カキぴー

春が来た

救えたかもしれない

2010年02月10日 | 社会・経済

昨日の午後、かって私が会長を務めたことのある、日本オーナーパイロット協会の事務局長N嬢から電話が入った。 「ご在宅でよかった、いま羽田です、沖縄の会員Kさんが昨夜自殺しました。ご家族を慰めに、これから行ってきます」  と言うもの。 会社経営に行き詰まっての50歳だった。 焼香にいくと言わず、慰めにいく。 彼女らしいと思った。

Kさんには沢山の会員が、本当に世話になった。 フィリッピン、韓国など海外フライトのベースキャンプは、那覇空港になることが多い。 世界一周フライトでも、出国は千歳空港だったが、入国は沖縄空港。 そんな重要な空港を地元とするKさんは、空港関係者とも親しい。 小型機での出国は、一般の乗客とは違い、ジェットセットなどと同じ別扱いになるので、手続きがきわめて複雑。 CIQの手続き、給油の手配、ホテルの送迎など、彼が居たから、海外のパイロット組織との交流が、可能になったと言ってもいい。 そしていつも、どんなに忙しくても、笑顔でテキパキ対応してくれた。

私は倒産経験者だ。 曲りなりとも上場会社だったので、負債額も多く、連日メディアを賑わせ、東京と地元で開催した債権者集会は、テレビ、新聞で大きく報道された。 そうした最中、東京の弁護士から言われたことがある。 「あなたと同じ経営者を沢山見てきたが、多くは心労から病に倒れるか、自死に追い込まれます。 いま大事なのは家族の絆と、心身の健康です。 これまでのしがらみを一切絶って、一時田舎にでも引っ越して、農業でもやってみたらどうですか?」。  幸い友人が郊外の山荘と畑を貸してくれ、 迷惑をかけてしまった女房と息子も、愚痴を言わなかった。

「俺ならKさんを救えたかもしれない」 そんな思いがしている。 当事者が不安に追い込まれる最大の理由は、「先が読めない」 からだ。 経済的なことより、債権者からの追求、自己破産、社会的制裁、世間の目、そうした疑問が、すべて絶望的な方へ傾斜していく。 だが現実には、「当事者が想定してるよりはるかに軽く済む」。 しかしそれを誰も、弁護士でさえも教えてくれない。 それが出来るのは、倒産経験者だけ。 深刻な不況が続くいま、 「駆け込み寺」 の必要性を痛感している。

 


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2 コメント

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Unknown (TOMO)
2010-02-10 23:57:49
私は同窓生3人を自殺で亡くしました。
交通事故死が減る一方で年間3万人を超え方が自ら命を絶つ日本、個人をそこまで追い込んでしまうストレス社会に問題を感じます。
私はキャプテンにすすめられ”セント オブ ウーマン”を見て元気を貰いました。
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Unknown (佐澤宏嘉)
2010-02-16 20:38:43
私もK氏と同じ道を歩いた者です。aopamailは衝撃でした。未だにあの時会社と心中すべきだったのではと考えます。特攻くずれの心境にもなりました。現在は地方都市でうつ病のリハビリしながら子供の成長を見ています。CBを見下ろしながら飛んだ事はまぼろしだったように思えます。 
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