すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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TPPはオバマに宛てたラブレター

2013年02月24日 | 日記

 安倍総理とオバマ大統領はホワイトハウスで会談していましたが、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)について、「すべての関税撤廃の約束を求めれていない」とする共同声明を発表しました。自民党は昨年末の衆院選公約で、「聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPPに反対」と掲げていましたので、これで、TPP参加の条件が整ったことになり、新聞各紙は「TPP交渉参加へ」と報じました。

 TPPは太平洋を囲む国々が、関税をなくすなどして、モノやカネが自由に行き来する経済圏を作ろうというもので、米国、チリ、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシアの11カ国が参加しています。もし、世界3位のGDPを持つ日本が参加すれば、世界のGDPの4割を占める巨大な自由貿易経済圏が成立することになります。

 オバマ大統領は、貿易拡大による景気回復を公約にして再選されましたから、是が非でも、日本にTPPに参加して欲しいと切望しています。しかし、一方で。米国内の自動車業界には、現在、2.5%の関税がなくなれば、日本車がどっと米国市場に流れ込んでくるという危機感もありました。自動車など工業製品には関税制度を維持し、農産物や保険だけは関税など貿易障壁をなくしたいというのが本音でした。その意味では、今回の共同声明は、米国と日本の利害が一致したもので、外交という面では、自民党政権の方が、2枚も、3枚も、民主党よりは上手だったということになるでしょう。「TPPはオバマに宛てたラブレター」。これは私が詠んだ川柳ですが、そうだと思います。

 では、今後、どうなるんでしょうか。今回の共同声明では、「すべての関税撤廃の約束が求められていない」ことを確認しましたが、「TPPはすべての物品の交渉の大正とする」ことも確認されました。すると、国と国とが一対一で結ぶ自由貿易協定(FTA)のように、それぞれの品物をどうしようかという色彩になってくるのは必定です。日本としては、農業製品ではできるだけ関税を残し、工業製品では関税をなくそうと求めるでしょうし、米国は反対に、工業製品の関税は残し、農業製品の関税をなくする方向で主張するでしょう。FTAなら、一対一なら、対等の交渉ですが、現在の11の参加国のほとんどが米国に近い立ち位置にあります。今回のTPP交渉は難しい交渉が予想されます。

 農産物は、米が778%、バターが360%、牛肉が38.5%、小麦が252%、大麦が256%と高率の関税で守られていたことは否定できません。狭く、急峻な国土の日本では農業規模の拡大は容易ではなく、様々な農業支援策を取っても、支えきれるかは大きな疑問です。その反面、農産物の価格が低くなれば、消費者にとってはメリットが大きいと思われる方が少なくないと思いますが、「遺伝子組み換え」という表示は貿易障壁だとしてなくすことを求められるほか、世界で一番厳しいとされるBSEや狂牛病の検査も緩和が求められそうで、農産物の安心安全を守るため政策も自国だけで決められないという状況になりかねません。

 入札もそうです。公共工事や物品の納入、清掃などの行政発注分も地元優先はできなくなりそうですし、金融だってそうです。結局、9500といわれ交渉の中で、どこの部分は守るが、ここの部分は切り捨てるという交渉がTPPでなされるということを意味するのです。私は保護貿易主義者ではありませんが、対等の立場で交渉できるFTAですればよく、TPPに参加すべきではないと思います。韓国も、中国も、インドネシアも参加していませんから、こうした態度を取ったとしても、許されないことではないと思います。

 これまで以上に、TPPは、交渉でまとめる中身が重要であることがわかっていただけたと思います。皆さんと一緒に慎重に見守っていかなければならないと思っています。

 

 

 

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