防潮堤:宮古・鍬ケ崎地区で25人見学 早期完成待望と不要論も /岩手
web 毎日新聞 岩手
建設が進む防潮堤の1工区現場を見学する住民たち=宮古市鍬ケ崎地区で
東日本大震災の津波で被災した宮古市鍬ケ崎(くわがさき)地区で5日、建設中の防潮堤の現場見学会があった。防潮堤の山側に自宅の再建などを計画している住民が早期完成を望む一方、「漁業の妨げになる」と不要だとする声も聞かれた。
鍬ケ崎地区の防潮堤は南側の閉伊川河口付近から北側の竜神崎までの延長1・6キロで、全体の4工区のうち、3工区で工事が進められている。総事業費は約90億円で、2016年度中の完成を目指している。
この日の見学会は、工事主体の県宮古土木センターが、市魚市場近くの1工区(延長120メートル、海抜10・4メートル)で午前と午後の2回開き、計25人が参加した。鋼管くいの打ち込みが終わり、4段組の竪壁のうち3段の途中まで積み増す工事が進み、今月末の工期よりやや遅れる見通しが示された。
1工区で打ち込んだ80本のくいのうち、地中の支持層まで達しなかった52本でくいの継ぎ足しを行ったことも明らかにした。側壁部分には、1工区だけでアクリル製の窓7基を取り付ける説明もあった。
参加者の女性の一人は「工法や構造がどうだと説明されても難しくて分からない。とにかく安心して商売できるよう早く完成してほしい」と要望。一方、男性は「こんなに高いのは要らない。この半分でいいのでは」と話した。建設に反対する「鍬ケ崎の防潮堤を考える会」の鳥居清蔵代表も姿を見せ、「これで宮古の漁業はますます衰退する」と嘆いていた。【鬼山親芳】
2015年11月06日
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