少し長いが那須さんの思いが込められている部分なので,同書から引用する。(P152~154)
「広島のお好み焼きは,焼いてくれる店の人や,店内の様子,それを食べている自分の姿など,すべてを1枚の映像に残してくれる不思議な食べ物です。つまり,お好み焼きを食べた体験そのものが,思い出となるのです。こんな食べ物は,めずらしいのではないでしょうか。
そういえば,広島の人は,お好み焼きは人情の味がすると,しきりにいいます。屋台で食べたお好み焼きにも,町内のおばちゃんの店で食べたお好み焼きにも,暖かい人の心が染み込んでいると。
これは,やはり広島のお好み焼きの誕生に深く関係があるのではないでしょうか。
1945年(昭和20年)8月6日,広島は一瞬のうちに破壊されました。おおぜいの人が死に,現在も放射線の影響で苦しんでいる人がいます。
平和がよみがえった焼け跡に誕生したお好み焼き店は,広島の復興変貌にあわせ,その数を増やし,変化していきましたし,それを食べた人の暮らしも変わっていきました。
広島のお好み焼きを食べた人は,それぞれの時代の広島の街を体験しています。戦前ののんびりした街なみを記憶している人,70年間草木が生えないとうわさされた原子砂漠を目のあたりにした人,バラックが点在するほこりっぽい市街地を知る人,近代的なビルの乱立する繁華街を飲み歩いた人。
時代はちがっていても,お好み焼きは,やはり,被爆の廃墟から生まれた「広島の食べ物」にはちがいありません。ソースのかおりも,キャベツの歯ごたえも,そばの味も,けっきょくあの日につながっているのです。原爆も戦後の飢えも知らない人にも,それをイメージさせる何かがあります。
さらにいえば,お好み焼きを食べることは,平和を願う気持ちにつながるといえるかもしれません。広島のお好み焼き誕生の秘密を知れば,あながち,まちがいとはいえない。少なくとも筆者には,そんな気がしてしようがないのです。
広島の人は,戦争のない平和な世の中を願う同じ気持ちで,お好み焼きを愛し,守り続けようとしているのではないでしょうか。 どうか,いちど広島にきてください。そして,広島のお好み焼きを味わってください。お好み焼きは平和を願う,きみの食べ物でもあるからです。 」
被爆の犠牲にあった方は10万人といわれる。昭和20年中になくなられた方も入れると14万人という説もあるらしい。那須の『お好み焼き物語』は,子ども向けに書かれた本だが,大人にとっても読み応えのあるものに仕上がっている。お好み焼きを通して,戦前・戦後の広島を考える。広島の復興の足跡をたどってみる。そんなことが楽しめる一冊である。
最近,元気がないといわれる広島県だが,復興を成し遂げた汗の蓄積,努力の積み重ねがある。読み終えてみて,我々ならきっと元気な広島県をつくれる。そんな勇気のようなものを感じた。この夏,是非,家族でお楽しみください。
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この次の機会にはお好み焼き談義で盛り上がりましょう。
今日、広島(廿日市)に出張があったので、帰りに満さんと1時間程のどを潤しました。toru_moonとこも寄りたかったんですが・・・また行きま~す。