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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

目を覚ませ宮古人!!しっかり「閉伊川」をみよ(4)水門の防災機能

2014年02月20日 | 宮古閉伊川水門

前ページよりつづく

図 1 閉伊川水門の予定位置

 

 水門に防災機能はあるのか?(水門全閉時)

 

図 2 水門の津波防災機能

 

閉伊川水門の目的は津波防災であったはずであるが、1)河川水門というものは歴史上もともと津波防災を目的にしたものはなく未経験津波への検証がない。 2)閉伊川水門の場合は水門に航行部をもうけたために構造の一体性が失われて更に津波には弱い事。──の検証をしっかりしなければならない。

図 3 水門全体図(2/6 説明会資料より)
 
 

まず次のような現象が想定される
無理な計画 

 

昨年の1月宮古市議会では管理道路に自転車や歩行者を通す意見もあったという。何を考えているのかとあきれる。まずは防災機能の効果の検証ではないかと思う。津波時の閉伊川河口の変化である。

越 流:宮古湾に入ってくる津波は陸上・海底を問わず太古からの谷地を記憶していてそこを目指して襲撃してくる。その意味で水門があろうとなかろうと津波は強力に閉伊川を遡上してくる。また、出先ふ頭、藤原ふ頭にはさまれ、開かれた広い河口は、津波の動きによっては鍬ヶ崎方面、藤原・磯鶏方面に向かった津波の合流場所にもなる。対岸重茂半島からの反射波、湾奥からの戻り波もそこに加わって遡上波は重層的に増え、閉伊川の溢流、津波の越流は覚悟せざるを得ない。

今次3.11津波の市街地の溢流、越流との比較において徹底検討、多角的なシミュレーションが行われなければならない。

図 4 津波衝撃力のベクトル図

 

崩 壊:津波による閉伊川の溢流、越流は同時に水門にかかる津波の衝撃力の強さである。衝撃力の強さは津波の水量と津波の寄せてくる速さに関係するが、閉伊川水門はこの衝撃に耐え得ないで崩壊する可能性が高い。

閉伊川水門の場合、水門全体のデザイン、全体の材質が非均一で、場所場所、ブロックブロックに構造上の強度のばらつきがある。特に航路部のブロックはその可動性の複雑な構造から強度に難が生じると思われる。あるいは他の場所かもしれないが、藤原側堤防を含め一直線に川を跨いだ水門の防潮壁はデザイン、材質ともに均一の構造ではなく、一番弱い場所から毀損が始まると思わなければならない。そこに津波の破壊力が集中する。

「県内初」と言われる航路部のある水門は冷静に考えると航路と強度という相矛盾する目的を共存させようという無謀な計画なのである。

 

[参考]

 ● なにより気になるのは防災効果や安全性の根拠がどこにも示されていないということだ。

 (詳細は後にするとして)特に航路部の段違いの遮蔽機構は津波の衝撃を受け止める事が出来るのか? この赤い遮蔽版のもともとの強さと、ゲート全閉時のその動き、その支柱ポジションがはたして「直撃する津波の衝撃」に耐え得るのかははなはだ疑問である。おそらく耐え得ない。ほぼ300メートル幅の津波の衝撃が水門の航路部に集中する。水門全体の真ん中(航路部)が左右のバランスを欠いて工学的に弱すぎる。そこは非航路部と作り方が完全に異なるといいながら、それは表面的な事であって、設計の思想は何ら異なっていないからだ。同じである。設計思想が同じで両翼のバランスが悪ければ本体はかならず崩れる。航路部の下の遮断版にはほとんど他の場所の2~8倍の衝撃がかかるのである。閉伊川水門はここから崩れる。──この段落は前々ページ「目を覚ませ…(2)…」より引用

 

 ● 閉伊川水門が実験台になっている。航路部をもつ水門は岩手県では初めて計画された。

 全国、国際的には航路部をもつ河川水門は多いと思われ、ヨーロッパののどかな運河や大陸間の巨大運河などを自由に思い浮かべるであろう。県内初というのであれば国内のこのような航路部をもつ河川水門を岩手県庁は調べあげて発表するべきである。しかし先例はないのではないかと思われる。否、どこに、航路部がある津波防災の防潮水門というものがあるというのか?! 先例のあるべきもない。似たような先例でもいい岩手県は事前に調べるべきである。敢えて存在の自己矛盾を抱えてまで工事に執着する必要性はどこにあるのか。岩手県は宮古市の閉伊川を後戻りできない実験台にするつもりである。時間的に拙速、技術的に未熟、メンテナンスやランニングマネジメントは無いに等しいのに…。どこをとっても成立しない。海洋と北上山系をつなぐ大きな自然交流の輪の破壊でもあるこのような無謀を許していいのであろうか? 宮古市民は、岩手県県民は、国民は…

 

 

 

 

岩手県に、宮古市に、納得するまで質問する

 

閉伊川水門については誰もが大きなくくりの中で考えなければならない。工事は何のための工事なのか? 閉伊川の景色はどうなるのか? 船の往来は? 魚や水の自然環境は? 将来の維持管理は? などである。地域住民として、いわゆるフラットに考えて、本当の意味を市民一人一人がつかまえなければならないのだ。なぜならば、意味をつかまえるも何も、岩手県や宮古市は、この閉伊川水門の意味を市民に知らせていないばかりか、工事の事実についても隠せるものはなるべく隠している…。つまり知らせたくないからである。

 

工事主体はどこなのか?
工事請け負い入札の経過は?

経過に談合はなかったのか?
落札会社は?

よその水門との違いは?
県内初の航行部をもつ水門と?
では県外のどこに先例があるのか?
水門開閉のメカニズムはどうなのか?
水門に津波防災機能は本当にあるのか?
それはどのように検証されるのか? 

水門操作はだれが?
ランニングコストは?
負担主体は国か県か市か?
ハード自体の維持管理主体は?
その予算は?負担主体は?その捻出方法は?
市民負担があるのになぜ合意をとらない。 

汽水域の水の変化は?
風の流れの変化はあるのか? 
閉伊川の魚・水中生物の変化は?
宮古湾や宮古沿岸の水質への影響は?
一般に環境アセスメントはどうなるのか?
耐用年数は?

 

で、いったい誰のための水門なのか?

 

 

 

 

 

 次ページに移る

 

 

(5)につづく

 

 

 

 

 


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (とおりすがり)
2015-03-29 09:36:36
津波波力算定式というものが2005年に内閣府から出てます。平たく言うと津波の高さの3倍の高さの波圧を設計で見なさいということです。建築の世界の式ですが、土木でも一般的に使ってます。個人的には保守的(=安全側)な式かな~と思ってます。水理模型実験から導いた式なので。

宮古の水門に当てはめると、3.11での津波の高さ10mとすれば30mの高さの波圧を見ろということ。

qz=ρ×g×(a×h-z)

ネットに転がってた建築関係の講習会資料urlあげますので参考に。他にも沢山あります。
http://www.kenken.go.jp/japanese/research/lecture/h23/pdf/bri20120309_txt05.pdf
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もう少し詳しくお願いします。 (コーケやん)
2015-03-19 03:17:48
とおりすがり様。「津波の高さの3倍の水深」などの言葉がわかりません。もう少し詳しく書いていただきたいと思います。中味には興味があります。
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Unknown (とおりすがり)
2015-03-16 17:36:28
津波外力に力づくで向き合う設計は出来ますし施工できますよ。津波の高さの3倍の水深の外力に耐える構造なら水門が破壊されること無く津波を跳ね返せます。
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