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ロウアーミドルの衝撃

2006年10月24日 | 読書ノート
ロウアーミドルの衝撃

講談社

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 所得階層を次の4段階にわけると,アッパークラス層がわずかに増え,ロウアーミドルクラス層とロウアークラス層が増加するのに対し,アッパーミドルクラスが急激に減って,総中流社会が急速に崩れている。所得階層の2層化とともにロウアークラスの台頭が,この社会トレンドを特色付ける。

・世帯年入1000万円超        → アッパークラス
・  〃   600万円~1000万円  →  アッパーミドルクラス
・  〃   300万円~600万円   → ロウアーミドルクラス
・  〃   300万円以下       → ロウアークラス 

 このトレンドを的確に捉えて,社会の中心層であるロウアーミドルが活性化する戦略を組め,さすれば,日本の再生・復活も夢物語ではないと,説くのが,この本のエッセンスである。

 価格は安いがセンスは自由が丘→なんちゃって自由が丘,が基本コンセプト。ロウアー層の老舗「ダイソー」に対する,お洒落な人気輸入雑貨店が扱うような商品を低価格で提供する「ナチュラルキッチン」の発想である。
 要するに,社会の中心階層であるロウアーミドルが望む,良質な品物を低価格で提供づくるしくみに変えていこう,というのが一つの視点。

 もう一つは,消費する側の意識も変えていこうというのが視点。自然なものを低価格で求めるトレンドをつくり,偏見でオーバースペック,オーバークオリィファイドになっている物づくりの構造・流通構造を抜本的に変えてしまおうという提案である。曲がったキュウリでもOKだ。

 一方,半値,八掛け,5割引きと言われる製造原価(値段の2割相当)。構造改革が進んだと言われる割には,高コスト体質は改善されず,依然,流通コストは過大でありすぎる。ここにメスを入れねばならない。
 さらに,右肩上がりの成長神話の象徴である,持ち家や高級車志向をストックからフローへ,すなわち,所有から使用へ変質させるのも一つの手である。これまでの成長神話を支えたエートスを根こそぎ変えてしまおうという提案である。

 「所得階層の二極化とともにロウアーミドルクラスが台頭してきたのは,日本の構造変化によるものだ。だが,その中で生活の”質”をより良く変えていくのは,生活者個人の意識改革によるしかないのである。(同書P151)」と大前は説く。


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