政治家はイメージが大事だとずっと認識されてきた。選挙権が政治に詳しくない人にまで均等に一票が与えられている弊害だ。
イメージが大事だと、人望がない出世欲丸出しタイプの人はあきらめるだろうか。当然、嘘のイメージで塗り固め、良い人アピールを露骨なまでにする。
一方、人望があり出世欲がなく、集まった人の力を上手に使えるタイプの人はどうだろうか。嘘が必要ないため、政策の主張で人に納得してもらえる様に努力する。
政治に詳しい人は、上記の理由から良い人アピールの政治家を総じて信用しない。政策内容しか興味がないのだ。この人たちをA層としよう。
一方で詳しくない人は、政策に興味がないので人を見て判断する。これをB層とする。
政策には、専門家でも様々な意見がある。意見が割れると相手の政策を封じるために(皮肉なことに話し合いで決着がつくのは政治ではない)色々な手を使う。最も古典的な手法はB層をターゲットにしたイメージ作戦になる。
相手のイメージを悪化させ「あんなことをやっているのであれば悪い人だ、支持できないな」と誘導するわけだ。
政治の舞台では、出世欲丸出しで政策に弱いタイプは、この手を頻繁に使う。これに加えて与党や政府の政策が気に入らないマスコミも、同様の手口で始終報道する。
これによって、世界中のB層が「我が国の政治家は金もうけばかりにご執心で庶民の心が全然わかってない」「また嘘の言い訳をして国民をだまそうとしている」「どうして我が国の政治家はダメなやつばかりなんだろう、先進国(北欧イメージ)の政治家の様な人が欲しい」
こういうイメージになる。良い人アピールをしている政治家が、政策通の政治家のイメージを悪化させる為、結果的にB層にとっての政治家は「どいつもこいつも自分の事だけで強欲で嘘つきばかりだ」となる。
こんなんで選挙に行く気になれるだろうか。B層に「支持する政党も政治家もいない」のは当然だし、バカばかりの候補者の誰を選べと言われても、結論として、選ぶ気にもならないではないか。(実際はバカばかりではない)
ところで世論調査は全体の6,7割にもなるだろうB層の「今の政治に対する感想」が常に反映される。
A層は敵対する側の汚職疑惑や失言は、イメージダウンに直結するので(本当は政策ではないのでどうでもいいのだが)、B層を取り込むために大騒ぎをする。だがA層自身は、政策以外の失態で支持政党を変える人はまずいない。あくまで大変な事をしでかした、という演出だ。
B層は当然ながらイメージで政治家を支持したり、しなかったりするので何かあるごとに劇的に数値は変動する。これが敵対勢力やマスコミに今回のやり方は正しかったという「やる気」と「確信」と「正当性」を与える。
ただ、世論調査に変動を与えるB層の多くは、選挙には行かない。調査の上下変動は選挙への効果はない。B層で熱心に選挙に行くのは、宗教のノルマを持っている人やTPPなどで、もろに自分の収入に影響がある人達だ。
民進党で目立っている蓮舫、山尾、辻元などは、明らかにB層のプラスイメージを取り込んで議員になった「良い人たち」だ。自身の成功ノウハウを党の方針に強引に反映するものだから、政策論がなく、ひたすら敵対勢力のイメージダウンを狙ったものになる。
その結果、民進党にも二大政党を理想とする、政策通の人材がいるにもかかわらず、選挙では良い人アピールで票を得るしかない。自分が民進党の議員だったとすれば、割を食ってる感半端ない。そうだ、離党しよう(JR東海)という気持ちはよく分かる。
加計学園問題のターゲットは森友よろしくB層だ。よってイメージで全てが決まる。
「首相の友達の学園だから、政府から役人に圧力があって学園が優遇されたわけでしょ。森友学園と同じでまたまた、首相が裏で手をまわしているに違いない。案の定、役人側は(出世の為に)政府に気を利かしてそんな文章はなかった、と言う。許せないよな、安倍は。民進党もどうでもいいんで、もう好きにやってくれ、俺は興味ないし選挙は行かない、所詮日本の政治なんてこんなレベル(溜息)」
こんな人が多いと思われる。世論調査でも5%ぐらいは支持率が落ちるのではないか。ただし選挙では1%程度の影響力だ。
包括して言えることは、野党は自民を超える王道で政策を立案しなくてはいけない、という事だ。王道=保守ではない。リベラルでも構わないが、リベラルの王道であるべきなのだ。具体的に言えば、例えば北朝鮮。完全武装放棄と経済協力、金王朝=北朝鮮の象徴の維持、民主化をセットに100年後、韓国との統一を誘導する、くらい言えないものかと。下手に北の現政権にへこへこするから、何も言えない。思考がはなから相手ペースなのだ。
政府が反北朝鮮なら野党は親北朝鮮、という思考形態が既に敗北を招いている。政策の9割方、政府と同じでもいい。大人の事情で相手が揺らいでいる時にこそ、攻め時ではないのか。
日本の第二野党が毎度こういう罠(イメージ作戦しか道はない!)に嵌るのは、どうにも。もちろん、野党の面々がバカな連中だから、で済ませられれば簡単なのだが。