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自殺総合対策大綱

2022年10月14日 17時22分31秒 | 社会・文化・政治・経済

~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~

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第1 自殺総合対策の基本理念
<誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指す>
平成18年10月に自殺対策基本法(以下「基本法」という。)が施行されて
以降、「個人の問題」と認識されがちであった自殺は広く「社会の問題」と認識
されるようになり、国を挙げて自殺対策が総合的に推進された結果、自殺者数
の年次推移は減少傾向にあるなど、着実に成果を上げてきた。しかし、それで
も自殺者数の累計は毎年2万人を超える水準で積み上がっているなど、非常事
態はいまだ続いており、決して楽観できる状況にはない。
自殺は、その多くが追い込まれた末の死である。自殺の背景には、精神保健
上の問題だけでなく、過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤立などの
様々な社会的要因があることが知られている。このため、自殺対策は、社会に
おける「生きることの阻害要因(自殺のリスク要因)」を減らし、「生きること
の促進要因(自殺に対する保護要因)」を増やすことを通じて、社会全体の自殺
リスクを低下させる方向で、「対人支援のレベル」、「地域連携のレベル」、「社会
制度のレベル」、それぞれにおいて強力に、かつそれらを総合的に推進するもの
とする。
自殺対策の本質が生きることの支援にあることを改めて確認し、「いのち支え
る自殺対策」という理念を前面に打ち出して、「誰も自殺に追い込まれることの
ない社会の実現」を目指す。
第2.自殺の現状と自殺総合対策における基本認識
<自殺は、その多くが追い込まれた末の死である>
自殺は、人が自ら命を絶つ瞬間的な行為としてだけでなく、人が命を絶たざ
るを得ない状況に追い込まれるプロセスとして捉える必要がある。自殺に至る
心理としては、様々な悩みが原因で心理的に追い詰められ、自殺以外の選択肢
が考えられない状態に陥ったり、社会とのつながりの減少や生きていても役に
立たないという役割喪失感から、また、与えられた役割の大きさに対する過剰
な負担感から、危機的な状態にまで追い込まれてしまう過程と見ることができ
るからである。
自殺行動に至った人の直前の心の健康状態を見ると、大多数は、様々な悩み
により心理的に追い詰められた結果、抑うつ状態にあったり、うつ病、アルコ
ール依存症等の精神疾患を発症していたりと、これらの影響により正常な判断
を行うことができない状態となっていることが明らかになっている。
このように、個人の自由な意思や選択の結果ではなく、「自殺は、その多くが
追い込まれた末の死」ということができる。

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<年間自殺者数は減少傾向にあるが、非常事態はいまだ続いている>
平成19年6月、政府は、基本法に基づき、政府が推進すべき自殺対策の指
針として自殺総合対策大綱(以下「大綱」という。)を策定し、その下で自殺対
策を総合的に推進してきた。
大綱に基づく政府の取組のみならず、地方公共団体、関係団体、民間団体等
による様々な取組の結果、平成10年の急増以降年間3万人超と高止まってい
た年間自殺者数は平成22年以降7年連続して減少し、平成27年には平成1
0年の急増前以来の水準となった。自殺者数の内訳を見ると、この間、男性、
特に中高年男性が大きな割合を占める状況は変わっていないが、その人口10
万人当たりの自殺による死亡率(以下「自殺死亡率」という。)は着実に低下し
てきており、また、高齢者の自殺死亡率の低下も顕著である。
しかし、それでも非常事態はいまだ続いていると言わざるをえない。若年層
では、20歳未満は自殺死亡率が平成10年以降おおむね横ばいであることに
加えて、20歳代や30歳代における死因の第一位が自殺であり、自殺死亡率
も他の年代に比べてピーク時からの減少率が低い。さらに、我が国の自殺死亡
率は主要先進7か国の中で最も高く、年間自殺者数も依然として2万人を超え
ている。かけがえのない多くの命が日々、自殺に追い込まれているのである。
<地域レベルの実践的な取組をPDCAサイクルを通じて推進する>
我が国の自殺対策が目指すのは「誰も自殺に追い込まれることのない社会の
実現」であり、基本法にも、その目的は「国民が健康で生きがいを持って暮ら
すことのできる社会の実現に寄与すること」とうたわれている。つまり、自殺
対策を社会づくり、地域づくりとして推進することとされている。
また、施行から10年の節目に当たる平成28年に基本法が改正され、都道
府県及び市町村は、大綱及び地域の実情等を勘案して、地域自殺対策計画を策
定するものとされた。あわせて、国は、地方公共団体による地域自殺対策計画
の策定を支援するため、自殺総合対策推進センターにおいて、都道府県及び市
町村を自殺の地域特性ごとに類型化し、それぞれの類型において実施すべき自
殺対策事業をまとめた政策パッケージを提供することに加えて、都道府県及び
市町村が実施した政策パッケージの各自殺対策事業の成果等を分析し、分析結
果を踏まえてそれぞれの政策パッケージの改善を図ることで、より精度の高い
政策パッケージを地方公共団体に還元することとなった。
自殺総合対策とは、このようにして国と地方公共団体等が協力しながら、全
国的なPDCAサイクルを通じて、自殺対策を常に進化させながら推進してい
く取組である。


「自殺総合対策大綱」女性の支援強化 初めて重点施策に

2022年10月14日 17時20分12秒 | 社会・文化・政治・経済

政府の自殺対策の指針となる「自殺総合対策大綱」が新たに決定されました。

コロナ禍の影響などにより女性の自殺者が増加したことから女性に対する支援の強化が初めて重点施策に盛り込まれました。

「大綱」は15年前に初めて策定され、5年に1度見直しが行われています。

14日の閣議で決定された新たな「大綱」では、自殺者は減少傾向にあるものの依然として毎年2万人を超える水準で推移し非常事態が続いているとしています。

また、コロナ禍の影響で自殺の要因となるさまざまな問題が悪化したことなどにより、女性がおととしから増えているとして、女性に対する支援の強化を初めて重点施策に盛り込みました。

具体的には、予期せぬ妊娠などで悩みや不安を抱えた若い女性への支援を推進し、非正規雇用や子育て中の女性などにきめ細かい就職支援を行うとしています。

さらに、自殺した子どもも過去最多の水準となっていることから、子どもや若者の対策をさらに強化することも掲げ、SNSを活用した相談体制の拡充などに取り組むとしています。

加藤厚生労働相「各府省が連携して対策推進を」

 大綱の決定を前に開かれた自殺総合対策会議で、加藤厚生労働大臣は「今回の見直しでは、子ども・若者の自殺対策、女性に対する支援の強化、新型コロナの影響を踏まえた対策などを、各府省が連携して推進させていくことを目指している。
誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けて尽力をお願いしたい」と関係閣僚に協力を求めました。

コロナ禍で女性は2年連続の増加

2022年10月14日 12時46分12秒 | 社会・文化・政治・経済

報道関係者 各位

新たな「自殺総合対策大綱」を決定しました

~子ども・若者、女性の自殺対策の強化など総合的な自殺対策の更なる推進~

 政府は、本日、自殺対策の指針として新たな「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」を閣議決定しました。
 (参考URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/taikou_r041014.html

 自殺総合対策大綱は、平成18年に成立した自殺対策基本法に基づき、政府が推進すべき自殺対策の指針として定めるものです。

 平成18年と令和元年の自殺者数を比較すると、男性は38%、女性は35%減少しており、これまでの取り組みに一定の成果があったと考えられます。一方で、依然として自殺者は年間2万人を超える水準で推移しており、コロナ禍で女性は2年連続の増加、小中高生は過去最多の水準になるなど、今後対応すべき新たな課題も顕在化してきました。
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前
 このような状況を踏まえ、見直し後の大綱では以下の取り組みを重点的に推進します。厚生労働省は、新たな大綱の下、関係府省と連携しながら、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けて、自殺対策をより一層推進させる取り組みを行っていきます。

■新たな大綱のポイント

  1. 1.子ども・若者の自殺対策の更なる推進・強化
  2. 2.女性に対する支援の強化
  3. 3.地域自殺対策の取組強化
  4. 4.新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた対策の推進など、総合的な自殺対策の更なる推進・強化