マナーからルールへ

　米国の日本政治研究の第一人者である，ジェラルド・カーチス・コロンビア大学教授が，最近の日本は，「マナーからルールに動き出している」と分析しているという。（『日本の常識世界の非常識』Ｐ207）慣習等で判断していたものが，明文化された規則で判断するほうへシフトしているということか。
　もともと，人種のるつぼといわれる多民族国家米国は，規範・規則なしには安定した社会秩序が保てない。明文化された規則で判断するというのは，米国のオハコのようなものである。「マナーからルールへのシフト」は，米国化のシグナルなのかもしれない。

　そういえば，この間，親父と長く話し込んでいたら，「こんなことは気づいてくれて何がしかアクションを起こしてくれるだろう。わざわざわしが説明するまでもない。」と，我々，子供に期待しやってほしいことが色々あるのだけれど，あ，うんの呼吸でわかってもらえないことが多いとぼやいていた。（亡き母の盆灯篭は本来子供らが買ってそなえるものなのに気がついてくれない。気がつかないことそのものが腹立たしく思うというような類の話。）
　「マナーからルールへ」の話とは少し外れるけれど，きっと解ってくれているはずだと言う思考形態はまさしく慣習依存型だ。そして，息子は言う。そんなことは，きちんと説明してどう対応するかルールを示してもらわないとこまる。言葉で明確にしないと伝わらないと。マナーからルールへのシフトは，案外，こんなところにも現れているのかも知れない。