トリCのブログ

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どうしてそういう考えになるのか、を考察

2018-08-10 13:07:36 | 政治

翁長雄志氏と津川雅彦氏が時を同じくして亡くなった。

政治的な立ち位置で言うと左と右、正反対に立つ二人の様に思えるが、実際は違うだろう。

津川氏は中露米まで含めての包括的な世界観だが、翁長氏は沖縄の損得が全てに勝るまさに「県知事」だった。沖縄の為なら親中、 反米、反本土というスタンスであって、世界のパワーバランスには、正直疎い人だった。


人は立ち位置によって見方がある。


政治家も普通の人である。政治家としてスタートした場所が、例えば、町内の自治会で、近くのペット葬儀場の開発を中止に追い込もうという運動にかなりの熱をもって賛同者を集めたと。集まった支持者も町内の平穏が第一(=よその事情は興味ありません)の人達だ。この段階で集団の特性がほぼ決定される。


自民党が延々と自民党のノリであり、立憲民主党が延々と社会党であるのでも分かる様に、集団は人が入れ代わり立ち代わりしても、最初に決定された特性は変わらない。


スタートがペットの葬儀場中止の集団も自治会が市議会になり、県議会、国会まで活動場所が大きくなっても基本は「近くにペットの葬儀場は嫌(よそに持って行け)」な人たちが集まるのだ。


中国は沖縄を独立させ、米軍と日本の軍事的影響を排除したい。沖縄を落とせば台湾は西と東、両岸が中国支配下となり、平和裏に本土に編入される。


中国共産党が一番恐れるのは「一党独裁をなくそう」と大規模デモを始める自国民だ。こういった改革好きな愛国者が共産党に変わり得る政党として支持するのは、実績がある台湾の政党となる。あんなでかい国が何故台湾の様な小さい地域をかたくなに国として認めず、中国支配下に置きたいかは、こういう点にある。


この視点で言えば、日本本土に対立構造を持ち込んで本国政府に大転換を謀ろうという沖縄の県知事は、中国の台湾奪取を強力に後押ししてくれる革命者だ。しかし反面、中国の地方政治家に絶対してはいけない危険な人物の見本でもある。反日だからといってあまり持ち上げると、中国にも北京に異を唱える政治家を推奨しかねないので、対応は慎重になる。中国の歴代の王朝が崩壊するパターンは、中央から遠く離れた地方の軍閥(政治家)の野望から始まっているのは、中国の政治家なら誰でも知っているからだ。


翁長雄志氏とその周りの支持者が、沖縄独立→米軍撤退→中国の台湾の併合→日米と中国共産党の冷戦50年、といった100年構想を熱望しているとは思えない。始まりはペットの葬儀場レベルの人々だからだ。要するに葬儀場が撤退さえしてくれれば誰にでも魂は売る、という思いだけで、隣町(台湾)がどうなるかなど想定すらしていないのではないか。


もうひとつ、合わせて書かせてもらえば、政治の規模によって合意の長さも変わる。世界各国を巻き込んで原発や核兵器廃絶を実行しようとするなら最低でも50年はかかるだろうが、町内会のもめごとなら一週間も可能だ。沖縄の基地問題は、米中露日台が絡んだ非常に難易度の高い事案だ。数年で変わる首相が簡単に撤去を約束していいレベルではない。


その意味では、色々な政治家がある事案に対して考えを述べた時は、この人はどの規模でものを考えているのか、を注視するのもいい。同じく記者が政治に対して批判をする時も同様だ。その記者が自社から視点なのか東京視点なのか、韓国視点の人もいる。東京に住んでいても沖縄視点の人もいる。


絶対にあの人の考えは間違っている、とは言い切れないのは、こういった立ち位置の違いがあるからだ。