こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

人口減少経済の新しい公式を読む

2005年04月07日 | Weblog
 先日,松谷明彦さんの『「人口減少経済」の新しい公式』~「縮む世界」の発想とシステムを読んだ。人口減少の原因分析と将来予測を踏まえた,新しい生活スタイル提案の好著である。
 
 人口減少の要因は,少子化よりも高齢化に依存することや,人口をいじることが問題の遠因との分析は,なるほどと感心した。第2次大戦後のベビーブームは世界的な現象であるから,少子高齢化は,先進国共通の病で,移民国家アメリカを除き,ヨーロッパ諸国は日本と同じ憂き目に会うと漠然と思っていた。
 
 だが,さにあらず。ベビーブーム後に人口をいじったのは日本とドイツだけ。(日本は産児制限,ドイツは東西分裂の労働者不足をトルコなどからの移民で補った。谷と山の関係)日本の場合は,ベビーブーマーの巨大な山の後に,産児制限で深遠な谷をつくったために,戦後は,巨大な生産年齢人口の塊が,未曾有の高度成長を牽引し,21世紀になってからは,逆に,奥深い谷が急角度で高齢化を創っている。この急峻な山と谷が少子高齢化の元凶であり,少子化そのものは戦前にも見られて現象という。

 さて,我々は人口減少社会の到来を避けることはできな。右肩上がりの高度成長も望めない。しかし,やみくもな成長は望めないものの,IT革命・ネットワーク革命を通じ,労働時間を縮めながら,生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させることは可能だ。社会構造のリストラクチャリングの中で,多様な生き方を模索しながら,自分に最も適合した,生活スタイルを確立していくことが求められる。未知との遭遇とも言え,ある種のスリリングさも伴うものと考えられる。

 もちろん,その再構築の過程の中では思わぬ失業もあろうし,年金破綻,社会の不安定化に伴う犯罪増加など,負の現象も避けられまいが,そういう軋轢を乗り越え,新しい生活スタイルの創造に,我々は果敢にチャレンジする必要もある。都市の喧騒を避けた田舎でのスローライフの実現などはその最右翼となるのかもしれない。その意味では,御調なんてところは最高・最適な街ですよね。





 

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