GITANES臭が染み付いたエアコンからの風は
凶悪だ。
それとは無関係に・・・。
小学校低学年の頃、なんの拍子か近所の時計屋さんの店先に
置いてある腕時計を気に入ってしまい、それを親に話したら
どういう訳かすぐに買ってくれた。
それまでのマンガキャラクタの絵入りなどの時計ではなく、
文字盤も針もシンプルで、革(調)のベルトだった。
一部分だけ一気に大人になったような気がして、地に足が
つかないほど嬉しかったのを覚えている。
なんとこいつは裕福な幼少時代を・・・と思う人もいるかも
しれない。
しかしこの時計はビジュアルこそ大人っぽくはあったものの、
やはり子どもが持つにふさわしいような代物で、何しろ値段が
3桁、つまり千円未満だったのである(たしか900円)。
それでも値段なんか関係ない。しばらく、学校に行くとき以外はずっと
左手首にそれを付け、時間など興味もないのに時計ばかり眺めていた。
ぜんまいを巻かないとすぐに止まるし、巻いたとしても24時間で
20分ほど狂ってしまう時計だったが、それでもお気に入りだった。
高校生の頃にもなると、時計には愛着よりも正確な時刻を求めるので
(当たり前だが)、カシオの1000円ほどのデジタル時計を買った。
ベルトをシルバーの鎖調に替えていたのは、工藤俊作の影響だと思う。
一日に20分狂う方の時計はその後、どういう経緯からか兄の手に渡り、
兄もそれを数年身につけていたようだ。大のオトナがよくあんな時計で
事足りていたもんだ(正確じゃないのに)。
毎月男性ファッション雑誌を数冊買う。
仕事上の必要もあるが、まあ色気づいてきた頃からの習慣でもある。
今月(6月下旬発売分)は珍しく一冊も買わなかった。
いつも買う雑誌のほとんどが、「時計特集」を組んでいたからだ。
絶対買わないものにどうしても興味が持てないからである。
数十万から数千万の時計の写真を載せられても、感想さえ持ちようが
ない。
あの3桁の時計のおかげで、今でも私は高額な腕時計を見ると、
自分とは縁のない「無関係のアイテム」として脳内で処理してしまうのだ。
商談相手や、ちょっと知り合った人の手首に高価そうな時計があるのを
見かけると、
「オレには似合わんぞー」と口の中で呟く。
それが負け惜しみなのか自己暗示なのかわからないが、それで買わずに
済んでいるのなら、まあいいか。
多分実際に高価なモノは似合わないし。
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彼も高い時計には興味がないそうです。
私は実は時計が大好き!
華奢な感じの時計が好きです。
でも今は仕事柄、時計をすることがなく
少し淋しいです。
同居人に誕生日に以前買ってもらった時計も
電池が切れたまま。
私は時計は宝石などよりも好きです。
値段に関係なく。
という訳にはいかないので、それなりに時計を
もっていますが いずれも四角い時計、それに価格は
二万円未満・と自分で自然に線引きしているようです。
時計が例えば50万の値段なら、財布も靴も洋服も
車も住まいも毎日使うコーヒーカップも
ライターもすべてそれに合わさなければいけないような
気がして、そうすると元来貧乏性な私は、それらの
品格に押し潰されそうなプレッシャーを感じるだろうと
思われます。