宮古on Web「宮古伝言板」後のコーケやんブログ

2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。 藤田幸右(ふじたこうすけ) 管理人

〓かさ上げに意味があるのか?

2012年10月28日 | どうなる復興計画


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1、洪水対策のかさ上げ



洪水対策かさ上げ図(1)洪水

県土整備部のいわゆる成功体験と言えばその名前の通り県土の隅々まで数しれない。図のような河川洪水対策としての土地のかさ上げ工事については河川堤防や貯水ダム工事などとともにほぼパーフェクトな実績と自信があるように思える。



洪水対策かさ上げ図(2)かさ上げ

図のようなかさ上げは、考え方としては堤防でも、湖沼の溢流対策としても原理は同じである。工事自体は素人の常識からも信頼できる工事であることは分かる。いわば民事的な手抜きとか談合とか不正請求とかの現実問題は別問題だとして…



洪水対策かさ上げ図(3)復興&防災

雨量や流量の計算がたち、設計にも大きな瑕疵はなく、工事自体も実績充分で他の府県の施工例も参考になる。そのような意味では関連機関(気象や資材サプライヤー)との連携も常に可能な状態である。




2、津波対策のかさ上げ(津波復興&津波防災)

問題は県土整備部の実績や自信をはるかに越えた東日本大震災の困難な復興工事のことである。ここからは県土整備部の評価の景色はがらっと変わる。評価が下がる根本はいま問題になっている災害フィールドが内陸部県土ではなく沿岸部、海浜、津波の現場、沿岸県土であるためである。第二はしたがって同じようなテーマ「かさ上げ」であっても上図のような「かさ上げ」とは工事の根本が異なるという事である。全く参考にならないし参考にするべきではないのである。忘れないうちに一般的に言っておきたいが、その意味で津波復興と津波防災に関してはこれまでの県土整備部の実績も自信も色あせる(その事については前に解体とまで言及した)。むしろ地元地元の沿岸漁師、港湾建設経営者・労務者、荷役などの港湾従事者、加工屋や漁協職員の水産業従事者などの実務者の経験と観察を復興工事の参考の中心におかなければならない。海洋、漁業、港湾関連実務者だけではない広く被災者市民から参考情報収集し、被災市民にふたたび広く情報提供、問題提供することこそが大事なことである。被災者との合意形成というか問題意識の共有というかその事が不可欠なのである。県土整備部はそのような萌芽を阻害している。




津波対策かさ上げ図(1)3.11津波

さて、津波の襲撃によって沿岸平地の集落は無残に破壊され瓦礫となって奥へ奥へと片寄せられ、一部又は大半は海へと流出した。図はその事を詳細に表現するものではないが津波によって水かさが増し平地に浸水したこと示している。




津波対策かさ上げ図(2)いまの被災跡地

海面は通常の高さにもどっているが元々に在った集落は津波に一掃され見る影もない状態である。多くの沿岸被災地はいま現在もこのような状態のままである。地震によって平地自体が地盤沈下したところも多い。このような状態のまま自治体や集落地区ごとに危険地域指定、高台移転、区画整理事業、かさ上げ、現地可住、災害公営住宅などポスト仮設住宅の住まいの問題が現実味をもって迫っている。しかし本当にその時期が適切なのかどうか?ほんとうに迫っているのかどうか分からない。内容的にも問題点が出そろっているのかどうか?さえも判然としない…




津波対策かさ上げ図(3)未来のかさ上げ土地

これは県が各自治体に認可をして県土整備部が監修・管理している区画整理事業の理想の「かさ上げ」モデル図である。詳細は(れいによって明らかにしていないので)分からないが津波浸水深を上回る盛り土をもってここを可住地とすることを被災住民に推奨している。防潮堤など沿岸の防災整備事業と同様に住民はこのかさ上げに対しては慎重でなければならない。質問や根拠、理由、検証を動員して大きな議論を巻き起こすものでなければならない。その経過の中で住民自身が判断して住宅地としての決定をすることであるからである。



(次のページに続く)



















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