そこに迫っている原子力爆発
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青森・六ケ所村
専門家も評論家もみんなボケている。青森・六ヶ所村で起こった原燃の背任ミス(7/2)。専門家も評論家も、マスコミも、自治体も、国も、当の原燃(日本原燃株式会社)自体も、事態を軽視している。この圧力感のない同調圧力強要は一層深刻だ!
こんなことやって何になる?
記者会見で謝罪する日本原燃の担当者ら=7/9 共同
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★六ヶ所村再処理工場が爆発する前に、われわれの方が一足早く、爆発阻止の爆発をする必要がある。
★<三陸の海岩手の会>は他の団体とともに早速行動に出ている。8月5日に日本原燃に対して「高レベル廃液供給液槽の8時間冷却停止事故」に係わる抗議・質問状を提出する。1ヶ月後の9月5日までに文書で回答するよう求めるとしている。
※協賛団体は無条件で、只今、募集中!
★私の方ではこの<三陸の海岩手の会>の「方法」については前から違和感がある。以下、違和感について敢えて批判として表沙汰に書くが、基本的にはこの抗議・質問状提出には賛成して行動を共にすることにする。反旗ではないが中途半端という意味の半旗かもしれない。何れにしても意味があることだ。
違和感の理由:<三陸の海岩手の会>の「方法」
1)<三陸の海岩手の会>は原発、再処理問題に対して水平思考が不得意、というより全く念頭にない。今回の事態のような重大事故に対しても即応的、即時的対応ができない。いうならば一般市民の「大変だ!」意識から1拍〜2拍遅れてアクションが始まる。というより、本来、「大変だ!」意識を、先んじて、市民に警告するべきなのだ。そしてアクションを促すべきなのである。
2)水平思考から対極の垂直思考に偏っている。というよりそれを得意としている。今回の事態に対しても事の重大さを一番よく理解しているのは<三陸の海岩手の会>だ。常日頃の垂直思考の研鑽によって別稿のような守備範囲の広い骨太い抗議文が世にでることになる。|もともと無理な|核燃料廃棄物処理について反駁・論駁できるとし、また説得できるとしている。
3)で、何が問題なのか?!と思われる方もいると思う。
私はこのブログシリーズの前回(5)でこのように書いた。
「この問題についてはメーリングリストの<三陸の海岩手の会>は直ちに、貯蔵プールの温度上昇、廃液沸騰、蒸発乾固、廃液槽爆発、ガラス固化などの原子力過酷事故に至るプロセスを公開し、原子力過酷事故の規模、災害波及範囲、その悲惨さを直ちに声明し想像図、図表などヴィジュアル(可視化)に描くべきだ。過少から過大など…と、迷っている時ではない、直ちに着手してもらいたい。暴発とそのプロセスの実態のことである」と
<三陸の海岩手の会>は、まだこのことに着手していない。水平思考としてこれが問題なのだ、と言いたい。(つづく)
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高レベル廃液供給液槽の8時間冷却停止事故に関する抗議と質問状
2022年8月5日
日本原燃株式会社 社長 増田尚宏 殿
提出団体名 花とハーブの里(青森県六ケ所村)代表菊川慶子
PEACE LAND(青森県八戸市)代表山内雅一
核燃から海と大地を守る隣接農漁業者の会(青森県東北町)代表荒木茂信
六ケ所村新しい風(青森県青森市)共同代表遠藤順子,三上武志
大間とわたしたち・未来につながる会(北海道函館市)代表野村保子
豊かな三陸の海を守る会(岩手県宮古市)共同代表菅野和夫
三陸の海を放射能から守る岩手の会(岩手県盛岡市)世話人永田文夫
三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会(宮城県仙台市)代表大友佳代子
※協賛団体は5ページ以降(8/3時点 募集中)
六ケ所再処理⼯場⾼レベル廃液供給槽冷却喪失8時間事故に関する抗議と質問状(案)
7⽉19⽇貴社は7⽉2⽇に発⽣した再処理⼯場の⾼レベル廃液ガラス固化建屋における供 給液槽の安全冷却機能の⼀時喪失について原因と対策を取りまとめ、原⼦⼒規制委員会、 ⻘森県ならびに六ヶ所村に報告し,報告書を公開しました。
私たち市⺠団体は六ケ所再処理⼯場の重⼤事故の発⽣を⾮常に憂慮しております。再処 理⼯場は原発とは異なり⼤量の放射性物質を抱え,常時冷却しなければならない⾼レベル 放射性廃液を貯蔵している巨⼤核化学⼯場だからです。
今回の事故は⾼レベル廃液に加え,有機物を含むアルカリ濃縮廃液,⽩⾦族等を含む不 溶解残渣廃液の三種混合廃液を含む貯槽の冷却喪失事故であり,蒸発乾固すると爆発する 可能性が⼤きく恐怖感が募ります。このような危険な廃液を含む貯槽の⼆冷却系の⼀つが ⼯事で停⽌している中,残りの冷却系が⼈為ミスで8時間もの間停⽌し冷却が完全に停⽌ していたことは,貴社の防災姿勢が杜撰であることを⽰しており,憤りを禁じえません。 貴社の資料から⾒ると残り16時間で混合廃液が沸騰しはじめ,放射能が環境放出されるこ とが想定されます。そして138時間後にはルテニウムの⼤量放出が起こり,ついで約25時 間後廃液は蒸発乾固します。乾固物には硝酸塩や有機物の他にもDBP(リン酸ジブチル) 錯体が形成されており爆発が必⾄と予想されます。爆発すると貯槽が破裂し,同じ冷却系 統の6貯槽の冷却ができなくなり⼤事故へと進⾏していくのではないでしょうか。
放射能の⼤量環境放出となる⾼レベル廃液貯槽の冷却停⽌は決してあってはならない事 故であり,それがいとも簡単に現実となったことは貴社のガバナンスや防災・危機管理の 杜撰さを物語っており,貴社はこのような超危険な核化学⼯場を運転する資格がないと断 じ,厳しく抗議いたします。
以上を踏まえ,以下今回の7⽉19⽇公開の貴社報告書を中⼼に質問いたします。⻘森県 をはじめとする周辺道県の⼈々をはじめ貴社従業員をも避難⺠にするようなことは絶対し ないとの決意のもと質問にお答えください。
*尚、回答は1ヶ⽉後の9⽉5⽇まで⽂書でお願いします。回答を受取りに伺いますので 意⾒交換の場を設定して頂きたくお願いいたします。
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質問
Ⅰ 供給液槽Bに含まれていた⾼レベル廃液について
質問① 廃液1m3(立方メートル=以下同)に含まれている放射性核種名とその放射能量Bqを多い順に10核種以上 を提⽰してください。別にウラン235,プルトニウム239について放射能量をお知らせくだ さい。
質問② 廃液1m3に含まれている有機物(TBP,DBP,MBP,ノルマルドデカン)はどれほ ど(kg)含まれていますか。
質問③ 7⽉2⽇現在供給液槽に含まれていた廃液2.6m3に含まれていたセシウム137の放射能量をお知らせください。
質問④ 質問③の廃液2.6m3が沸騰していた場合,蒸発乾固までに環境放出される核種と その放射能量はいくらですか。セシウム137換算についてはいくらになりますか。
蒸発乾固までに環境放出されるルテニウムの放射能量はいくらですか。
質問⑤ 質問③の廃液2.6m3が蒸発乾固した後,冷却ができなければ乾固物はどのような 経過(溶融揮発など)をたどりますか。その場合,最悪時の環境放出放射能量はどの程度 になりますか。その中でセシウム137の放射能量はいくらになりますか。
Ⅱ 報告書の「5. 時系列」について [「→」:連絡(指⽰)]
1)[18:50頃]当直員A:ポンプB出⼝流量が15時30分ころから低下したことを確認。廃 液温度は25℃~30℃の範囲で推移しており有意な温度上昇ではないと認識。→当直⻑ A→総括当直⻑A:漏洩による流量低下を疑い,その有無の確認を指⽰。
質問① 添付資料−1を⾒ると冷却⽔は循環しており流量計の設置位置から,流量が低下 することは配管のどこかが詰まったためと認識しなければならないのではないでしょう か。なぜ総括当直⻑Aは原因を漏洩だけに絞ったのでしょうか。
質問② 添付資料−2を⾒ると供給液槽Bの廃液温度は15:30〜18:50頃まで直線的に上 昇しており,有意な上昇と判断できたのではないでしょうか。
2)[22:00頃]当直員A:供給液槽Bの廃液温度だけが約5℃上昇し通常と違うことを確認。 →当直⻑A→総括当直⻑A:冷却⽔の弁の開閉状態を確認するよう指⽰。
[23:43]当直員C,D:供給液槽Bの安全冷却⽔ラインの仕切弁閉⽌確認。→当直⻑A→総括 当直⻑A:仕切弁の全開を指⽰ [23:44]当直員C,D:仕切弁を全開 当直員A:出⼝流量 の増加を確認。[23:50]当直員A:供給液槽の廃液温度低下開始を確認。
質問③ 1)の18:50ころから2)の22:00まで3時間ほど冷却⽔量が低下したのに関わ らず,原因究明を漏洩の有無だけで,定刻確認時間22:00になりようやく供給液槽の温度 が上昇していることが確認され,総括当直⻑Aが供給液槽に冷却⽔が流れているかどうか 確認するよう指⽰しました。供給液槽Bに冷却⽔流量計があれば異常を早期に発⾒された はずですが,なぜ設置されていないのですか。
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Ⅲ 報告書「9.調査結果から導かれた原因」について
報告書では「運転および監視状況の調査から、通常と同じ4時間毎の流量、温度等の確 認であったため、運転中のB系列が停止したことを速やかに確認できなかった。 作業員 等からの調査からは、当該仕切弁を閉操作した事実は確認されなかったものの、当該仕切 弁の形状や設置状況、識別の有無の調査結果を考慮すると、当該仕切弁の近傍にある安全 冷却水A系列の弁と誤認しやすい状況であったこと、また工事監督者から作業員Aへの指 示が口頭であり、操作対象の弁が不明確であった可能性があったことから、工事中の安全 冷却水A系列の弁との誤認により、当該仕切弁が閉となったと推定した。」
質問① 高レベル廃液貯槽で2つある冷却系の一つが停止しているのに特別な警戒体制が 講じられることなく,4時間毎のメータ確認で済ませてきたことは,この貯槽が内蔵する 廃液の超危険性を日本原燃内部で共有していなかったのではないでしょうか。経営層や一 般職員そして工事監督者,協力会社の作業員は,高レベル廃液貯槽が複数の冷却系を設定 している意味をしっかりと理解して作業をしていたのでしょうか。
質問② 添付資料−7から供給液槽の安全冷却水の仕切弁は修理中のA系列も使用中のB系 列も同じ供給槽保守第2室に配置されていることがわかります。「当該仕切弁の形状や設 置状況、識別の有無の調査結果を考慮すると、当該仕切弁の近傍にある安全冷却水A系列 の弁と誤認しやすい状況であった」と報告書にありました。このような誤認しやすい状況 を知りつつ「工事監督者から作業員Aへの指示が電話であり」誤ってB系列の仕切弁が閉 となったと報告書で推定されています。
なぜ工事監督者(もしくは職員)が立ち会わずに複雑な配管とバルブが設置されている室 内に電話で指示し工事作業員Aを行かせ重要な弁の操作をさせたのか。なぜその後工事監 督者は弁の開閉を確認しなかったのか。そもそも工事監督者は日本原燃職員なのか協力会 社の職員なのか。冷却系配管について十分認識していたのか。回答してください。
Ⅳ 計測器の設置,廃液の温度について
質問① 添付資料−1を見ると,安全冷却水A,B系列とも7つの槽,2つの冷却器への安 全冷却水循環系で流量計は一つだけの設定になっている。各槽,冷却器に流量計が設置さ れていたならば,早期に供給液槽Bの冷却水が流れていないことがわかったはずだ。各貯 槽とも危険な廃液が大量に貯蔵されている安全上重要な貯槽である。なぜ設置しないでき たのでしょうか。
質問② ①に関連し冷却水の各貯槽出口温度計も必要ではないでしょうか。
質問③ 冷却時の高レベル廃液混合槽や供給液槽,供給槽の廃液の温度は平常時如何ほど ですか。 高レベル廃液貯槽(120m3)の廃液温度は平常時は如何程ですか。
Ⅴ 報告書「10.対策」について
質問① (1)監視の強化:1系列で運転する場合について,本来2系列で冷却してきたのが 1系列だけの冷却となり危険な運転になっている「社内でこのことを衆知徹底すること, 担当課と関係事業者との緊密な連絡」をし緊張感を与えなければならないのではないで しょうか。
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質問② (2)作業管理:作業者が安全上重要な施設の弁や機器を操作するときには日本原 燃職員が立ち会うべきではないでしょうか。
質問③ (3)識別措置:提示された識別は大事であるが,ヒューマンエラーを防ぐことに なる最も確実な識別方法は各貯槽等について冷却水の流量計を設置することではないで しょうか。
質問④ (4)弁の施錠管理措置:「2022年7月末まで」としているが,その後はどのよう な対策をとるのですか。
Ⅵ その他
質問① 貴社資料を見ると,もし沸騰がはじまった場合飛沫同伴等で放射能の環境放出を 想定しているようですが蒸発乾固までに環境へ放出される核種と放射能量を示してくださ い。 高レベル廃液混合槽やその下流の供給液槽,供給槽では有機物であるDBP(リン酸 ジブチル)等を多く含むアルカリ濃縮廃液と高レベル廃液そして白金族等を多く含む不溶 解残渣廃液を混合するため,蒸発乾固すると生成した錯体や硝酸塩は容易に分解や酸化に よる爆発をおこす可能性が大です。もしこのようないずれかの貯槽で爆発が起こった場合 同一冷却系にあるアルカリ濃縮廃液貯槽,高レベル廃液混合槽,供給槽も冷却できなくな るはずですが,最悪の場合どのような環境汚染になるのでしょうか。汚染のシミュレー ションをしているのならば示してください。
質問② 大量の放射能が含有されている各高レベル廃液含有貯槽の二つある安全冷却水系 の一系列が工事で止まっていることはそれだけでも,非常に危険な状態とみなすべきと考 えられます。このような場合は非常事態とし,厳重な警戒態勢のもと慎重に冷却を主とす る運転操作をしなければならないのではないでしょうか。今回のような協力会社作業員へ 安全上重要な機器の仕切弁操作をさせることは,ヒューマンエラーと放射能の危険を考慮 しない無責任な連絡体制であり,事故を導く安全・危機意識に欠ける管理体制だったので はないでしょうか。見解を示して下さい。
質問③ 今回の冷却停止事故の報告をみるとき,一つの弁が誤って閉じられていただけで 8時間も原因不明で対応できないでいたことは,もし大地震などによる複数箇所で同時多 発の事故が発生した場合,貴社のガバナンス,危機管理体制,防災体制ではとても対応す ることができないのではないでしょうか。また,報告書12.今後の対応では「根本原因分 析(RCA)を実施する。」とありますが,これは公開されるのでしょうか。
質問④ 原子力研究開発機構JAEAの東海再処理施設では2013年7月貯蔵中の高レベル廃 液の危険性を認めそのリスク低減を原子力規制委員会へ申し出て,2016年1月から安全審 査とは別に廃液のガラス固化を開始しております。しかし貴社は高レベル廃液を2013年5 月以来廃液はそのままで保管し,ガラス固化によるリスク低減をしようとせずに現在に なっています。高レベル廃液の潜在するリスクをJAEAのように真摯に受け止めているの でしょうか。ウクライナで原子力施設がロシア軍に占拠されその潜在する危険を逆手に軍 事基地化しているとのニュースがあります。六ケ所再処理工場で保管している高レベル廃 液の潜在する危険をどのようにお考えか,見解をお知らせください。
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以上
(7)につづく