トリCのブログ

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箱根駅伝とブラック企業

2016-02-03 13:01:23 | スポーツ

一か月くらい前の話だが箱根駅伝に関してネットで話題になった。日テレのやりすぎ演出とたすきを繋ぐ必死さがブラック企業まがいに見える上にそれをぬくぬくとした環境で楽しむ視聴者、という図に日本の縮図を見る様だ、と誰かがブログで書いた。


見方によっては確かにそう見えなくはない。自分もこの大会に強制的に参加する、というのが例えば大学の伝統だとかぬかしたら断固拒否するし大会自体をつぶす側に回る。(ただし入学の条件が「大会に参加すること必須」なのであればしっかり読まなかった自分が悪いとは思うが)


結局この点に尽きる。箱根駅伝に参加する選手たちは過酷な練習と過度なプレッシャー、自分の不成績によるチームの敗退のリスクも含めても参加したい、チームを勝利に導きたいからトライしているわけで自ら好きで火中に飛び込む分には全くかまわない。


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理系、文系の企業がある様に世の中には体育会系の企業もある。箱根駅伝に参加する様な選手は体育会系の企業に入っても平然と過酷な労働環境を生き抜き企業の成功のために全力を尽くす。後から入ってきた体育会系新人もそういう先輩の後ろ姿に感銘を受けて猛烈に働き企業の業績を伸ばす。まさに箱根で倒れそうになりながらもタスキを渡すあの姿だ。


こういう企業に「業績が良いから」とか「外から見て活発で楽しそうだから」と、根っからの文系や理系が入ったらどうなるか。周囲の熱気に押されて辞めるに辞められず疲れ果てて過労死一直線。実際裁判をやって内情を晒されれば「そりゃ死ぬやつが出てもおかしくはない」と社長や会長がやり玉に上がるが果たしてこういう箱根駅伝型企業を典型的なブラックと呼ぶのか。


実際のリアルなブラックは理系、文系、体育会系関係ない。箱根の頂点を目指すといった高尚な目的など端からなく自分が楽をして金を稼ぎたいから奴隷を欲しがる。奴隷になった社員は自分の奴隷を欲しがるから社員はなかなか減らない。無理やり入社させる&辞めさせない方に力点がいって会社が成功する方には誰も興味が向かない上に幹部は下からのクーデターが怖いから徹底して恐怖政治を敷く。もはや存在自体が全く社会の為にならない。


ブラック企業大賞に選定される企業はこういったリアルなブラックからは選ばれない。選定委員は、上層部が下層部から搾取する事で競合企業よりも結果が出ているところをターゲットにしたいようだ。が、これは資本主義の悪い部分を毛嫌いする共産主義思想の考え方だ。彼らが考えるブラックはあくまで産業革命時代のイギリスの資本家の様な労働者を単なる駒と考える人材がトップに存在しその結果、他の企業を出し抜き成功を収めている企業だ。


これでは圧倒的多数の全く成功していない(けど社員は辞められない)ガチなブラック企業の本質は見えない。社会の問題点を是正するには第一に構造を理解しなければならない。全く違う価値観で活動している箱根駅伝の集団を遠回しだろうがブラック企業と混同させる事は何の改善も生まない。駅伝名門陸上部に何の才能も体力もない素人が入り込み毎日20㎞走りこんで死亡したら果たして過剰な強制ということで責任は圧倒的に陸上部にあるのか。

 

国で言えばガチなブラックは北朝鮮。働きすぎだ、ブラック大国だと言われるのは日本だ。日本の労働環境をバッシング、改善すれば北朝鮮は変わるのか、という話だ。箱根駅伝比喩やブラック企業大賞に関しての違和感をまとめればこうなる。


ただし日本の労働環境に自分が納得しているのかと言えばそれはゼロに近い。国家や企業に期待するのは無理だと思っているので自営業的なスタンスで働いているわけで。そこは後々書こうと思う。



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