「GITANESでもどうだ、一本。」な訳はない。
それとは無関係に・・・。
固定された椅子とは、
交番に置かれたパイプ椅子のことである。
どうぞ座ってください
と言われて腰をおろし、無意識に位置を微調整しようとしても
椅子が動かない。
ふと見ると、椅子の足がボルトで床に固定されている。
そうか、ここは交番なのだ
と気づく。
と大袈裟な書き出しであるが、いつものことなのだ。
落し物を届けに来ただけ。
私が管理する施設で関係者が財布を拾い、交番に届けたが
留守だったので「あとはよろしく。」と私にそれを託し、
仕方がないから私がまた交番に出向く事態になっただけのこと。
拾得者がその人(Kさん)、届出者が私 という形だ。
警察官Aと一緒に中身を確認する。
財布だが現金は1円も入っていない。
クレジットカードとキャッシュカードは入っている。
レシートがいくつか、ポイントカードや会員証も何枚か。
警官が書類にいろいろ書いている間、窓の外を通行人が行き交う。
完全に「あいつ、何をしたんだろう?」という目つきである。
そういうときには私もサービス精神は旺盛な方なので
「何見とるんじゃワレ!」という視線を返す。
そうした方がどうも通行人たちは嬉しそうなのだ。
外国人旅行者とおぼしき2人連れは窓のそばで立ち止まり
こちらの様子をカメラで撮影し始めた。
ちがうぞアミーゴ。ちがうんだセニョール、いやムッシュ。
「ということで、権利関係はどうします?」
「はい、私も拾得者もすべて放棄します。連絡も要りません。お礼の電話も
不要です」
「はい、わかりました。」
すべて順調に終わったところへ、別の警官Bがなにやら携帯で話ながら
登場。
帰ろうとする私を制止した。
警官B「ちょっと待って!」
警官A「なに?」
警官B「その財布、遺失物届けが出てました」
警官A「あ、そう。よかった。」
警官B「いやちょっとそれが、あんまり。」
警官A&私「何?」
警官B「届出によると、その財布には現金が15000円
入っていたということです。」
警官A&私「なんだって?!」
警官B「ということで、金が抜き取られたという窃盗の線が出てきましたので
もう少々お話をお聞きしたい」
ああ。
拾得者に電話した。
私「ということで、少々面倒なことになりました。警察があらためてあなたに
事情を伺いたいとのことです。現場で写真なんかも撮るらしいし。」
Kさん「あらら、大変。面倒なこと押し付けてしまって申し訳ないです」
私「いやいや・・・。」
窓の外では例の外国人が、ちょっと腰を落とし気味にして本格的に構えたカメラを
縦にしたり横にしたりと忙しく撮影を続行していた。
帰国後その画像が彼らのブログに(間違った説明とともに)
掲載などされないことを祈るばかりである。
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