる。その比率はともかくとして▼がついている議員は1人に集中している。簡単に言えば保守的立場の議員が○なら、革新的(この表現が正しいかどうかは別として)立場の議員が▼ということになる。そしてこの▼をつけている議員は当然のように共産党の議員ということになる。これほどはっきり分かれている一覧は、わたしがこの町に住むようになって初めて見たような気がする。その理由は現在の議員を選択したて選挙によって共産党議員が1人だけになってしまい、三角が分散しなくなったということもある。しかし思い起こせば、前議会の報告にはどこかに少なからず▼が点在していた。今回提案された議案が、予算措置など新年度を迎えての町側の施策を表した重要なものだけに、反対するべく内容ではないものが多かったとはいえ、これほど偏った一覧を見ると、違和感を覚える方がおかしいとも思えないわけだ。よく精査すると今回の三角は介護保険条例の一部改正案と新年度予算に関する議案に付けられている。ようは反対議員は介護保険に関する考え方そのものに納得がいかなかったため、関連議案に反対票を投じたのだろうから、通常は三角がつき難い議案のようである。ということは裏を返すとすべて○になっても少しも不思議ではなかった定例会ということになるのだろう。議案内容が詳細に示されているわけではない。それだけで議員の考え方が一覧化されたというものでもないのだが、こういう一覧は見方を変えると▼議員が飛びぬけて異常のようにも見える。町当局の体制が変わったわけでもないなか、議会の顔ぶれが変わったことでこういうことになったのか、それとも何も変わっていないのかは、今後の審議内容によるのだろう。

 それにしても県議会は知事が変わったことで混乱はなくなった。田中知事時代を評価する声も少なからずある背景には、あまりの変わりようもある。田中落選後、全国には芸能人カラーの知事が何人か登場した。いずれも改革を前面に出しているが、かつての長野県のような知事降ろしが実行されるような関係ではない。そこには本気に変えようと思っていたのだろうが長野県を大事にして実行していたとはとうてい思えない手法が、どちらの立場にもあったことは事実だろう。
コメント


**************************** お読みいただきありがとうございました。 *****