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抜書き~『天才がどんどん生まれてくる組織』

2005年07月22日 | 読書ノート
天才がどんどん生まれてくる組織

新潮社

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 儲け主義に傾きすぎ。安易に本をだしすぎ。などと思いながら,軽く読めるポップさから,齋藤本についつい手を出しては,読後がすっきりしない作品が続いていたが,この”天才どんどん”は組織論としても読物としても,割合,満足いける水準に仕上がっているように思う。それでは,役に立ちそうなので,各講のまとめ部分を抜書き(抜粋)する。

 

1. 猿飛佐助は個性を超える

  • ハイレベルな基本技が全員によって共有されている組織は,驚くべき強さを持つ。
  • 逆に「癖」の模倣に留まれば,中心人物がいなくなれば組織も消滅する。
  • 優れた「型」は,才能の有無を問わず,システマティックに熟練者を養成できる。

2. ヨハン・クライフとカルロス・ゴーン

  • トータルフットボールは「ガウディのサラダ・ファミリア」に喩えられる。
  • 理想的な組織では,個人が全体を横断的な視野で見つめる目を持っている。
  • 全体の中で ,責任をもって考えることができる個人が多いほど,組織は有機的になる。

3.  世界的音楽家を輩出した齋藤メソッド

  • メソッドは,シンプルで徹底的に反復練習しえるものでなければならない。
  • カリキュラムを巧みに構成することで,子供の才能は,驚くほど引き伸ばされる。 

4 .奨励会というスーパー教育システム

  • 奨励会には,競争原理と師弟関係という二つのシステムがうまく組み合わさっている。
  • 天才を磨きふるい落とす場所でなく,町道場のような才能を発掘する場が必要だ。    

5. サッカー選手養成組織 清水エスパルス

  • ルールが限定されたスポーツほど,育成プランの良し悪しが,技量向上を左右する。
  • 教えられている時,逆に教える立場になって考えてみると,理解が立体的になる。
  • 「教育者を教育する」ことは,もっとも波及効果のある教育戦略だ。
  • 「書く」という行為は,暗黙知の意識化に最良の方法である。課題がクリアになる。 

6. 宝塚音楽学校の密封錬金術

  • エネルギーに満ち溢れた二十代までの才能を開花させるには,修行的生活も必要だ。
  • 必要以上に時間をかけず,短期集中的に緊張を保つと教育にメリハリがでてくる。
  • 禁欲が反対に個性の爆発パワーを生むバネとなることもある。  

7. 藩校の教育力

  • 耳から聴き,声を出して,言葉を身体に技化していく「素読」から学ぶことは多い。
  • 最高の内容をもつ難易度の高いテキストを繰り返し,らせん的に読みこなすことで,他の本も易しく読めるようになる。  

8. スター誕生!

  • 「スター誕生!」の面白さは,応募者,選考委員,視聴者がスター選抜の基準を暗中模索しながら続いていたことにあった。
  • 選ばれただけでは才能は萎んでしまう。その後,いかにフォローする体制があるかが大事な教育戦略である。  

9. 漫画家の青春溶鉱炉

  • 空間的な距離は,当然のことながら関係の濃密さをつくる。その場は,ひとつの志が渦巻くクリエイティブな磁場となる。
  • 若者に必要なのは,明確なミッションなのだ。それを見出すことで,有り余ったエネルギーが目標に向かって一点に注がれ,形になっていく。 

10. 週刊マンガ誌という怪物

  • 若い才能を数多く発掘するのは,人脈による過酷な競争システムの方が効果的だ。
  • 天才は,嵐を巻き起こす「台風の目」である。その中心となる静寂を,いかに新鮮に保つかに,システムと関係者の質が問われている。

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