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地方分権改革

2007年08月28日 | 読書ノート
地方分権改革 (行政学叢書 5) (行政学叢書 5)
西尾 勝
東京大学出版会

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  西尾の考える地方分権は、かなり、気合がはいている。

 参議院を地方議会の代表者から構成する議院に改革し、自主立法の提案権まで認める際物である。

 国から県、県から市町への事務権限の移譲はもとより、抜本的な財政改革を伴う、地方の完全自立を基調に分権改革の意義を力強く披瀝するが、何よりも重要なのは、「法令の規律密度」の緩和の論であろう。

 自ら、地方分権推進委員会の委員として、機関委任事務を廃止し、通達行政を排除した西尾は、さらに、法令に付随した通知や解釈指針をも排除する、「法令の規律密度」の緩和論を積極的に主張する。

 法律を大綱化してしまえば、たとえば、学校舎の建設に伴う高さ基準も、気象や用途など地域の実情に応じて、地域が決める。法律は、基本となるルールの大枠だけを示すというものだ。

 だが、そうなったとき、都道府県や市町村の職員は、手にした独自の企画・立案権を縦横無尽に行使しうるのだろうか。国柄が大きく変わろうとしている時。新たなしくみや機構の担い手たちに掛かる責務は重く厳しい。かつ、改革は待ったなしである。

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