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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

ILC 国際リニアコライダー

2018年11月19日 | データ、転載など

ILC 誘致に結論は出るのか?


日本学術会議が諮問を受けていたILC誘致に関する案件の検討委員会の第11回検討会があさっての11月21日に開かれるという。そのご学術会議幹事会の追認をへて、文部科学大臣に答申される。先き14日に発表された第10回検討会の「回答案」は誘致に慎重を期すというもので、いろいろな反響を呼んでいる。特に誘致推進派からの風あたりが強い。考える会は歓迎

その状況を受けてか、第11回検討会、その後の幹事会の議論並びに結論(?)は非公開にすると声明があった。さっそく文科省大臣や官僚、そして推進派、考える会などへの慮(おもんばか)りである。

なぜ非公開なのか?中味の推測は簡単であろう。 1)ひとつはILCの事が学術会議としてもよく分からないからである。  2)もうひとつは8,000億円といわれる施設建設費、500億円ともいわれる年間の運営費の事、が学術会議の手におえないからである。したがって「分かりません」「手におえません」と文部科学省に、せいぜい議論の経過を添えて、まる戻し答申するのではないか、と…。それならば検討議論を非公開にする事もうなずける。前者は学術会議としての学問的恥の、後者は非学問的マネー勘定の議論であるからである。

 

1)学者がILCの事が分からないとは不思議に思われるかもしれない。しかしその分野の専門家ばかりでない学術会議機構においては、あたりまえに、分からない学者の層は厚いのである。いや専門家(検討会)においても一般市民の教育の程度や理解度を勘案して、これはムリだ、これはOKの思惑は当然に働く。この案件の国民的コンセンサスはまだない、の判断は、学者ならざるわれら程度の事としては納得がいく。小学生向け解説書には「ILC ってな〜に」とか「宇宙のナゾがわかるんだ!」の幼児ことば、大人には「宇宙誕生の直前に大きな光」「直後にヒッグス粒子に満たされた」「その詳しい解明」などと、わけが分からない解説。一般市民だけでなく、一般学者、一般有識者がどの程度の理解度か専門検討会としても判断が難しかろう。ある程度よく分かる(リーズナブルな)言葉や解説が出来るまで、それは学問の中で研究して(もんで)もらいたい。一般大人はある波長でシンクロして聞き流せるが、こどもはすでに結果か経過か仮設か踏み込み始めている(あるいは逆)。誘致する事の意義やヒッグス粒子研究の意義・有用性がよく分かっていない。トリチウム発生の問題も原発由来発生の問題と絡んで政治問題化している。

いずれにしても国民は何年も何十年もこのプロジェクトの意味はわからないできている(説明されていない)。学者自身が自身の説明責任に満足度があるのであろうか? 唐突感がつきまとい今後の展望が開ける予感もない。

 

2)また、このプロジェクトにはその無理スジの過剰予算から最初から「予算外予算」の考えがついてまわっていて、もともと学術会議などの手におえるものではない。まる戻し答申は学者的良心といえる。諮問側は無理スジを承知の上で諮問するというやってはならない侮辱的国家的奇策を弄したと言える。8,000億、500億という数字は、その膨大さから、科学研究費予算ではなく政治的なにかの思惑予算、必然経済波及効果ではなく地方の衰退を招くバブル喚起経済投資予算といえる。わが国で、様々な研究の目的や性格を選別して奨学的資金、国際視野での競争資金を予算化している。最近のノーベル賞の驚異の輩出を支え、科学立国の名声を高める原動力、科学研究費助成制度、いわゆる「科研費」がある。自然科学だけでなく人文、社会科学の研究も巾広く対象にしていてその予算規模が、この4年〜5年は毎年2,280億円内外である。それが最善とは言わないが学術会議掌握予算の根幹のこの予算規模を見ても8,000億、500億が彼ら彼女らの手に余る巨大さである事はわかる気がする。

ILCプロジェクトの不確しかさの故にその拙速実現は、即、わが国の科学、学問の再起不能的破局であり得る。追って周辺投資のバブル波及効果破綻、学問の独立・経済の独立の弱体化、トランプ政権を超えた独善的強制的政治思想の出現が見える。

 

 その他 3)そもそも、この計画の、今現在に至る経過はどうだったのであろうか? その発起人、推進母胎、その実現可能性の可否の本当の所を全面的に明らかにしないとごく自然に、破綻の坂をまっすぐに転げ落ちる懸念に駆られる。科学者、知事や大臣の政治家、文部官僚、ゼネコン、にわかコンサルタントなどいわゆる誘致推進派の中にはまる戻し答申を喜ぶ向きもあるかもしれないがそれは空しい。

 

 

<参考> ノーベル賞支えた科研費

日本経済新聞(2018.11.18) 




[関連記事] グループFacebookILC誘致を考える

 ── 国際リニアコライダーを巡る意見

<<推進の意見>>

●未知の物理法則を解明できる ×ばつ。解明できない。新しい法則を解明したと聞いた事がない。確証器に過ぎない。
●1万人規模の国際研究拠点となる ×ばつ。そんなバカな。宮城県村井知事に言わせれば一つ覚えに「リサーチコンプレックス」などと言い出す。いまどき、現地に人は集まらない。
●医療・生命科学などに応用できる ×ばつ。そんな話はない。ノーベル賞の本庶博士、大隈博士、大村博士が加速器を使ったとは聞いていない。みなさん発想や土壌や努力からノーベル賞を勝ち取った。加速器の応用は結果論好き怠け者学者の発想。
●2兆円強の経済波及効果 ×ばつ。約束された経済効果があるはずはない。あれば民間で誰かがやっている。

 <<慎重の意見>>

●8000億円の予算に見合う成果があるか ×ばつ。成果の約束は推進者すら口をぬぐっている=成果はなくても成果があるから。山を崩しコンクリートを持ち運べば成果だ。科学で粉飾してるだけ。
●他の科学分野の理解・支持があるか ×ばつ。ない。聞いた事がない。当該学者と、ひも付き官僚と政治家だけだ。予算外予算、まさに利権コンプレックス。
●建設時や運転時の安全性に問題がある ×ばつ。問題ダラけでそのためにみんなが反対している。
●地域振興効果を過大に見積もっている ×ばつ。地域こそいい迷惑だ。原発みたいにお金が出るわけでもない。土砂や廃棄物の垂れ流し対応しなければならない。





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