こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

『淋しきカリスマ 堤 義明』を読んでいる

2005年04月22日 | 読書ノート
  戦後のどさくさで宮家の土地を強引に手に入れ,それにプリンスの名を冠してホテルをつくった財界人・政界人である,先代,堤康次郎。東急の五島慶太とのライバル関係は,「盗人慶太にピストル康次郎」と評され有名だ。事業の進め方の強引さや複雑な家族関係をつくりだす,女性に対する異常とも言える執着は,「英雄色を好む」では片付けられない,複雑な心理が背景にあるのではないかと思うが,衆議院議長まで上り詰める栄達と相まって,かえって,カリスマ性を浮き立たせている。

 先代,堤康次郎氏のヒストリーは,高度成長期までの,戦前・戦後に連なる歴史の大きなうねりを伝える。そして盛者必衰。高度成長以降のバブル崩壊からの混迷。そして現代。今を盛りの人たちも明日はどうなるかわからない。康次郎を引き継いだ義明:淋しきカリスマの凋落はその象徴とも言える。堤氏個人の評価はさて置き,堤氏の凋落に象徴される,時代の持つ価値観のゆらぎに対し,漠然と不安を覚えた。



    

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