実感的人生論

2019年03月04日 10時44分45秒 | 社会・文化・政治・経済
[松本清張]の実感的人生論 (中公文庫)
 

松本清張  (著)

不断の向上心、強靭な精神力で自らを動かし、つねに新たな分野へと向かって行った清張の生き方の根底にあったものは何か。自身の人生を振り返るエッセイ集。

 

略歴

 

(1909-1992)小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。
41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。
1958年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。
生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った。
 
クロダ
2016年4月7日
 
実感的人生論を全部読んだ訳ではないが、試し読み部分だけでも素晴らしいと思った。
清張は餅屋や飲食店を経営する父の一人息子で、見るからに貧乏という貧乏ではなく、ごく普通の暮らしに見えるが実は貧乏という、身も貧乏だが、さらに心が悲しい、大変嫌なタイプの貧乏だった。
どこから見ても自分も他人も納得する、開き直ることのできる貧乏ではなかったのである。
しかも右肩下がりの暮らしで、父親は道端でもちを売るようになり、清張も兵営へ餅売りに行った。
就職できた先は経営不安の会社の出張所の給仕で、出前もちからも、今に板前になって見せる、先の見込みのない給仕よりましだと言われ、さらにがっくり来る。
小説家になる前に、これでもか、これでもかと、暗いトンネルが続く。
学歴が無いと、実力も努力も無視されると言う、すり鉢の底から這い上がれない社会のシステムがリアルに語られる。それでも努力したのは自分を保つため、それが無ければ運も来なかっただろうと言う。 ここまでだけでも、読んで良かったと思いました。

松本清張本人が自分のことや、家族のことや、人生に対する考え方を具体的に書いてあり、とても興味深く、探してた本にめぐり会えました。



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