(2024年4月14日の放送内容を基にしています)
山あいの用水路で、ひとりの女性が亡くなっているのが見つかりました。 女性には、認知症の症状が出始めていました。夜、家族が知らぬ間に家を出て、行方不明に。 見つかったのは、その2日後の朝のことでした。
遺族「元気が良かったし、病気もしない人だったので。何もしてあげられなかった後悔が一番強い」
認知症やその疑いがあり、行方不明になって命を落とした人は、2022年、451人にのぼりました。
今、家を出たあと、帰ることができなくなる認知症の人が増えています。 警察に行方不明届が出された件数は10年で倍増。過去最多の、のべ1万8000人にのぼっています。認知症の人は推計600万人以上。誰もが当事者になりえる時代です。 行方不明になる本人や、その家族が抱える苦しみと、どう向き合っていくのか。 身近なところで起きている、切実な日々をみつめます。
<朝起きたら妻がいなかった>
ある日、突然家族が行方不明になったら、あなたはどうしますか。 2023年8月、私たちは認知症の妻を捜す、1人の男性の取材を始めました。 鳥取県・米子市の荒川勉さん。 捜していたのは、認知症の妻・泰子さん、59歳。8月8日に家を出たまま帰らず、行方不明になりました。
“妻は一体どこへ行ったのか”。 勉さんは、SNSや地元のテレビを通じて、情報提供を呼びかけました。 行方不明になって1週間が経ったころ、情報が寄せられようになりました。 自宅から1キロほど離れた場所の防犯カメラの映像。行方不明になった日の午前6時、泰子さんとみられる女性が、隣の島根県の方向に歩いていくのが映っていました。
さらに、同じ日に自宅から11キロ地点の民家に立ち入っていたという情報も。3日後には、30キロ離れた松江市で、服装が似た人が目撃されていました。いずれも幹線道路・国道9号線沿いでした。
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