トリCのブログ

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ガチな国対抗歌謡対戦があるとすれば

2016-11-25 17:36:55 | 社会

紅白のメンバーが決まったことで恒例の当落の話題が盛り上がっている。


紅白が始まった戦後直後の昭和には、それまでの反動も手伝って、やたらと男女の言い争いに持ち込む風潮があった。それを社会的に勝ち組の男性側が「おー、○○ちゃんは怖い怖い(笑)」などと言いながら、怒っている女性の尻をスリスリなどしていたのだから昭和はひどい時代だった。野球なら東京と大阪対決の巨人阪神、企業なら役員対組合、プロレス、ウルトラマン対怪獣、政治なら自民党対社会党という様に、海外相手に対立を作れなくなった戦後は何かと国内の対立をわざわざ生み出していた。


時代の風潮を利用して誕生した紅白歌合戦だ。選考基準は、つまり「戦力になる」歌い手だったはず。歌で(相手を)圧倒できるか、大ヒット曲で自軍のポイントを稼げるか、トークや応援で味方を盛り上げられるか。年末、家族がこたつでTVを見る事を大前提としているので、ちびまる子ちゃんの家族構成の様に、全員がそれぞれに見たい歌手も入れつつ、どちらが勝つのか、などとやっていたわけだ。


紅白の選考で演歌歌手が卒業・辞退したり、和田アキ子が落選したりして、ネットではむしろ今まで延々と選考してきた意味が分からない、という様に言われている。


紅白の元々の意義を考えれば、例えば男性演歌歌手に勝てるのは女性演歌歌手であり、ジャニーズに勝てるのは女性アイドルグループ、北島三郎の様な応援団長的存在に対抗出来るのは和田アキ子、という様に、勝負があるポイントで贔屓にならない様にしなくてはならなかった。


これらは全て「勝負」であって勝たなくてはいけない、という意味が元々あった。しかし時代は大きく変わり、そもそも紅白が男女の勝負、などと思っている視聴者は今やほとんどいないだろう。

 


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しかし、ここからは時代に逆行する話になる。


対立がお金になる事は確かだ。巨大ビジネスになっているアメフトやサッカーから、真剣勝負の要素を除外したら、あれほどの興行収入、年棒、移籍金、スポンサーは絶対に発生しない。


意義が失われた紅白は、「Jリーグ東西対抗オールスター試合」の様なものだ。戦国時代の東西軍は負けられない戦いだから真剣になる。負けようが勝とうがその試合で何も残らなければ価値はない。そのオールスターと、かなりのメンバーが被るW杯の方が俄然面白い様に、だったら歌の対抗戦を国際大会にすれば、どうなるのだろうか。


世界中が同時刻に見る国際大会の祭典ともなると、各国ともアーチストの選定で、もめにもめるだろう。日本の芸能界はある意味では進んでいて、歌唱力やダンスなどは、すでにおまけになっている。一人でも番組やイベントを滞りなく進められる、プロデューサー的な能力が、芸能人には求められ、キャラが立っていてトークが面白くなければ、人気を維持するのは不可能だ。所属事務所の力関係は政治の世界と同様に絶大になっている。


こういった国内力学で、世界大会には全く不向きな芸能人が、五輪デザイン選考の様な業界の価値基準で選定され出場する。世界大会では本大会どころかアジア予選で惨敗し、代表メンバーと所属事務所が猛批判にさらされる。ついでに言えば韓国は(不正も含めて)世界大会決勝トーナメントまで進出したため、芸能4大大国のわが国で、などと毎度毎度(略)


代表=タレントの即死、と尻込みした大手事務所は所属タレントの価値が下がる事を危惧して世界大会への選出を辞退し、ネットでは「そもそもこの事務所のタレントに世界で戦える奴は一人もいないのに何様?」などと叩かれる。まず間違いなく選定されそうもない芸能人ですら「私は世界大会には参加する意思はありませんが、選ばれた人を全力で応援させてください!がんばれ日本!」などとマスコミにFAXし逃げを打つ。


アジア予選を通じて他の国家の芸能人も知名度が大幅に向上。市場の大きさから日本に大量流入。海外芸能事務所が日本の老舗を傾かせ、国内の若手芸能人育成(保護)の為に、芸能事務所は最低30%の日本人芸能人を確保しなければ、違法などとなり、微妙な立場のハーフタレントが裁判を起こす。


一方でこれではいつまでも世界と戦えない、と感じた若手は続々と海外に進出し、次代の代表の座を狙うも、それを阻止するべく国内の芸能事務所が選考委員会にワイロを送っていた事が文春によって暴露され、窮地に追い込まれる等々…。


もし、芸能界W杯なるものが開催されれば、芸能界の淘汰は和田アキ子の落選どころではないスピードで更新される。YouTubeが出てきてボーダーライン化が激しいが、もう世界的な芸能人=アメリカという時代ではなくなっていくのではないだろうか。