左胸のポケットに入れたGITANESを取り出すときは、
左手を使うものだ。
それとは無関係に・・・。
未明、枕もとの携帯電話が鳴った。
緊急の用事だろうか?
「…もしもし…?」
「村田です。」
「…はぁ…?」
「村田です!」
「…。」
「今度ワシ、入院せな、あきまへんのや!」
「…お大事に…。」
通話を切った。
声の感じからするとかなり年輩の大阪弁の男性。
村田という姓の知り合いはいるが、同級生の女性だ。
完全に間違い電話。
しまった、「間違いですよ」と教えてあげるのを忘れていた…。
寝ぼけ頭で、そんなこと思い付かなかったのだ。
30分後、また着信。
「村田です!」
「…。」
「村田です!」
「…あの…どちらの村田さん…?」
「大阪府泉南郡熊取町○○番地の○○の村田です!!」
「…ああ、…そうでしたか…。」
切る。
やはり知らない「村田」だ。
あ、また間違い電話と言うのを忘れた。
それからいつもの起床時間まで、
果たして村田氏から3回目の電話はあるのか、
村田氏は、どこを患っているのか、
考えながら過ごした。
結局村田氏からの連絡はなかった。
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